米税関、強制労働に関する輸入業者向け実務ガイダンスを公表
この発表の要点
- 米国税関・国境警備局(CBP)が強制労働関連の輸入規制に関する実務ガイダンスを公表した。
- ガイダンスは、1930年関税法307条、UFLPA、CAATSAに基づく法執行プロセスと実務上の留意点を体系的に解説している。
- CBPは輸入業者に対し、貨物留置前にサプライヤーへのデューディリジェンス実施を推奨している。
企業・自治体への影響
本ガイダンスは、米国へ製品を輸出または輸入する企業、特にサプライチェーンに中国新疆ウイグル自治区や北朝鮮関連の要素を持つ企業に直接的な影響を与えます。貿易・物流部門、法務部門、調達部門は、既存のサプライチェーンにおける強制労働リスクを再評価し、デューディリジェンス体制を強化する必要があります。
対応すべきこと
- 米国税関・国境警備局(CBP)が公表した実務ガイダンスの全文を確認する。
- 自社のサプライチェーンにおける強制労働リスクを特定し、デューディリジェンス体制を強化する。
- 法務部門や調達部門と連携し、1930年関税法307条、UFLPA、CAATSAへの対応状況を確認・改善する。
- 関係部門へ本ガイダンスの内容を共有し、今後の貿易実務への影響を検討する。
対応優先度: 高 強制労働に関与する物品の輸入は、米国で貨物の留置・押収・没収につながる可能性があり、企業に重大な法的・経済的・風評リスクをもたらすため。
対象部門: 経営者 総務 法務 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 米国税関・国境警備局(CBP) |
|---|---|
| 業界 | 貿易・物流 |
| 発表日 | 2026-06-12 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年06月16日
米国税関・国境警備局(CBP)は6月12日、強制労働の関与が疑われる物品の米国への輸入を防止するための概要を説明した、輸入業者向け実務ガイダンスを公表した。1930年関税法307条、ウイグル強制労働防止法(UFLPA)、対敵国制裁法(CAATSA)について説明している。今回のガイダンスの公表は、CBPの本件に関する法執行状況全般についての透明性を高めることを目的としている。
米国の1930年関税法307条は、強制労働、児童労働、囚人労働などの労働搾取を通じて生産された物品の輸入を原則禁止している。CBPは強制労働などへの関与を推定した場合、違反商品保留命令(WRO)を発令し、対象物品の輸入を差し止める。また、強制労働などへの関与を正式に「認定(Finding)」した場合には、対象物品の輸入を差し止め、押収・没収する。
また、UFLPAでは中国の新疆ウイグル自治区で生産された製品やUFLPAの事業者リストに掲載された事業者が生産した製品を、CAATSAでは北朝鮮国民が生産に関与した製品などを、強制労働の利用があるとみなして原則輸入禁止としている。これらの法律に基づき、CBPは対象製品の輸入を差し止める。
同ガイダンスでは、CBPが運用する上記の法的枠組みについて、その概要と実務上の留意点を体系的に示した。具体的には次の3つの内容を含む。
UFLPA、CAATSA、WRO、および認定に基づく措置に関する法執行プロセスのフローチャート
UFLPA、CAATSA、WRO、および認定の各法執行プロセスに関する詳細な解説(輸入者が直面し得る問題や貨物の留置および排除への対応方法に関する段階的なガイダンス)
UFLPAの重点対象分野において推奨されるサプライチェーン関連文書、UFLPA対応のデューディリジェンス(適正評価)の実践例、UFLPA・WRO・CAATSAに関連する留置・排除通知のサンプル、ならびに再搬入通知や原産地証明書のサンプル
CBPは輸入業者に対し、同ガイダンスを確認した上で、貨物が留置される前にサプライヤーに対するデューディリジェンスを実施することを推奨している。
なお、CBPは2025年6月に強制労働の関与が疑われる外国製品を申し立てるポータルサイトを設置しており、同サイトを通じて輸入の差し止めなどの執行状況を公開している(2025年7月2日記事参照)。また強制労働を巡っては、米国通商代表部が1974年通商法301条に基づき、日本を含む60カ国・地域からの原則全ての輸入品に10%または12.5%の追加関税を課すことを提案している(2026年6月3日記事参照)。
(久峨喜美子)
(米国、中国)
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米税関、強制労働に関する輸入業者向け実務ガイダンスを公表
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出典: JETRO ビジネス短信
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/557dd44494d232d9.html
時系列
- 2025-06 CBPが強制労働の関与が疑われる外国製品を申し立てるポータルサイトを設置
- 2026-06-03 米国通商代表部が1974年通商法301条に基づき、日本を含む60カ国・地域からの原則全ての輸入品に10%または12.5%の追加関税を課すことを提案
- 2026-06-12 米国税関・国境警備局(CBP)が強制労働に関する輸入業者向け実務ガイダンスを公表
- 2026-06-16 JETROが「米税関、強制労働に関する輸入業者向け実務ガイダンスを公表」記事を公開
主な数値
| 対象国・地域数(追加関税提案) | 60カ国・地域 |
|---|---|
| 追加関税率(提案) | 10% |
| 追加関税率(提案) | 12.5% |
この事例から確認すべきポイント
米国税関・国境警備局(CBP)による強制労働関連輸入業者向け実務ガイダンスの公表は、国際的なサプライチェーンを持つ企業にとって重要な意味を持つ。特に、1930年関税法307条、UFLPA、CAATSAといった既存の法規制の執行が強化されることを示唆しており、輸入業者はこれらの法律に基づくリスクを再評価する必要がある。ガイダンスには法執行プロセスのフローチャートや詳細な解説、デューディリジェンスの実践例などが含まれており、企業はこれを活用して自社のサプライチェーンにおける強制労働リスクを特定し、管理体制を強化することが求められる。CBPがデューディリジェンスの実施を推奨していることから、単なる法令遵守に留まらず、積極的なリスク管理が不可欠となる。また、関連情報として追加関税の提案も示されており、強制労働問題が貿易政策全体に与える影響は広範に及ぶ可能性がある。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-06-16
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