政府系ファンドINA、2025年版年次報告書を発表、先端材料・製造業などに投資対象を拡大
この発表の要点
- インドネシア投資庁(INA)は2025年版年次報告書を発表し、累計74兆5,000億ルピア(約47億ドル)を投資。
- 投資対象を従来のインフラ、デジタル、グリーンエネルギー、ヘルスケアに加え、先端材料や製造業に拡大。
- LFP正極材生産施設、データセンター、血漿由来医薬品製造施設などの具体的な案件を進め、2026年以降も重点分野への投資を継続する方針。
企業・自治体への影響
インドネシアへの投資を検討している製造業、IT・デジタル、エネルギー、ヘルスケア関連企業は、INAの投資動向を注視する必要がある。特に先端材料やEV関連産業は、インドネシアにおけるサプライチェーン構築の機会が増加する可能性がある。関連企業は、INAとの共同投資や提携を通じて、インドネシア市場への参入や事業拡大の機会を探ることができる。
対応すべきこと
- INAの公式発表(年次報告書)を確認し、詳細な投資戦略や対象分野を把握する。
- 自社の事業がINAの重点投資分野(ヘルスケア、運輸・物流、グリーンエネルギー、デジタル・AI、先端材料・製造業)に該当するか確認する。
- インドネシア市場への参入や事業拡大を検討している場合、INAとの連携可能性を調査する。
- 関係部門(経営企画、海外事業、IRなど)へ本発表の内容を共有し、今後の戦略立案に活用する。
対象部門: 経営者 法務 広報 経理
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | インドネシア投資庁(INA) |
|---|---|
| 業界 | 金融 |
| 発表日 | 2026-07-07 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月07日
インドネシアの政府系ファンド、インドネシア投資庁(INA、注)は7月1日、2025年版年次報告書を発表した。設立から5年目を迎えたINAは、投資パートナーと共同で累計74兆5,000億ルピア(約47億ドル)を投資した。うちINA単体での投資実行額は33兆3,000億ルピア(約21億ドル)で、共同投資などを通じて誘致に貢献した外国直接投資額(FDI)は41兆2,000億ルピア(約26億ドル)に達した。運用資産総額(AUM)は146兆2,000億ルピア(約91億ドル)と、設立時の1.9倍に拡大した。
INAは2025年、投資戦略として、従来のインフラ、運輸・物流、グリーンエネルギー、デジタル、ヘルスケア分野に加えて、先端材料や製造業にも投資対象を拡大した。2025年末時点の累計投資配分は、インフラ・運輸・物流が44.0%、デジタル・デジタルインフラが29.6%、グリーンエネルギー・エネルギー転換が9.8%、ヘルスケアが9.2%、先端材料が5.5%だった。
先端材料分野では、INAは中国の常州利源(Changzhou Liyuan)と提携し、クンダル工業団地内のPT LBM Energi Baru Indonesiaを通じて、インドネシア初のリン酸鉄リチウム(LFP)正極材の生産施設の開発を進めている。第1期の年産能力は2025年に3万トンに達し、第2期11万トンが2026年、第3期12万トンが2027年に稼働する予定で、INAは同案件が中国国外で最大級のLFP正極材生産基盤になるとしている。デジタル分野では、シンガポール系DayOneとバタム島のノンサ・デジタル・パークで72.4メガワット(MW)規模、投資額約6億ドルのデータセンターを開発している。医療分野では、韓国SKプラズマ社との合弁で、西ジャワ州カラワンに血漿(けっしょう)由来医薬品の製造施設を建設中で、2025年末時点で建設進捗は98%超、2026年後半の商業運転開始、2027年に製品生産を開始する予定とした。
INAは年次報告書で、2026年以降もヘルスケア、運輸・物流、グリーンエネルギー、デジタル・AI(人工知能)、先端材料・製造業などを重点分野とし、民間資産や商業性の高い案件への投資機会を探るとした。INAのオキ・ラマダナ取締役会長兼CEOは、「これらの新規分野への投資拡大は、投資のインパクトを高め、より高いリターンを確保するためのINAの長期戦略の1つである」と強調した(7月2日付、「コンパス」)。
(注)INAは、インドネシア政府が全額所有し、財務相らが監督理事会を通じてガバナンスに関与する政府系ファンドで、国内外の投資家との共同投資を通じ、インドネシアの成長分野に長期資金を呼び込む役割を担う。2025年に設立された政府系ファンド「ダナンタラ」(2025年3月3日記事参照)については年次報告書で、国営企業資産や投資を所管する機関として位置付けている。
(ティアラ・ダルマシャンティ、大滝泰史)
(インドネシア)
ビジネス短信 3f913da808d93092
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政府系ファンドINA、2025年版年次報告書を発表、先端材料・製造業などに投資対象を拡大
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/3f913da808d93092.html
時系列
- 2025-12-31 血漿由来医薬品製造施設の建設進捗が98%超に到達
- 2026-07-01 インドネシア投資庁(INA)が2025年版年次報告書を発表
- 2026-07-02 「コンパス」がINAのオキ・ラマダナ取締役会長兼CEOの発言を報道
主な数値
| 累計投資額 | 74.5兆ルピア |
|---|---|
| 累計投資額 | 4.7億ドル |
| INA単体投資実行額 | 33.3兆ルピア |
| INA単体投資実行額 | 2.1億ドル |
| 誘致外国直接投資額 | 41.2兆ルピア |
| 誘致外国直接投資額 | 2.6億ドル |
| 運用資産総額(AUM) | 146.2兆ルピア |
| 運用資産総額(AUM) | 9.1億ドル |
| AUM拡大率(設立時比) | 1.9倍 |
| 投資配分(インフラ・運輸・物流) | 44.0% |
| 投資配分(デジタル・デジタルインフラ) | 29.6% |
| 投資配分(グリーンエネルギー・エネルギー転換) | 9.8% |
| 投資配分(ヘルスケア) | 9.2% |
| 投資配分(先端材料) | 5.5% |
| LFP正極材生産施設 第1期年産能力 | 3万トン |
| LFP正極材生産施設 第2期年産能力 | 11万トン |
| LFP正極材生産施設 第3期年産能力 | 12万トン |
| データセンター規模 | 72.4MW |
| データセンター投資額 | 6億ドル |
| 血漿由来医薬品製造施設建設進捗 | 98%超 |
この事例から確認すべきポイント
インドネシア投資庁(INA)の2025年版年次報告書は、同国が産業構造の高度化と経済成長を加速させるための明確な戦略を示しています。従来のインフラやデジタル分野に加え、先端材料や製造業への投資対象拡大は、高付加価値産業の育成とグローバルサプライチェーンへの統合を目指すINAの強い意志を反映しています。特に、中国企業とのLFP正極材生産施設の開発は、電気自動車(EV)バッテリー関連産業におけるインドネシアの存在感を高める重要な動きです。また、シンガポールや韓国企業との提携は、国際的な技術導入と生産能力強化を重視する姿勢を示唆しています。企業は、INAが掲げる重点投資分野(ヘルスケア、運輸・物流、グリーンエネルギー、デジタル・AI、先端材料・製造業)を注視し、インドネシア市場への参入や既存事業の拡大機会を積極的に検討すべきです。INAの投資動向は、インドネシアにおける新たなビジネスチャンスを創出する可能性を秘めています。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-07
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