公的年金財政状況報告-令和6(2024)年度-
この発表の要点
- 令和6年度の公的年金制度は、運用損益を除くと単年度で0.1兆円のマイナス収支となった。
- 時価ベースの運用益2.0兆円により、年度末積立金は306.0兆円に増加した。
- 合計特殊出生率の低下傾向と実質賃金上昇率の低迷が年金財政にマイナスの影響を与える可能性があり、長期的な注視が必要とされている。
企業・自治体への影響
本報告は、企業の人事・経理部門に対し、従業員の社会保険料負担や将来の年金給付水準に関する情報提供の必要性を示唆する。特に、少子高齢化や経済状況が年金財政に与える影響は、企業の福利厚生制度や退職金制度の検討にも関連しうるため、中長期的な視点での影響評価が求められる。
対応すべきこと
- 厚生労働省ウェブサイトにて、本報告書のPDF及びExcelファイルの詳細を確認し、自社への影響を評価する。
- 人事・経理部門は、従業員への年金制度に関する情報提供や説明会の実施を検討する。
- 社会保障制度の動向を継続的に注視し、中長期的な人事戦略や福利厚生制度への影響を評価する。
- 関係部門(人事、経理、総務、経営層)へ本発表の内容を共有し、認識を統一する。
対象部門: 経営者 総務 人事 経理
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 厚生労働省 |
|---|---|
| 業界 | 政府・公共サービス |
| 発表日 | 2026-06-16 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
| 地域 | 東京都 |
発表された内容
令和8年6月16日
年金局総務課 首席年金数理官室
代表番号03-5253-1111(内線3382)
令和6年度公的年金財政状況報告のポイントについて
※報告書のPDF及びExcelファイルはページ下部に掲載しております。
「公的年金財政状況報告」は、社会保障審議会年金数理部会が、公的年金の毎年度の財政状況について、公的年金の各制度・各実施機関からの報告に基づき、専門的な観点から横断的に分析・評価を行った結果をとりまとめたもの。
1.公的年金の収支状況 (報告書130~135頁参照)
公的年金制度全体でみると、令和6(2024)年度は、運用損益分を除いた収入総額55.7兆円、支出総額55.8 兆円であったことから、運用損益分を除いた単年度収支残は0.1兆円のマイナス。また、時価ベースの運用損益は2.0兆円のプラス。その結果、時価ベースの年度末積立金は前年度に比べ2.0兆円増加し、306.0兆円。
2.公的年金の財政状況の評価 (報告書237、238頁参照)
令和6(2024)年度までの実績と令和6(2024)年財政検証の前提や将来見通しを比較するだけではなく、長期的な財政の均衡の観点から評価。
○ 令和6(2024)年度は令和6(2024)年財政検証における将来見通しと比較する初年度であるが、本報告では令和6(2024)年度の実績について以下のことを確認した。
国民年金第1号被保険者数、厚生年金被保険者数ともに実績が将来見通しを上回った。これは、外国人入国超過数の実績が令和5(2023)年推計注におけるいずれの仮定値も上回って いることも影響していると考えられる。また、65 歳の平均余命の実績は、令和5(2023)年推計における死亡高位の仮定値と概ね同水準であった。これらは公的年金財政にはプラスの効果となる。
一方で、合計特殊出生率は平成28(2016)年より低下傾向が続いており、令和6(2024)年の実績は令和5(2023)年推計における出生低位の仮定値と概ね同水準となっている。また、実質賃金上昇率(対物価)は令和6(2024)年財政検証におけるいずれのケースの前提も下回っている。これらは公的年金財政にはマイナスの効果となる。
積立金については、令和5(2023)年度末の実績が将来見通しを上回っていたこともあり、令和6(2024)年度末においても実績が将来見通しを上回った。なお、令和5(2023)年度末の実績が将来見通しを上回った部分のほとんどは、将来見通しの積立金に平滑化したものが使われていることによるものである。
令和6(2024)年度は、マクロ経済スライドによる給付水準調整が行われた一方で、賃金の上昇が物価上昇に追いつかず、実質賃金の伸びはマイナスとなったことから、令和5(2023) 年度とは異なり、既裁定年金の伸びを賃金の伸びより抑制する効果は発動されなかった。
○これらの将来見通しからの乖離が、一時的なものではなく中長期的に続いた場合には、年金財政に与える影響は大きなものとなる。特に、令和6(2024)年の合計特殊出生率は令和5(2023)年より低下し、令和5(2023)年推計における出生低位の仮定値と概ね同水準である。このような傾向が今後も継続するようであれば、将来の年金制度の運営は大きな影響を受ける。
年金数理部会としては、このような観点からも毎年の制度運営の動向を注視していくこととする。
○ 年金財政の観点からは、人口要素、経済要素等いずれも短期的な動向にとらわれることなく、長期的な観点から財政状況の動向を注視すべきである。
注 国立社会保障・人口問題研究所による将来人口(令和5年推計)
※ 公的年金財政における長期的な財政の均衡は、将来の保険料収入、国庫負担と現在保有する積立金をあわせた財源の全体と、将来の年金給付の全体で図られている。
PDF及びExcelファイル
公的年金財政状況報告-令和6(2024)年度-
報告書
表紙、委員名簿[PDF形式:68KB]
ポイント[PDF形式:184KB]
概要[PDF形式:1.2MB]
目次[PDF形式:90KB]
第1章[PDF形式:1.9MB]
第2章[PDF形式:1.9MB]
第3章[PDF形式:1.8MB]
付属資料[PDF形式:1.3MB]
長期時系列表等
公的年金制度一覧(掲載作業中)
財政収支状況(掲載作業中)
長期時系列表(1)(掲載作業中)
長期時系列表(2)(掲載作業中)
長期時系列表(3)(掲載作業中)
長期時系列表(4)(掲載作業中)
長期時系列表(5)(掲載作業中)
参考資料等
(参考)令和6年度財政状況-厚生年金保険(第1号)-(掲載作業中)
(参考)令和6年度財政状況-国家公務員共済組合-(掲載作業中)
(参考)令和6年度財政状況-地方公務員共済組合-(掲載作業中)
(参考)令和6年度財政状況-私立学校教職員共済制度-(掲載作業中)
(参考)令和6年度財政状況-国民年金・基礎年金制度-(掲載作業中)
(参考)令和6年度実績と財政検証における将来見通しとの比較(掲載作業中)
PDFファイルを見るためには、Adobe Readerというソフトが必要です。Adobe Readerは無料で配布されていますので、こちらからダウンロードしてください。
出典: 厚生労働省
URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198528_00017.html
時系列
- 2016-01-01 合計特殊出生率が低下傾向を開始(平成28年より)
- 2023-01-01 国立社会保障・人口問題研究所による将来人口(令和5年推計)が発表
- 2024-03-31 令和5年度末の積立金実績が将来見通しを上回る
- 2024-04-01 令和6年度の公的年金財政状況の評価対象期間開始
- 2024-04-01 令和6年度にマクロ経済スライドによる給付水準調整が実施
- 2026-06-16 令和6年度公的年金財政状況報告が発表
主な数値
| 運用損益分を除いた収入総額 | 55.7兆円 |
|---|---|
| 運用損益分を除いた支出総額 | 55.8兆円 |
| 運用損益分を除いた単年度収支残 | -0.1兆円 |
| 時価ベースの運用損益 | 2.0兆円 |
| 時価ベースの年度末積立金 | 306.0兆円 |
| 年度末積立金の前年度比増加額 | 2.0兆円 |
この事例から確認すべきポイント
本報告は、公的年金制度の財政状況を客観的に評価し、将来に向けた課題を明確に示している。令和6年度は運用損益を除くと単年度でマイナス収支となったものの、運用益により積立金は増加した。しかし、国民年金・厚生年金被保険者数の増加がプラス要因となる一方で、合計特殊出生率の低下傾向と実質賃金上昇率の低迷がマイナス要因として指摘されており、これらの傾向が中長期的に続いた場合の年金財政への影響は大きいとされている。企業は、従業員の社会保険料負担や将来の年金給付水準に関する情報提供の必要性を認識し、人事・経理部門を中心に社会保障制度の動向を継続的に注視する必要がある。特に、将来の人口動態や経済状況が企業の福利厚生制度や退職金制度に与える影響を評価し、中長期的な人事戦略に反映させる重要性が高まっている。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-06-19
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