デジタルインフラ事業者にセキュリティー・環境規制、新法導入へ意見公募開始
この発表の要点
- シンガポールでデジタルインフラ事業者向けの新法「デジタルインフラ法」の意見公募が開始された。
- 大手データセンター(DC)およびクラウドサービス事業者にライセンス取得とサイバーセキュリティ・環境対策が義務付けられる。
- 違反時には高額な罰金が科され、意見公募は7月22日に締め切られる。
企業・自治体への影響
シンガポールで事業を展開するデータセンター事業者やクラウドサービス事業者は、新たなライセンス取得、サイバーセキュリティ対策、環境基準の順守が義務付けられるため、法務、情報システム、経営企画部門に直接的な影響があります。また、デジタルサービスを利用する金融機関やEC事業者も、基盤インフラの安定性向上による恩恵を受ける可能性があります。
対応すべきこと
- 自社の事業が新法のライセンス取得対象となるか、基準(CIL、売上高)を確認する。
- サイバーセキュリティ対策、障害復旧体制、事業継続計画(BCP)の現状を評価し、強化計画を策定する。
- 意見公募期間(7月22日まで)に法案内容を精査し、必要に応じて意見を提出する。
- 関係部門(法務、情シス、経営企画)と連携し、新法への対応方針を検討・準備する。
対象部門: 経営者 法務 情シス 広報 経理
対応期限:公募締切まで
基本データ
| 企業・団体 | シンガポール・デジタル開発・情報省(MDDI)、情報通信メディア開発庁(IMDA) |
|---|---|
| 業界 | IT・ソフトウェア |
| 発表日 | 2026-07-07 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
| 地域 | シンガポール |
発表された内容
2026年07月07日
シンガポール・デジタル開発・情報省(MDDI)と同省管轄下の情報通信メディア開発庁(IMDA)は7月1日、新法「デジタルインフラ法(Digital Infrastructure Act)」の制定に向けた意見公募を開始した。大手のデータセンター(DC)事業者やクラウドサービス事業者に対して、ライセンス取得を義務付け、サイバーセキュリティーや環境対策を要件に定めることで、デジタルインフラサービスの安全性とレジリエンスを確保する。違反した場合は、最大100万シンガポール・ドル(約1億2,500万円、Sドル、1Sドル=約125円)または国内の年間売上高の10%のいずれか高い方の罰金を科す。
新法案では、大手クラウドサービス事業者やDC事業者からなる、基盤デジタルインフラ(Foundational Digital Infrastructure、FDI)提供者に対し、FDIライセンスの取得を義務付け、サイバーセキュリティー対策や障害復旧体制の強化を求める。FDIライセンスの取得対象は、(1)クリティカルIT負荷(CIL、サーバーなどIT設備の電力需要)が10メガワット(MW)以上の大規模DC事業者、(2)国内利用者からの過去3年間の年間平均売上高が1億Sドル以上のクラウドコンピューティングサービス事業者となる。FDIライセンスの取得者には、サイバー攻撃などの重大インシデント発生時の迅速な報告や、事業継続計画(BCP)の策定・維持が義務付けられる。
さらに、CILが3MW以上の国内DC事業者については、DCライセンスの取得が必要となる。DCライセンス取得者には、施設レベルでのエネルギー効率基準や、水資源の効率的な利用基準の順守を義務付ける。
MDDIとIMDAは発表で、「デジタルインフラサービスは成長するデジタルエコノミーの基盤であり、デジタル金融、配車サービス、電子商取引(EC)など幅広いデジタルサービスを支えている」と述べた。7月1日付の地元英字紙「ストレーツ・タイムズ」紙によると、新法導入の契機の1つとなったのは、2023年9月に発生したデータセンターの冷却システム障害だ。同障害により、銀行2行のサービスが停止し、250万件以上の決済やATM取引に影響が生じた。新法案の意見募集は7月22日午前10時に締め切られる。
(本田智津絵)
(シンガポール)
ビジネス短信 af989470d4068b11
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デジタルインフラ事業者にセキュリティー・環境規制、新法導入へ意見公募開始
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/af989470d4068b11.html
時系列
- 2023-09 データセンターの冷却システム障害が発生し、銀行サービス停止や決済・ATM取引に影響
- 2026-07-01 新法「デジタルインフラ法」の制定に向けた意見公募を開始
- 2026-07-22 新法案の意見募集締め切り
主な数値
| 罰金上限額 | 1000000シンガポール・ドル |
|---|---|
| FDIライセンス対象DC事業者CIL | 10メガワット |
| FDIライセンス対象クラウド事業者年間平均売上高 | 100000000Sドル |
| DCライセンス対象DC事業者CIL | 3メガワット |
| 冷却システム障害影響銀行数 | 2行 |
| 冷却システム障害影響決済・ATM取引件数 | 2500000件以上 |
この事例から確認すべきポイント
シンガポールがデジタルインフラの安全性とレジリエンス強化を目指す動きは、世界的な規制強化の潮流を示唆しています。特に、データセンターやクラウドサービス事業者は、サイバーセキュリティ対策、障害復旧体制、環境基準の順守が法的に義務付けられる可能性があり、事業継続計画(BCP)の策定・維持も必須となります。過去の障害事例が新法導入の契機となっていることから、規制当局が実運用におけるリスクを重視していることが伺えます。企業は、自社のサービスが規制対象となるかを確認し、意見公募期間中に積極的に意見を提出することで、将来の規制動向に影響を与える機会を検討すべきです。また、国際的な事業展開を行う企業は、各国のデジタルインフラ規制の動向を継続的に監視し、早期に対応策を講じる重要性が高まっています。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-07
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