タイ商務省、301条関税を巡り、米国と協議
この発表の要点
- タイ商務省は米国と、301条関税の回避・軽減およびタイ・米国相互貿易協定(ART)の交渉加速化について協議した。
- 米国は301条調査の結果を精査中であり、ARTの有無や順守状況により関税率が変動する可能性を示唆している。
- タイ政府は強制労働リスク対処のため委員会設置を承認し、関連産業にはサプライチェーンのトレーサビリティー向上が求められる。
企業・自治体への影響
米国との貿易を行う企業、特にタイからの輸入品を扱う企業は、301条関税の動向により輸入コストが増加する可能性があります。水産・食品加工業、労働集約型産業、外国人労働者を雇用する産業は、強制労働リスクへの対応として、サプライチェーンにおけるトレーサビリティーの強化が急務となります。経営者、法務、経理、総務、広報部門は、これらの貿易政策変更とサプライチェーンリスクに備える必要があります。
対応すべきこと
- 米国による1974年通商法301条調査の最終結果と、それに基づく具体的な措置に関する情報を継続的に収集する。
- タイからの輸入品を扱う企業は、強制労働リスクに関するタイ政府の新たな基準やガイドラインが策定され次第、その内容を確認し、自社のサプライチェーンへの影響を評価する。
- 水産・食品加工業や労働集約型産業など、強制労働リスクが指摘される分野の企業は、サプライチェーンにおけるトレーサビリティー向上策を検討・実施する。
- 関係部門(経営者、総務、法務、経理、広報など)と連携し、潜在的な関税変更やサプライチェーンリスクへの対応方針を協議・策定する。
対象部門: 経営者 総務 法務 経理 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | タイ商務省 |
|---|---|
| 業界 | 水産・食品(加工)業, 労働集約型産業, 外国人労働者を雇用する産業, 貿易業 |
| 発表日 | 2026-07-20 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年08月03日
タイ商務省は7月20日、スパジー・スタムパン副首相兼商務相が7月15~16日に米国ワシントンDCを訪れ、1974年通商法301条に基づく調査の進捗確認やタイ・米国相互貿易協定(ART)の交渉加速化などを目的に、米国政府高官と協議したと発表した。
スパジー副首相は、スージー・ワイルズ大統領首席補佐官とハワード・ラトニック商務長官、リック・スウィッツァー米国通商代表部(USTR)次席代表とそれぞれ面談した。米国では、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく相互関税の停止後、1974年通商法122条に基づき10%の追加関税が全ての輸入に賦課されていたが、同追加関税は7月24日に期限を迎えた(2026年2月24日記事参照)。期限後の導入が予期される301条に基づく措置を回避・軽減するため、タイ政府は強制労働や過剰供給に関する疑いへの反論を行ってきた(2026年5月7日記事参照)。
タイ商務省によると、米国政府は301条調査の結果を精査中(注)であり、過剰供給については、ARTを有さない、または順守できない国・地域には高い関税率を発表する可能性があるとの見方を示した。専門家は、301条関税として、タイは最大25%の追加関税に直面するリスクがあると警告している(「ネーション」紙7月23日付)。
ARTの交渉状況について、スパジー副首相は、一部の問題は解決が難しく時間を要するものの、タイが適切かつ競争力のある関税率を受けられるよう、全力を尽くすとしている。米国側は、各課題に関するタイの最新の提案を検討する意向を示したという。
タイ政府は6月23日、強制労働上のリスクのある輸入品に関する基準設定委員会の設置を承認した。同委員会は、リスクへの対処措置やガイドラインの策定のほか、監視リストの提案を内閣に対して行う予定だ。経済紙「ターン・セータギット」(7月20日付)は、水産・食品(加工)業や労働集約型産業、外国人労働者を雇用する産業などに課題があるとして、トレーサビリティー向上の取り組みが重要と指摘している。
(注)301条調査の結果、強制労働に依拠する製品輸入を禁止する措置を有するか、ARTを有する国・地域には10%、それ以外には12.5%の追加関税が賦課される(2026年6月3日記事参照)。
(藪恭兵)
(タイ、米国)
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タイ商務省、301条関税を巡り、米国と協議
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/08/f02e3056db281060.html
時系列
- 2026-06-23 タイ政府が強制労働上のリスクのある輸入品に関する基準設定委員会の設置を承認
- 2026-07-15 スパジー副首相兼商務相が米国ワシントンDCを訪問し、米国政府高官と協議を開始
- 2026-07-16 スパジー副首相兼商務相が米国ワシントンDCを訪問し、米国政府高官との協議を継続
- 2026-07-20 タイ商務省がスパジー副首相の米国訪問と協議内容を発表
- 2026-07-24 1974年通商法122条に基づく10%の追加関税が期限を迎える
主な数値
| 1974年通商法122条に基づく追加関税率 | 10% |
|---|---|
| 301条関税としてタイが直面する可能性のある最大追加関税率 | 25% |
| 301条調査の結果、ARTを有する国・地域に賦課される可能性のある追加関税率 | 10% |
| 301条調査の結果、ARTを有さないまたは順守できない国・地域に賦課される可能性のある追加関税率 | 12.5% |
この事例から確認すべきポイント
本発表は、米国による1974年通商法301条に基づく追加関税の可能性と、それに対するタイ政府の対応を示すものです。特に、強制労働や過剰供給に関する懸念が関税賦課の判断基準となる点が重要です。タイ政府が強制労働リスク対処のための委員会設置を承認したことは、国際的なサプライチェーンにおける人権デューデリジェンスの重要性が高まっている現状を反映しています。企業は、タイからの輸入品を扱う場合、サプライチェーンにおける強制労働リスクの評価とトレーサビリティーの確保が喫緊の課題となります。また、タイ・米国相互貿易協定(ART)の交渉状況も、将来的な関税率に影響を与えるため、継続的な情報収集が不可欠です。米国との貿易を行う企業は、301条調査の最終結果と、それに基づく具体的な措置に備える必要があります。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-08-03
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