メキシコのエブラル経済相、鉄鋼・アルミの米国232条追加関税50%を10%に引き下げるよう交渉
この発表の要点
- メキシコは米国に対し、鉄鋼・アルミニウムへの追加関税(現行50%)を10%に引き下げるよう交渉中である。
- メキシコは米国との貿易黒字を主張し、関税引き下げの根拠としている。
- メキシコは国内鉄鋼生産の強化と輸出先の多角化(EUとの協定現代化など)を推進する方針を示している。
企業・自治体への影響
鉄鋼・アルミニウム製品を米国・メキシコ間で輸出入する製造業や商社は、関税率の変動リスクに直面する可能性があります。特に、メキシコを生産拠点とする企業や、メキシコから米国へ輸出する企業は、今後の交渉結果によってコスト構造やサプライチェーン戦略の見直しを迫られる可能性があります。
対応すべきこと
- ジェトロの公式発表や関連ニュースを継続的に確認し、交渉の進捗状況を把握する。
- 自社のサプライチェーンにおいて、米国・メキシコ間の鉄鋼・アルミニウム製品の輸出入状況を確認する。
- 関税率変更によるコスト影響を試算し、代替調達先や生産拠点の検討を開始する。
- 関連部門(調達、生産、営業、法務など)と情報を共有し、対応方針を協議する。
対象部門: 経営者 法務 経理 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | ジェトロ |
|---|---|
| 業界 | 鉄鋼・アルミニウム製造業、貿易 |
| 発表日 | 2026-07-31 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月31日
メキシコのマルセロ・エブラル経済相は7月29日の早朝記者会見で、米国の鉄鋼・アルミニウムに対する1962年通商拡大法232条に基づく50%の追加関税について、「われわれが(米国に)提案しているのは、英国に適用している税率(注1)と同様の待遇、すなわち鉄鋼・アルミニウムがメキシコで溶解・鋳造されたものについては10%ほどの税率を適用してもらうことだ」と発言した。現在、メキシコは同追加関税に関して、鉄鋼・アルミニウムが米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の原産品であったとしても、他国と同様50%(派生品の場合は25%)の関税率が課されている。
エブラル経済相は、米国が同追加関税を賦課する主な理由として米国側の貿易赤字を挙げていることに対して、「米国はメキシコとの間では(貿易)黒字である。なぜなら、メキシコは他のどの国よりも米国からの鉄鋼を多く購入しているからだ」と批判した。アルミニウムについても「(メキシコは)必要な鉱石(ボーキサイト)を保有していないため、常に貿易赤字となる。メキシコで生産するアルミニウムはスクラップを原料として再加工したものだ」と説明し、メキシコとの関係では鉄鋼・アルミニウムともに米国側が貿易黒字であるにもかかわらず、50%の追加関税を課していることに苦言を呈した。
こうした中、イタリア・アルゼンチンの鉄鋼大手テルニウムがヌエボレオン州ペスケリア市に40億ドル規模の工場を建設(2023年6月29日記事参照)していることを引き合いに、「(工場が)2027年に完成すれば、スラブや特定の鋼種を海外から輸入する必要がなくなる」と述べ、自国での鉄鋼生産を強化する方針を示した。
クラウディア・シェインバウム大統領も、同会見の中で「われわれは米国にとって極めて重要な貿易パートナーである。われわれは彼らにとって最大の輸出入相手国であり、長年にわたる自由貿易により、両国の経済は深く統合されている」と述べた。一方で、「米国の動きや貿易協定(USMCA)だけに依存しているわけではない」とし、「国内市場向け販売、および米国や他地域への輸出を目的とした国内企業の投資および外国直接投資を拡大する」と強調した。その例として、EUとの協定の現代化(2026年5月26日記事参照、注2)を示し、「われわれは輸出の多角化も模索している」と述べた。
(注1)英国産の鉄鋼・アルミニウムについては、95%以上が英国で溶解・注湯された鉄鋼、精錬・鋳造されたアルミ、精錬・鋳造された銅から製造される製品で、付属書I-A掲載品目に対する232条関税率は25%、付属書I-B掲載品目に対する232条関税率は15%となっている。
(注2)EUとの自由貿易協定(FTA)を含む通商協定を現代化する協定についての詳細は、2026年7月2日付地域・分析レポート参照。
(阿部眞弘)
(メキシコ、米国)
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メキシコのエブラル経済相、鉄鋼・アルミの米国232条追加関税50%を10%に引き下げるよう交渉
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/cc38c157b6152162.html
時系列
- 2023-06-29 イタリア・アルゼンチンの鉄鋼大手テルニウムがヌエボレオン州ペスケリア市に40億ドル規模の工場を建設
- 2026-05-26 EUとの協定の現代化に関する記事が参照される
- 2026-07-02 EUとの自由貿易協定(FTA)を含む通商協定を現代化する協定についての詳細が地域・分析レポートで参照可能となる
- 2026-07-29 メキシコのマルセロ・エブラル経済相が早朝記者会見で、米国への鉄鋼・アルミニウム追加関税引き下げ交渉について発言
- 2027-XX-XX テルニウムの工場が完成予定
主な数値
| 米国232条追加関税率(鉄鋼・アルミニウム) | 50% |
|---|---|
| 米国232条追加関税率(派生品) | 25% |
| メキシコが提案する関税率 | 10%ほど |
| 英国に適用される232条関税率(付属書I-A掲載品目) | 25% |
| 英国に適用される232条関税率(付属書I-B掲載品目) | 15% |
| テルニウム工場建設規模 | 40億ドル |
この事例から確認すべきポイント
この発表は、メキシコが米国に対し、鉄鋼・アルミニウムへの追加関税引き下げを求める交渉状況と、その背景にあるメキシコの貿易政策、産業戦略を示すものです。メキシコ側は、米国との貿易収支が黒字であることや、自国の産業構造(アルミニウムの原料不足など)を根拠に、関税引き下げの正当性を主張しています。また、米国への依存度を下げ、国内産業の強化と輸出先の多角化を図る方針も明確にしています。これは、国際貿易における保護主義的な動きに対し、各国が自国の利益を最大化しようとする動きの一環と解釈できます。企業にとっては、サプライチェーンの見直しや、貿易政策の変動リスクへの対応が求められます。特に、鉄鋼・アルミニウム関連企業は、関税動向や原産地規則の変更に注視する必要があるでしょう。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-31
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