マレーシア、AI国家実現に向けた行動計画「MD2030」を発表
この発表の要点
- マレーシア政府は2030年までのAI国家実現を目指す行動計画「MD2030」を発表した。
- 行政サービスの高度化、産業競争力の強化、イノベーション促進を目的とし、9つの具体的な目標を掲げている。
- AI人材の育成・誘致、関連法整備、国内テクノロジー企業支援、大規模なデジタル分野投資を推進する。
企業・自治体への影響
マレーシアのAI国家実現に向けた行動計画は、IT・ソフトウェア、製造、金融、小売など幅広い産業分野において、デジタル技術を活用したビジネス機会を創出する可能性があります。特に、AI関連技術やデータセンター、クラウドサービスを提供する企業にとっては、新たな市場開拓や投資機会が期待されます。また、マレーシアに進出している、または進出を検討している企業は、現地のデジタル政策や税制優遇措置を把握し、事業戦略に組み込むことが重要です。
対応すべきこと
- マレーシアの「MD2030」行動計画の全体像と具体的な目標を確認する。
- 自社の事業がマレーシアのデジタル分野投資やAI関連施策とどのように関連するかを評価する。
- マレーシア・デジタル(MD)税制優遇措置など、関連する政策や制度の詳細を公式出典で確認する。
- マレーシア市場における新たなビジネス機会やパートナーシップの可能性を検討し、関係部門へ共有する。
対象部門: 経営者 広報 経理 法務
対応期限:2030年まで
基本データ
| 企業・団体 | マレーシア政府 |
|---|---|
| 業界 | IT・ソフトウェア |
| 発表日 | 2026-06-29 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月17日
添付資料(133 KB)
マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は6月29日、第13次マレーシア計画(2026~2030年)で掲げる「2030年までのAI国家実現」に向けた行動計画「Malaysia Digital 2030(MD2030)」を発表した(MD2030行動計画資料)。AI(人工知能)やデジタル技術を活用し、行政サービスの高度化、産業競争力の強化、イノベーションの促進を目指す。MD2030はデジタル省が主導し、全ての関係省庁、デジタル省傘下の国家AIオフィス(NAIO)、マレーシア・デジタルエコノミー公社(MDEC)、GovTech Malaysiaなど関係機関・部署が連携して実施する。
MD2030では、既存政策との整合を図りつつ、次の9つの目標を2030年までに達成することを掲げた。
Gデジタル経済のGDPへの寄与率30%
スイスのビジネススクールの国際経営開発研究所(IMD)世界デジタル競争力ランキングトップ25
国連の電子政府開発指数トップ20
世界銀行のGovTech成熟度指数でグループAを維持
英国エコノミスト誌調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)のデジタル包摂指数でトップ20
マレーシア統計局のマレーシア幸福指数(MyWI)で年率1.6%成長(2026~2030年)
スタンフォードAI指数でトップ10
英国調査機関オクスフォード・インサイツによる政府AI準備指数でトップ10
世界知的所有権機関(WIPO)グローバルイノベーション指数でトップ20
これらの達成に向け、「政府」「経済」「インフラ」「人材」「社会」「信頼・安全」「イノベーション」の7つを戦略分野に定め、具体的な行動目標を策定した(添付資料表参照)。AI国家実現に向けては、国家AIソブリンクラウド(注)やスーパーコンピュータ・クラスターの開発、AIの専門人材2,000人の誘致、AI対応に向けた70万人のリスキリング、AI関連法の整備などを進め、AI活用とデータ保護の両立を図る。
また、デジタル技術の利用国から創出国への転換を目指し、国内テクノロジー企業5,000社への支援、ユニコーン企業5社の創出、デジタル分野投資認可額1,500億リンギ(約6兆円、1リンギ=約40円)を目標に掲げた。
MDECによると、デジタル分野への投資は活況で、2025年のデジタル分野投資認可額は874億リンギだった。過去最高を記録した2024年(1,636億リンギ)に続く高水準で、AI、ビッグデータ、データセンター、クラウドサービスが投資を牽引した。政府は2024年5月から、マレーシア・デジタル(MD)税制優遇措置を導入している(2024年6月10日記事参照)。
(注)各国の法規制に準拠し、データ主権を確保することを目的としたクラウドサービスを指す。
(ニサ・モハマド、山口あづ希)
(マレーシア)
ビジネス短信 d5f8be84dcb32573
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マレーシア、AI国家実現に向けた行動計画「MD2030」を発表
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/d5f8be84dcb32573.html
時系列
- 2024-05 マレーシア・デジタル(MD)税制優遇措置を導入
- 2026-06-29 アンワル・イブラヒム首相が行動計画「Malaysia Digital 2030(MD2030)」を発表
- 2026-07-17 ジェトロが「MD2030」発表に関するビジネス短信を公開
主な数値
| デジタル経済のGDP寄与率目標 | 30% |
|---|---|
| AI専門人材誘致目標 | 2000人 |
| AI対応リスキリング目標 | 700000人 |
| 国内テクノロジー企業支援目標 | 5000社 |
| ユニコーン企業創出目標 | 5社 |
| デジタル分野投資認可額目標 | 150000000000リンギ |
| デジタル分野投資認可額目標(円換算) | 6000000000000円 |
| 2025年デジタル分野投資認可額実績 | 87400000000リンギ |
| 2024年デジタル分野投資認可額実績 | 163600000000リンギ |
| マレーシア幸福指数(MyWI)年率成長目標 | 1.6% |
この事例から確認すべきポイント
マレーシア政府が発表した「MD2030」は、AIとデジタル技術を国家戦略の中核に据え、経済成長と社会変革を同時に推進する意欲的な計画です。行政サービスの高度化から産業競争力の強化、イノベーション促進まで多岐にわたる目標設定は、デジタル化が遅れることのリスクを認識し、国家レベルで包括的な対応を進める姿勢を示しています。特に、AI人材の育成・誘致や関連法整備、国家AIソブリンクラウドの開発といった具体的な施策は、技術基盤の確立とデータ主権の確保を重視していることが伺えます。また、国内テクノロジー企業への支援やユニコーン企業創出目標は、単なる技術利用国に留まらず、デジタル技術の「創出国」への転換を目指す強い意志の表れです。日本企業にとっては、マレーシアのデジタル市場への参入機会や、現地企業との連携を通じた新たなビジネスチャンスが生まれる可能性があり、今後の動向を注視する必要があります。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-17
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