アンソロピック、カナダのAI研究支援に1,000万カナダ・ドル相当のAIモデル利用権を提供
この発表の要点
- アンソロピックがカナダのAI研究機関など8機関に総額1,000万カナダ・ドル相当のAIモデル利用権を提供。
- 提供はAIの有益かつ責任ある活用に関する研究を支援することを目的としている。
- カナダのスタートアップ企業向けにも、クロード・スタートアップ・プログラムを通じてAPIクレジットを提供。
企業・自治体への影響
AI技術を活用する企業や自治体は、責任あるAI開発や多言語対応の重要性を再認識する必要がある。特に、医療、教育、公共サービス分野でAI導入を検討している組織は、本事例を参考に、倫理的側面や地域特性に合わせたAIの活用方法を検討することが求められる。AI関連のスタートアップ企業は、大手AI企業の支援プログラムの動向に注目し、自社の技術開発や事業展開の機会を探るべきである。
対応すべきこと
- AI技術の導入や活用を検討する際、責任あるAI開発に関する最新の動向やガイドラインを確認する。
- 多言語対応が必要なサービスや製品を持つ企業は、AIによる言語処理の進化と、地域言語・方言への対応状況を注視する。
- 自社の事業領域におけるAIの社会貢献や研究支援の可能性について、経営層や関連部門で議論する。
- AI関連のスタートアップ企業は、大手AI企業が提供する支援プログラムやパートナーシップの機会を調査する。
対象部門: 経営者 情シス 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | アンソロピック |
|---|---|
| 業界 | IT・ソフトウェア |
| 発表日 | 2026-07-14 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月17日
米国の生成人工知能(AI)開発企業のアンソロピック(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)は7月14日、カナダのAI研究機関や大学、医療機関など8機関に、総額約1,000万カナダ・ドル(約11億5,000万円、Cドル、1Cドル=約115円)相当の生成AIモデル「クロード(Claude、注1)」の利用クレジット(モデルを利用する権利)を提供すると発表した。提供を通じて、AIの有益かつ責任ある活用に関する研究を支援する。
アンソロピックが利用クレジットの提供先として発表したのは次のとおり。
アルバータ・マシン・インテリジェンス研究所(Amii):学術研究と産業界におけるAI活用の橋渡しを進めるため、研究・エンジニアリングチームに100万Cドル相当のAPI(注2)クレジットを提供する。
ケベックAI研究所(Mila):ディープラーニング研究者が集まる研究機関として、責任あるAIや医療、ロボティクスなどの研究を支援するほか、研究者の研究成果・評価を支援するAIアシスタントの開発にも活用する。
ベクター研究所:APIクレジットの提供を通じて、AIの信頼性・安全性、医療・科学分野の研究を推進するほか、AIが解決に貢献できる幅広い社会課題に関する研究を推進する。
東部オンタリオ小児病院(CHEO)・CHEO研究所:子供や若者、その家族の健康状態や医療体験の向上を目的としたAI活用手法の開発・評価に利用されるほか、小児医療分野におけるAIの責任ある活用方法についての研究にも利用する。
ラバル大学知能・データ研究所(IID):大規模言語モデル(LLM)がさまざまな文化的背景の中でどのように振る舞うかの研究で活用する。また、ケベック・フランス語や先住民族言語など、研究資源の少ない言語や方言への理解促進にも活用する。
サスカチュワン大学:生物医学、食料・水資源安全保障、公衆衛生、量子コンピューティング、公共サービスなどの研究分野で活用する。
トロント大学データサイエンス研究所:科学的な審査プロセスを通じて研究プロジェクトを選定し、APIクレジットの提供を通じて幅広い研究を支援する。
これに加えて、アンソロピックが提供するクロード・スタートアップ・プログラムに、Amii、Mila、ベクター研究所を追加し、これら3機関に関連するカナダのスタートアップ企業に、少なくとも5,000米ドル相当のAPIクレジットを提供する。
アンソロピックは発表で、カナダにおけるクロードの利用動向も公表した。これによれば、カナダは利用者数ランキングで世界8位だが、上位10カ国の中での人口当たりの利用率は米国に次ぐ水準となった。また国内では、クロードの利用方法が各地域の経済構造と一致していることも明らかとなった。カナダでは、英語とフランス語の両方が公用語として、連邦政府の提供するサービスで使用されていることから、公務員の割合が多いニューブランズウィック州、ノバスコシア州、ケベック州では翻訳関連の利用が多いとしている。
(注1)アンソロピックが開発した最先端の対話型の大規模言語モデル(LLM)。
(注2)アプリケーション・プログラミング・インターフェース(Application Programming Interface)の略称で、異なるソフトウエアやプログラム、ウェブサービスをつなぐ仕組み。
(木村勇翔)
(カナダ、米国)
ビジネス短信 682bca3e07e6e2c4
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アンソロピック、カナダのAI研究支援に1,000万カナダ・ドル相当のAIモデル利用権を提供
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/682bca3e07e6e2c4.html
主な数値
| 提供総額 | 1000万カナダ・ドル |
|---|---|
| 提供機関数 | 8機関 |
| スタートアップ向け最低提供額 | 5000米ドル |
| カナダのクロード利用者数ランキング | 8位 |
この事例から確認すべきポイント
本発表は、主要な生成AI開発企業が国際的なAI研究エコシステム、特に責任あるAI開発と多様な言語対応に積極的に投資している現状を示す。企業広報の観点からは、自社の技術が社会貢献や特定の研究分野にどのように寄与するかを具体的に示す好事例となる。また、AI技術の普及に伴い、その「責任ある活用」が企業活動において重要なテーマとなっていることが再確認できる。特に、研究資源の少ない言語や方言への対応は、AIの公平性や包摂性を確保する上で重要な視点であり、多言語対応を必要とする企業にとって、今後のAI開発の方向性を検討する上での参考となるだろう。さらに、スタートアップ支援を通じてエコシステム全体を育成する戦略も注目される。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-17
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