経済・産業トレンド

欧州産業界、欧州委のEU ETS改正案に強い懸念を示す

欧州委員会が7月17日に発表したEU排出量取引制度(EU ETS)改正案に対し、ビジネスヨーロッパやエネルギー集約型産業団体など欧州産業界が強い懸念を表明しました。産業界は、無償排出枠の付与条件の複雑化、国際競争激化、投資余力低下、低価格エネルギー供給の不透明さ、持続可能な燃料の価格差、産業電化への投資遅滞などを指摘し、追加支援やETS収入の優先投入を求めています。

最終確認日: 2026-08-04

この発表の要点

企業・自治体への影響

EU域内で事業を展開する製造業、航空業、海運業、エネルギー産業などの企業は、EU ETS改正案が最終決定された場合、炭素排出コストの増加、投資環境の変化、国際競争力の変動といった経営上の影響を受ける可能性があります。特に、脱炭素化に向けた投資計画やサプライチェーン戦略の見直しが求められます。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 法務 経理 広報

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 日本貿易振興機構(ジェトロ)
業界 エネルギー・環境・製造・運輸・物流
発表日 2026-08-04
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年08月04日

欧州委員会が7月17日に発表したEU排出量取引制度(EU ETS)の改正案(2026年7月29日記事参照)に対し、産業界からは厳しい声が相次いだ(注)。ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は、温室効果ガス(GHG)の年間削減率の引き下げや無償排出枠の段階的廃止ペースの緩和を評価した一方、2031年以降の無償排出枠の付与条件については、手続きの複雑化や、2036年以降のEU域外のカーボンクレジットの取り扱いが不明瞭などと指摘した。

エネルギー集約型産業の業界団体は、改正案が国際競争の激化やEU企業の収益性・投資余力の低下といった現状を十分に考慮していないと批判した。欧州鉄鋼連盟(EUROFER)は、脱炭素化に不可欠な低価格の電力や水素の安定供給の見通しが不透明な中で投資判断を迫られることへの懸念を示した。また、無償排出枠の付与を投資実施の条件とする仕組みについても、法的確実性、特に企業の経営判断の自由度の観点から問題があると指摘した。欧州化学工業連盟(Cefic)も同様に、エネルギーインフラ整備など投資環境の整備を訴えたほか、短期・中期的な炭素価格の高騰による負担を軽減するための追加的な支援が必要と述べた。

欧州最大の航空業界団体のエアラインズ・フォー・ヨーロッパ(A4E)と欧州船主協会(ECSA)は6月22日付の共同声明で、持続可能な燃料の価格は従来型燃料と比べて、海運で約4倍、航空で3~6倍に達すると指摘した。こうした価格差を縮小するには、供給拡大が不可欠だが、生産関連投資の約74%がアジアに集中しており、欧州の割合は約10%にとどまるとして、ETS収入を同分野に優先的に投入するよう訴えた。

欧州風力協会(ウインド・ヨーロッパ)は無償排出枠の廃止ペースの緩和について、産業の電化への投資が遅滞すると懸念を示した。また、ETS収入の使途に関し、欧州委の電化行動計画(2026年7月22日記事参照)と連動させ、今後のEU理事会(閣僚理事会)および欧州議会の審議過程で、産業の電化分野にも活用可能とするよう要請した。

(注)各団体の声明は全て7月17日付。

(滝澤祥子)

(EU)

ビジネス短信 4e1d780b7c2ff188

関連情報

dummy

もっと見る

ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース

欧州産業界、欧州委のEU ETS改正案に強い懸念を示す

ジェトロ公式SNSアカウント

出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/08/4e1d780b7c2ff188.html

時系列

主な数値

持続可能な燃料の価格差(海運) 約4倍
持続可能な燃料の価格差(航空) 3~6倍
持続可能な燃料生産関連投資(アジア) 約74%
持続可能な燃料生産関連投資(欧州) 約10%

この事例から確認すべきポイント

本事例は、EUの排出量取引制度改正案に対し、欧州産業界が広範な懸念を表明したものである。企業は、環境規制の強化が事業活動に与える影響を多角的に評価する必要があることを示唆しています。特に、排出量取引制度の変更は、無償排出枠の条件、炭素価格の変動、国際競争力、投資環境、サプライチェーンにおける持続可能な燃料の調達コストなど、多岐にわたる経営課題に直結します。広報担当者は、こうした政策変更の動向を早期に把握し、自社の事業への潜在的影響を分析するとともに、必要に応じて業界団体と連携し、政策提言活動を通じて企業の声を行政に届ける重要性を再認識すべきです。また、ステークホルダーに対し、環境規制への対応方針や進捗を透明性高く説明する準備も求められます。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-08-04 / 最終確認: 2026-08-04

執筆・確認主体

この記事は、上記の公式出典を一次情報として PRaze編集部(株式会社スキルマーク)が構造化・要約したものです。 要約と分類の生成にはAIを使用しています。

数値・日付・組織名・金額は公式発表の原文から転記しており、 原文に記載のない事項を補って書くことはしていません。 内容の正確性は公式出典をご確認ください。

編集・公開: PRaze編集部(株式会社スキルマーク) / 出典確認日: 2026-08-04

関連事例

自社のプレスリリースをPRazeに掲載しませんか?

無料でプレスリリースを掲載する