世界銀行、原油高でラオス経済の成長率鈍化を予測
この発表の要点
- 世界銀行は、ラオス経済の2026年実質GDP成長率が原油高騰により3.8%へ鈍化すると予測。
- 2026年の平均インフレ率は9.4%に再上昇し、財政・経常収支黒字も縮小見込み。
- 燃料輸入依存度と外部ショックへの対応余力不足が課題だが、構造改革や再生可能エネルギーへの転換が下支え要因となる可能性。
企業・自治体への影響
ラオスと取引のある企業、ラオスへの投資を検討する企業、サプライチェーンにラオスを含む企業に影響があります。特にエネルギー関連、製造業、物流、観光業は、燃料価格高騰によるコスト増、インフレによる購買力低下、世界需要の減速といったリスクを考慮し、事業計画やリスク管理を見直す必要があります。
対応すべきこと
- ラオス経済に関する最新の公式レポート(世界銀行、ジェトロ等)を定期的に確認し、事業への影響を評価する。
- ラオスとの取引がある場合、燃料価格変動による輸送・生産コストへの影響を評価し、価格交渉や契約条件の見直しを検討する。
- ラオス市場への進出や投資を検討している場合、経済成長率、インフレ率、財政状況などのマクロ経済指標を注視し、リスク評価を更新する。
- サプライチェーンにラオスを含む企業は、燃料・肥料価格上昇が農業分野や製造業に与える影響を把握し、代替調達先の検討や在庫戦略を見直す。
対象部門: 経営者 経理 広報 法務
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 世界銀行 |
|---|---|
| 発表日 | 2026-07-17 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月17日
世界銀行は7月8日、ラオスの経済分析レポート「ラオ・エコノミックモニター」を発表した。ラオス経済は2025年に実質GDP成長率4.8%(注1)を達成し、観光業や運輸サービス、電力輸出、資源分野への投資拡大などを背景に、通貨安と高インフレが続いた数年間から回復の兆しを見せた。しかし、2026年は中東情勢の緊迫化に伴う原油価格高騰の影響を受け、成長率は3.8%へ減速すると予測している。
2026年第1四半期の実質GDP成長率は前年同期比5.5%で、卸売り・小売りなどサービス業が5.8%増と成長を牽引した。一方、原油価格上昇に伴う燃料価格急騰で輸送・物流コストや企業の生産コストが上昇し、家計の購買力や企業収益を圧迫している。農業分野では燃料・肥料価格の上昇、観光業でも世界需要の減速や輸送費上昇を背景に、成長鈍化の兆しがみられる。
物価面では、平均インフレ率が2024年の23.1%から2025年には7.7%へ大幅に低下したものの、2026年は再び上昇に転じた。4月のインフレ率は原油価格高騰の影響で10.2%に達し、域内(注2)でも高い水準となった。世界銀行は、燃料輸入への依存度の高さに加え、財政や外貨準備など外部ショックへの対応余力が限られていることを要因に挙げ、2026年の平均インフレ率を9.4%と見込む。
財政面では、税収増加を背景に2025年はGDP比1.9%の財政黒字を維持したが、2026年は燃料物品税の減税やGDP比3.2%に相当する公的債務への利払い負担を受け、同1.0%へ縮小する見込みだ。経常収支黒字も、燃料輸入や利払い、利益送金の拡大などを受け、2025年のGDP比12.0%から2026年には6.2%へ縮小すると予測している。
世界銀行は、中東情勢の長期化による原油価格や海上輸送コストの上昇、主要貿易相手国の成長鈍化、世界的な金融引き締めによる債務借り換えの困難化などを下振れリスクに挙げた。一方、構造改革や債務再編の進展、原油価格の安定化は経済を下支えする可能性があるほか、高止まりする燃料価格が水力発電を中心とした再生可能エネルギーへの域内需要を押し上げる可能性があると指摘した。
(注1)世界銀行が2025年末時点で示していた経済成長見通し(4.2%)を0.6ポイント上回った(2025年12月19日記事参照)。
(注2)ここでは、東アジア・大洋州地域の開発途上諸国を指す。カンボジア、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナム、ブルネイ、東ティモール、中国、モンゴルのほかに、フィジー、キリバスなどの太平洋島しょ国を含む。
(山田健一郎)
(ラオス、中東)
ビジネス短信 6d7b8d2099827767
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世界銀行、原油高でラオス経済の成長率鈍化を予測
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/6d7b8d2099827767.html
時系列
- 2025-12-19 世界銀行が2025年末時点で示していた経済成長見通し(4.2%)を発表
- 2026-07-08 世界銀行がラオスの経済分析レポート「ラオ・エコノミックモニター」を発表
- 2026-07-17 本記事が発表される
主な数値
| 2025年実質GDP成長率 | 4.8% |
|---|---|
| 2026年実質GDP成長率予測 | 3.8% |
| 2026年第1四半期実質GDP成長率 | 5.5% |
| 2026年第1四半期サービス業成長率 | 5.8% |
| 2024年平均インフレ率 | 23.1% |
| 2025年平均インフレ率 | 7.7% |
| 2026年4月インフレ率 | 10.2% |
| 2026年平均インフレ率予測 | 9.4% |
| 2025年財政黒字 | 1.9GDP比% |
| 2026年財政黒字予測 | 1.0GDP比% |
| 2026年公的債務利払い負担 | 3.2GDP比% |
| 2025年経常収支黒字 | 12.0GDP比% |
| 2026年経常収支黒字予測 | 6.2GDP比% |
| 2025年末時点の経済成長見通し | 4.2% |
| 2025年経済成長見通しからの上振れ | 0.6ポイント |
この事例から確認すべきポイント
世界銀行のレポートは、ラオス経済が観光業や電力輸出などを背景に一時的な回復を見せたものの、中東情勢の緊迫化による原油価格高騰が成長の足かせとなっている現状を明確に示しています。燃料輸入への高い依存度と、財政・外貨準備における外部ショックへの対応余力の限界が、インフレ再燃や財政・経常収支の悪化を招く主要因と分析されており、ラオス経済の構造的な脆弱性が浮き彫りになっています。企業は、ラオス市場への進出やサプライチェーン構築を検討する際、これらのマクロ経済リスクを十分に評価し、燃料価格変動やインフレ動向が事業コストや収益に与える影響を詳細に分析する必要があります。一方で、構造改革の進展や再生可能エネルギーへの転換が経済を下支えする可能性も指摘されており、長期的な視点での動向監視が重要です。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-17
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