パキスタン、2026/2027年度連邦予算を発表
この発表の要点
- パキスタン政府は2026/2027年度連邦予算を公表し、財政健全化と成長下支えの両立を目指す。
- 歳出の約43%を債務利払いが占め、特に国内借入への依存による利払い負担増大が構造的課題。
- 輸出促進のための源泉徴収税率引き下げ、農業用機器の関税撤廃、デジタル経済への課税強化などが盛り込まれた。
企業・自治体への影響
パキスタンと取引のある日本企業や、パキスタン市場への進出を検討している企業は、輸出入関連の税制変更(源泉徴収税率引き下げ、関税撤廃)や、デジタル経済への課税強化が事業活動に影響を与える可能性があります。特に輸出入部門、経理部門、経営企画部門は、これらの変更が自社の事業計画や収益に与える影響を評価する必要があります。
対応すべきこと
- パキスタンとの貿易・投資に関わる企業は、輸出入関連の税制変更(源泉徴収税率、関税)の詳細を公式出典で確認する。
- デジタル経済関連事業を展開する企業は、インフルエンサー等への課税強化が自社の事業モデルに与える影響を評価する。
- 関係部門(経理、法務、経営企画、海外事業部など)へ本予算発表の概要と関連する変更点を共有する。
- 予算の国会審議の進捗と最終的な成立内容を継続的に注視する。
対象部門: 経営者 経理 法務 広報
対応期限:施行日まで
基本データ
| 企業・団体 | パキスタン政府 |
|---|---|
| 発表日 | 2026-06-23 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年06月23日
パキスタン政府は6月12日、2026/2027年度(2026年7月~2027年6月)連邦予算を公表した。総額は約18.7兆ルピー(約10.8兆円、1パキスタン・ルピー=約0.58円)で、財政健全化と成長下支えの両立を志向する内容となった。政府は個人所得税や州への財源配分を巡る調整を続け、公表は当初予定から2度延期された。今後、国会審議を経て7月1日までの成立が見込まれる。
歳入面では、連邦歳入庁(FBR)の税収目標を約15.3兆ルピー(前年度約13兆ルピー)とし、非税収入を含めた総収入は約20.6兆ルピーを計画する。一方、国家財政委員会(NFC、注1)制度に基づく州配分(約8.8兆ルピー)後の連邦政府純収入は約11.8兆ルピーにとどまり、借入依存体質は継続している。
歳出では、債務利払いが約8兆ルピー(注2)と最大項目で、歳出の約43%を占める。特に国内向け利払いの比重が高く、総歳出の約37%に達する。対外借入は、IMFプログラムの下で債務持続性を重視した財政規律が求められることに加え、低位のソブリン格付けにより国際市場での資金調達が成約されているため、拡大余地が限定的だ。この結果、高金利環境下での国内借入への依存が強まり、利払い負担の増大が構造化している。防衛費は前年度比約16%増の約3兆ルピーと拡充され、年金・補助金とともに固定的支出の比重が高い。
ムハンマド・オーラングゼーブ財務相の予算演説では、給与所得者への減税措置に加え、輸出促進を目的として輸出代金に係る源泉徴収税率の引き下げが打ち出された。さらに、農業分野での機械化推進と生産性向上のため、農業用機器・機械の輸入に対する関税撤廃が発表された。一方で、ユーチューバーやSNSのインフルエンサーの所得を対象としたデジタル経済への課税強化に加え、税務手続きの電子化推進を通じた課税基盤の拡大など新たな政策要素も柱に組み込まれた。
本予算は、IMFの拡大信用供与措置(EFF)(2024年9月30日記事参照)と強靭(きょうじん)性・持続可能性ファシリティー(RSF)(2025年5月14日記事参照)の枠組みに沿い、財政規律の維持と構造改革の継続を前提に策定されており、IMFが示す政策方針が色濃く反映されている。貿易自由化や関税合理化などの改革課題もその一環に位置付けられている。一方で債務負担の重さや歳入基盤の脆弱(ぜいじゃく)性といった課題は残るものの、改革の着実な実施を通じ、対外信用の回復とマクロ経済の安定化を経て、持続的成長への移行が期待される。
(注1)NFC(National Finance Commission)とは、国の税収を連邦政府と4州の間で分配するルールを定める、憲法に基づく制度。各州への配分は、人口や貧困状況、地域特性など複数の基準を踏まえて決定されており、財政基盤が脆弱な州に対しては一定の財政調整機能を果たしている。
(注2)国内利払いが約7兆ルピー、対外利払いが約1兆ルピー。
(糸長真知)
(パキスタン)
ビジネス短信 e5172d1a3051075f
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パキスタン、2026/2027年度連邦予算を発表
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/e5172d1a3051075f.html
時系列
- 2026-06-12 パキスタン政府が2026/2027年度連邦予算を公表
- 2026-07-01 国会審議を経て予算成立が見込まれる
主な数値
| 予算総額 | 18.7兆ルピー |
|---|---|
| 予算総額(円換算) | 10.8兆円 |
| FBR税収目標 | 15.3兆ルピー |
| 前年度FBR税収 | 13兆ルピー |
| 非税収入を含む総収入計画 | 20.6兆ルピー |
| 国家財政委員会制度に基づく州配分 | 8.8兆ルピー |
| 連邦政府純収入 | 11.8兆ルピー |
| 債務利払い | 8兆ルピー |
| 債務利払いの歳出比率 | 43% |
| 国内向け利払い | 7兆ルピー |
| 国内向け利払いの総歳出比率 | 37% |
| 対外利払い | 1兆ルピー |
| 防衛費 | 3兆ルピー |
| 防衛費前年度比増減率 | 16%増 |
この事例から確認すべきポイント
パキスタン政府が発表した2026/2027年度連邦予算は、財政健全化と経済成長下支えの両立を目指す意図が明確に示されています。IMFの拡大信用供与措置などの枠組みに沿って策定されており、国際機関からの財政規律維持と構造改革の継続が強く求められている状況がうかがえます。歳出面では債務利払いが最大項目を占め、特に国内借入への依存が高まっていることから、高金利環境下での利払い負担増大が構造的な課題として認識されています。一方で、輸出促進のための源泉徴収税率引き下げや農業用機器の関税撤廃といった産業支援策、ユーチューバーやSNSインフルエンサーへの課税強化、税務手続きの電子化推進による課税基盤拡大など、新たな歳入確保策も打ち出されています。これらの政策は、対外信用の回復とマクロ経済の安定化、そして持続的成長への移行を目指すものと分析できますが、債務負担の重さや歳入基盤の脆弱性といった根本的な課題解決には、改革の着実な実施が不可欠です。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-06-23
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