経済・産業トレンド 認定・処分

欧州委、2件のデジタル規制関連の措置を発表、規制に対する姿勢を示す

欧州委員会は、デジタルサービス法(DSA)に基づき中国アリババが運営するECサイト「アリエクスプレス」に5億5,000万ユーロ、デジタル市場法(DMA)に基づき「グーグル」に8億9,000万ユーロの制裁金を科したと発表しました。アリエクスプレスは違法・危険・模倣品の販売に関連するリスク評価・対策不足、グーグルは自社サービスの優先表示と代替購入チャネルへの誘導制限が違反と認定されました。これらの措置は、EUのデジタル規制戦略における「安全で信頼できるオンライン環境」と「公正な競争」の実現を目指すものであり、企業の国籍を問わず大規模プラットフォームに厳格な順守を求める姿勢を示しています。

この発表の要点

企業・自治体への影響

EU市場で事業を展開する大規模オンラインプラットフォーム企業は、デジタルサービス法(DSA)およびデジタル市場法(DMA)の順守状況を再確認し、リスク評価、競争慣行、利用者保護に関する体制を強化する必要があります。特に、ECサイト運営、検索エンジン、アプリストア運営などのIT・ソフトウェア業界の企業は、法務、広報、経営層が連携し、規制動向への継続的な監視と対応が求められます。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 法務 情シス 広報 経理

対応期限:期限あり

基本データ

企業・団体 欧州委員会
業界 IT・ソフトウェア
発表日 2026-08-05
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年08月05日

欧州委員会は7月20日に、デジタルサービス法(DSA)に基づき、中国アリババが運営するECサイト「アリエクスプレス」に対し、制裁措置を発表した。さらに7月23日にはデジタル市場法(DMA)に基づき、グーグルに対して大規模な制裁措置も発表し、デジタル規制の執行強化を進めており、その姿勢を示している。

欧州委はアリエクスプレスが自社のECサイトにおける違法、危険、または模倣品の販売に関連するリスクの評価・対策を十分に実施しなかったとし、「デジタルサービス法(DSA)」に基づく義務に違反したとして、5億5,000万ユーロの制裁金を科した。欧州委は2025年6月にアリエクスプレスに対するDSA違反に関する暫定的見解を発表しており(2025年6月23日記事参照)、今回の決定は正式な違反認定に対する制裁措置となる。

DSA規定に基づき、アリエクスプレスは2026年10月20日までに欧州委に行動計画の提出が求められる。計画には、システミックリスク(注)を評価・軽減する義務の違反を是正するための措置が命じられており、今後も義務を履行しない場合には追加的な制裁金が科される可能性がある。

グーグルに対しては、「グーグル検索」において、ショッピング、ホテル、交通、スポーツ検索結果などの自社サービスを第三者のサービスよりも優先表示したこと。およびアンドロイド向けアプリストア、「グーグルプレイ」においては、消費者を代替の購入チャネルへ誘導することを制限したこと(ステアリング)について、DMA違反と認定し、総額8億9,000万ユーロの制裁金を科した。グーグルは、「グーグル検索」における自社サービスの表示方法を変更し、その試験運用を開始、また「ステアリング」条項に関連する変更を実施している。欧州委はこれらの変更を評価する一方、今回の決定を踏まえてこれらの措置がDMAの順守につながるかどうかについては、引き続き検証するとしている。

これら2つの案件は対象こそ異なるものの、EUのデジタル規制戦略において共通した意味を持つ。DSAは「安全で信頼できるオンライン環境」、DMAは「公正な競争」の実現を目指しており、今回の執行措置はその適用例と位置付けられる。

EUは近年、デジタル規制における世界的な基準を設定してきたと表明している。今回の措置は、企業の国籍を問わずEU市場で事業を行う全ての大規模プラットフォームに対し、競争の公正性、透明性、利用者保護を厳格に求める姿勢を示したものといえる。

(注)違法コンテンツの拡散、基本的権利、選挙、公安、性暴力、公衆衛生、未成年者保護への悪影響、個人の健康へ深刻な悪い結果をもたらすこと。

(坂本裕司)

(EU、中国、米国)

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欧州委、2件のデジタル規制関連の措置を発表、規制に対する姿勢を示す

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/08/3ec33900d4d64a48.html

時系列

主な数値

アリエクスプレスへの制裁金 550000000ユーロ
グーグルへの制裁金 890000000ユーロ

この事例から確認すべきポイント

本発表は、欧州連合がデジタルサービス法(DSA)とデジタル市場法(DMA)という二つの主要なデジタル規制の執行を本格化させていることを明確に示しています。アリエクスプレスへの制裁は、大規模オンラインプラットフォームが違法・危険・模倣品の流通リスク評価と対策を怠った場合の責任を問うものであり、利用者保護の観点から重要です。一方、グーグルへの制裁は、検索結果における自社サービスの優遇表示やアプリストアでの代替チャネル誘導制限といった、市場支配的地位の濫用に対する公正な競争環境確保への強い意志を反映しています。これらの措置は、企業の国籍を問わずEU市場で事業を行う全ての大規模プラットフォームに対し、透明性、公正性、利用者保護の厳格な順守を求めるものであり、今後のデジタルビジネス戦略においてEU規制への対応が不可欠であることを示唆しています。特に、行動計画の提出や継続的な検証が求められている点から、一度の対応で終わらず、継続的なコンプライアンス体制の構築が求められます。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-08-05

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