経済・産業トレンド

AI普及で電力需要急増、広東省中国南方電網が供給能力を拡充

中国南方電網は、2026年上半期に管轄地域のデータセンター電力消費量が前年同期比28.6%増加し、特に広東省韶関市では約5.7倍に急増したと発表しました。背景にはAI大規模モデルやビッグデータによる計算力需要の拡大があります。これを受け、同社は韶関市での変電所完成を4カ月前倒し、さらに「第15次5カ年規画」期間中に26億元を投じ17カ所の変電所を新設する方針です。中央政府も電力と計算力の連携強化を推進し、仮想発電所(VPP)活用や計算力業務の移転による電力需給調整の取り組みが進められています。2030年には全国の計算力センター電力消費量が社会全体の約6%を占める見通しです。

この発表の要点

企業・自治体への影響

データセンター事業者やAI・ビッグデータ関連サービスを提供する企業は、電力供給の安定性、コスト、および地域間の電力融通可能性を事業計画に組み込む必要があります。電力インフラ関連企業にとっては、新たな設備投資や技術開発の機会が増大します。地方自治体は、データセンター誘致における電力供給能力や再生可能エネルギー活用を考慮したインフラ整備が求められます。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 情シス 経理

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 中国南方電網
業界 電力・エネルギー / IT・データセンター
発表日 2026-07-17
分類 経済・産業トレンド
地域 広東省

発表された内容

2026年07月31日

中国・広東省で電力を供給する中国南方電網は7月17日、2026年上半期(1~6月)の管轄地域(注1)におけるデータセンターの電力消費量が前年同期比28.6%増加したと発表した。また、各エリアで進められている「全国一体化コンピューティングネットワーク国家ハブ・ノード建設」プロジェクト(2022年3月2日記事、2026年7月1日付地域・分析レポート参照)のうち、広東・香港・マカオグレーターベイエリアにおける中核ハブ拠点を担う広東省韶関市では、データセンターの電力消費量が前年同期の約5.7倍と急増した。背景として、人工知能(AI)大規模モデルやビッグデータ、産業インターネットの発展に伴う計算力需要の拡大が指摘される。

こうした中、中国南方電網は供給能力の拡充を進めている。韶関市ではデータセンター向け電力インフラ整備を先行して進めており、220キロボルト(kV)の変電所について、当初の2026年12月末完成予定を同年8月末へ4カ月前倒しする計画だ。また、「第15次5カ年(2026~2030)規画」期間中には26億元(約624億円、1元=約24円)を投じて新たに17カ所の変電所を建設する方針を示している。

また、中央政府は計算力を電力需給調整に活用する仕組み作りを進めている。国務院新聞弁公室が6月26日に開いた「新型エネルギー体系建設『第15次5カ年(2026~2030年)規画』」に関する記者会見で、国家能源局の王宏志局長は、「電力で計算力を強化し、計算力で電力システムの高度化を促進する(中国語:以電強算、以算促電)」方針を示した。エネルギー資源配置と計算力インフラの整備を一体的に進めるとともに、電力と計算力の連携強化を図る考えを示した。

広東電網は、仮想発電所(VPP、注2)を活用し、電力価格が安い時間帯に計算処理を移す取り組みを進めている。また、同じく中国南方電網傘下の南網数字集団は、広州市の電力負荷が高まった際に、一部の緊急性を要しない計算力業務を貴州省貴安新区のデータセンターへ移転させる実証を行った。

なお、2030年には全国の計算力センターの電力消費量が約8,000億キロワット時(kWh)に達し、社会全体の電力消費量の約6%を占めるとの見通しが示されている(「南方電網報」7月21日付)。

(注1)中国南方電網のウェブサイトによると、同社は広東省、広西チワン族自治区、雲南省、貴州省、海南省、香港、マカオを供給エリアとしている。
(注2)VPPとは、Virtual Power Plantの略。太陽光発電や風力発電、蓄電池、電気自動車(EV)などの分散型電源や需要設備を情報通信技術(ICT)で統合制御し、あたかも1つの発電所のように機能させる仕組みを指す。

(西村京子)

(中国)

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AI普及で電力需要急増、広東省の中国南方電網が供給能力を拡充

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/5ea10a0a395cff0a.html

時系列

主な数値

管轄地域におけるデータセンター電力消費量増加率(2026年上半期) 28.6%
広東省韶関市におけるデータセンター電力消費量増加率(2026年上半期) 5.7倍
第15次5カ年規画期間中の新規変電所建設投資額 26億元
第15次5カ年規画期間中の新規変電所建設投資額(日本円換算) 624億円
第15次5カ年規画期間中の新規変電所建設数 17カ所
2030年における全国計算力センターの電力消費量見通し 8000億キロワット時
2030年における全国計算力センターの電力消費量(社会全体に占める割合) 6%

この事例から確認すべきポイント

本発表は、人工知能(AI)の急速な普及が電力インフラに与える甚大な影響を具体的に示しています。データセンターの電力消費量が短期間で大幅に増加している事実は、関連企業にとって電力供給の安定性確保が喫緊の課題であることを浮き彫りにします。中国南方電網が変電所建設を前倒しし、大規模な新規投資を計画していることは、この課題への対応の緊急性と重要性を物語っています。また、中央政府が「電力で計算力を強化し、計算力で電力システムの高度化を促進する」という方針を打ち出し、仮想発電所(VPP)や計算力業務の地域間移転といった先進的な電力需給調整策を推進している点は、エネルギーとITインフラの統合的な戦略が不可欠であることを示唆しています。企業は、将来の事業計画において電力供給の安定性、コスト、そして持続可能性を深く考慮し、エネルギー効率の高いシステム導入や、電力需給調整に貢献する技術の活用を検討する必要があるでしょう。特に、データセンターを運用する企業やAIサービスプロバイダーは、電力インフラの動向を注視し、事業継続計画や新規投資戦略に反映させることが求められます。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-31

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