「アンネの日記」のVPN閲覧は著作権侵害に当たらず、EU司法裁判所が判決
この発表の要点
- 合理的なジオブロッキングがあれば、VPNによるアクセスのみでは著作権侵害とならない。
- EU加盟国間で著作権保護期間が異なる著作物のオンライン公開実務に影響を与える。
- デジタルアーカイブや文化資料の公開において、各国の権利状態確認と適切なアクセス制限が重要。
企業・自治体への影響
デジタルコンテンツを扱う企業、特にデジタルアーカイブや文化資料をオンライン公開する機関は、EU域内での著作権管理とジオブロッキング戦略の見直しが求められます。法務部門や広報部門は、この判決が自社のコンテンツ公開方針に与える影響を評価する必要があります。
対応すべきこと
- 自社が公開するデジタルコンテンツの著作権保護期間をEU加盟国ごとに確認する。
- 既存のジオブロッキング措置が「合理的」と判断される基準について、今後の動向を注視する。
- 法務部門と連携し、コンテンツ公開ポリシーおよびアクセス制限の実装について見直しを検討する。
- 関係部門(広報、IT、法務など)へ本判決の概要と影響を共有する。
対象部門: 経営者 法務 情シス 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | ジェトロ |
|---|---|
| 業界 | デジタルコンテンツ / 文化・芸術 |
| 発表日 | 2026-07-17 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
| 地域 | EU |
発表された内容
2026年07月17日
EU司法裁判所(CJEU)は7月9日、「アンネの日記」をめぐり、合理的なジオブロッキング(地域制限)(注)が講じられていれば、VPNでアクセスできることのみを理由に著作権侵害は成立しないとの判断を示した。
アンネ・フランクの著作物は、ベルギーなどでは既にパブリックドメインとして無料公開されている一方、オランダでは2037年まで著作権保護が存続している。本件被告らはベルギーで運営するウェブサイト上で学術版原稿を公開していたが、オランダなど保護国からはアクセスできないようジオブロッキングを導入していた。しかし、VPNを利用すればオランダからも閲覧できる状態にあったことが争点となっていた。
CJEUは、技術的措置に絶対的な完全性は求められないとした上で、合理的なジオブロッキングが実施されていれば、VPNでアクセス可能であることのみを理由に著作権侵害を認めるべきではない、と判断した。
また、VPNによるアクセス可能性だけを理由に侵害を認めれば、EU域内のどこか1カ国で著作権が存続している限り、著作権が満了した国におけるオンライン公開まで困難になると指摘した。
本判決は、加盟国間で著作権保護期間が異なる著作物について、適切なジオブロッキングを実施すれば、パブリックドメイン国におけるオンライン公開を認める方向性を示したものとして注目され、デジタルアーカイブや文化資料の公開実務にも影響を与える可能性がある。EU域内であっても著作物の権利状況が加盟国間で異なる場合があることを踏まえ、オンライン公開に際して各国の権利状態を確認した上で、必要に応じてアクセス制限などの適切な措置を講じることの重要性を示した判決といえる。
(注)ユーザーのIPアドレスからアクセス元の国・地域を判別・特定し、インターネット上のコンテンツの表示やサービスの利用を制限する仕組み。
(吉森晃)
(オランダ、EU)
ビジネス短信 dd11747e3d0142e1
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「アンネの日記」のVPN閲覧は著作権侵害に当たらず、EU司法裁判所が判決
ジェトロ公式SNSアカウント
出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/dd11747e3d0142e1.html
時系列
- 2026-07-09 EU司法裁判所(CJEU)が「アンネの日記」に関する判決を下す。
- 2026-07-17 ジェトロがEU司法裁判所の判決についてビジネス短信を公開。
主な数値
| 著作権保護期間(オランダ) | 2037年まで |
|---|---|
| 判決日 | 7月9日 |
この事例から確認すべきポイント
本判決は、デジタルコンテンツを扱う企業や文化機関にとって重要な指針となる。特に、EU域内で著作権保護期間が異なる著作物をオンライン公開する際の実務に影響を与える。合理的なジオブロッキング措置を講じていれば、VPNによるアクセス可能性のみを理由に著作権侵害とはならないという判断は、パブリックドメインとなった著作物の国際的な公開を促進する一方で、適切なアクセス制限の重要性を再確認させるものだ。企業は、自社が扱うコンテンツの著作権状況を各国で確認し、必要に応じて技術的なアクセス制限を導入・見直す必要がある。技術的措置の「絶対的な完全性」は求められないとしつつも、「合理的な」措置の基準については今後の事例を通じて明確化される可能性があるため、動向を注視すべきである。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-17
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