経済・産業トレンド 施行予定

英政府、国家重要インフラプロジェクトの承認プロセスを迅速化、最大12カ月短縮

英国政府は、国家重要インフラプロジェクト(NSIP)の承認プロセスを迅速化するため、申請前協議義務を撤廃する改正法を7月24日に施行すると発表しました。これにより、計画プロセスが最大12カ月短縮され、開発事業者に最大10億ポンドのコスト削減が見込まれます。2008年計画法下で申請準備期間が倍増した背景を受け、効率的かつ柔軟なアプローチを目指すもので、インフラ計画効率化に向けた一連の施策の一環です。政府は今議会期間中に最低150件の大規模インフラプロジェクト承認を目標としています。

この発表の要点

企業・自治体への影響

英国でインフラ開発事業を行う企業は、承認プロセスの迅速化により、事業計画の期間短縮とコスト削減の恩恵を受ける可能性があります。特に建設業やエネルギー産業、輸送・上下水道関連企業は、プロジェクトの実行可能性と収益性に直接的な影響を受けるでしょう。法務部門や事業開発部門は、改正法の詳細と新たなガイダンスを確認し、事業戦略に反映させる必要があります。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 法務 広報 経理

対応期限:施行日まで

基本データ

企業・団体 英国政府
業界 建設・インフラ
発表日 2026-07-07
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年07月07日

英国政府は7月2日、国家重要インフラプロジェクト(NSIP)の承認プロセスを迅速化する改正法を施行すると発表した。7月24日の施行を見込む。具体的には、NSIPの開発許可申請にあたり求められていた、市民や地方自治体、土地所有者などとの申請前協議義務を撤廃する。政府はこれにより、計画プロセスの最大12カ月の短縮が可能となり、今議会期間中に最大10億ポンド(約2,150億円、1ポンド=約215円)のコスト削減を開発事業者にもたらすとしている。

英国では2008年計画法(Planning Act 2008)により、エネルギーや輸送、上下水道などの大規模インフラプロジェクト(注1)はNSIPと認定され、地方当局ではなく、所管の国務相による開発許可(Development Consent Order、DCO)を受ける必要がある。2008年計画法の目的は審査プロセスの効率化であるが、政府によると、2013年から2021年にかけて、申請にかかる準備期間が約1年から約2年に倍増していた。法律を順守しようとする開発事業者の姿勢が協議の過剰な実施を招いたことが増加要因の1つとなっていたという。義務付けを撤廃することでプロセスを短縮化するとともに、個別の状況に合わせた柔軟なアプローチを可能とすることを目指す。

本見直しは、意見公募を踏まえたインフラ計画効率化に関する一連の施策の一部であり、そのほかに次の内容を含む。

申請前協議義務廃止を支援するため、申請前の期間に関する新たなガイダンスをまもなく公表。

計画検査局(Planning Inspectorate)による申請前段階での開発事業者への助言機能を提供。

地方自治体へ意見陳述書、および草案を含む地域影響報告書(LIR、注2)の早期提出を奨励。

主要課題の初期評価(IAPI、注3)への重点化を通じて、効率的かつ合理化された審査を支援。

都市・地方計画法(Town and Country Planning Act)を通じて開発許可を求める100メガワット(MW)以下の陸上風力発電プロジェクトに適用されている申請前協議義務を廃止。

政府は2024年12月に発表した「変化に向けた計画(Plan for Change)」にて、今議会期間中に最低でも150件の大規模インフラプロジェクトを承認するという目標を掲げている(2024年12月6日記事参照)。現時点で承認したのは41件で、前議会期間の同時期と比べて2倍に相当する。

(注1)NSIPと認定される条件は、2008年計画法の第3章に規定されている。
(注2)開発により当該地域に生じ得る影響の詳細を記載した書面。
(注3)審査において問題となり得る主要事項について、審査当局が最初に示す見解。

(齊藤圭)

(英国)

ビジネス短信 355f8816a48bc7b3

関連情報

dummy

もっと見る

ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース

英政府、国家重要インフラプロジェクトの承認プロセスを迅速化、最大12カ月短縮

ジェトロ公式SNSアカウント

出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/355f8816a48bc7b3.html

時系列

主な数値

開発事業者へのコスト削減額 1000000000ポンド
計画プロセスの最大短縮期間 12カ月
今議会期間中の大規模インフラプロジェクト承認目標件数 150件
現時点での承認済み大規模インフラプロジェクト件数 41件
陸上風力発電プロジェクトの申請前協議義務廃止対象出力 100メガワット

この事例から確認すべきポイント

英国政府による国家重要インフラプロジェクト承認プロセスの迅速化は、インフラ開発の停滞を解消し、経済活性化を促進するための重要な施策です。過去に申請準備期間が倍増した背景には、法律順守を意識した開発事業者による協議の過剰実施があったとされており、今回の申請前協議義務撤廃は、この課題に直接的に対応するものです。これにより、開発事業者の負担軽減と計画プロセスの大幅な短縮、ひいてはコスト削減が期待されます。一方で、申請前協議義務の廃止に伴い、新たなガイダンスの公表や計画検査局による助言機能の提供、地方自治体への早期情報提出奨励など、効率化と同時に透明性や関係者との円滑な連携を維持するための措置も講じられています。日本企業が英国でのインフラ関連事業を検討する際には、この法改正が事業計画やコスト試算に与える影響を詳細に評価し、新たなガイダンスや助言機能を積極的に活用することが求められます。効率化と柔軟性向上を目指す政府の方針を理解し、地域社会との良好な関係構築にも引き続き留意する必要があります。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-07

関連事例

自社のプレスリリースをPRazeに掲載しませんか?

無料でプレスリリースを掲載する