カナダ、米国産品に対する最大50%の追加関税の賦課開始、338条関税の対抗措置
この発表の要点
- カナダ政府は2026年9月8日、一部の米国原産輸入品に対し15%、25%、50%の追加関税の賦課を開始した。
- CUSMAの原産地規則を満たす場合や他国経由の米国原産品も課税対象となり、商業・個人輸入双方が含まれる。
- 輸送中の製品や再輸出を前提とした輸入許可制度を利用する製品等には適用除外が設けられている。
企業・自治体への影響
米国原産品をカナダへ輸出入する製造業、商社、小売業等の企業において、追加関税によるコスト増およびサプライチェーンへの影響が生じる可能性がある。法務・貿易管理部門での対象品目の精査が求められる。
対応すべきこと
- 自社取扱製品が追加関税の対象品目(鉄鋼、アルミ、家具、衣類、家電、乳製品等)に該当するか確認する
- CUSMA適用製品や他国経由の仕入れを含め、原産国とサプライチェーンの経路を精査する
- 輸送中製品などの適用除外規定に該当するかどうかをカナダ国境サービス庁(CBSA)の通知に基づき確認する
- 法務・経理部門で関税コストの上昇に伴う影響額を試算し、関係部門へ共有する
対象部門: 経営者 総務 法務 経理
対応期限:施行日より適用
基本データ
| 企業・団体 | カナダ政府(カナダ国境サービス庁・カナダ財務省) |
|---|---|
| 業界 | 貿易・製造・小売 |
| 発表日 | 2026-09-09 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年09月09日
カナダ政府は9月8日、一部の米国原産の輸入品に対し、15%、25%、50%の追加関税の賦課を開始した。これに先立ち、カナダ国境サービス庁(CBSA)は9月7日、輸入者向けの税関通知を発表した。
今回の通知では、輸入者向けに、関税の申告方法、適用条件、計算方法などを詳述した。これによれば、追加関税は米国原産品に適用されることから、カナダ・米国・メキシコ協定(CUSMA、注1)の原産地規則を満たす場合でも課税対象となる(注2)。商業輸入だけでなく個人輸入も対象となるほか、米国以外の国・地域からカナダへ輸送された場合であっても、原産国が米国であれば課税対象となる。一方、追加関税の発動時点でカナダ向けに輸送中の製品や、再輸出を前提とした輸入許可制度を利用する製品などについては適用除外が設けられた。
今回の追加関税は、米国が1930年関税法338条に基づく関税措置をカナダに対して導入したことへの対抗措置として発動された(2026年8月24日記事、2026年8月26日記事参照)。対象品目は、米国が338条および1962年通商拡大法232条に基づきカナダ産品に課している関税の対象品目から選定されており、税率も米国側と同程度に設定された。具体的には、50%の関税が課される品目には、鉄鋼・アルミニウム製品のほか、家具、衣類・アパレル製品が含まれる。また、25%の関税が課される品目には、家電製品、乳製品、一部の鉄鋼・アルミニウム派生品が含まれる。対象品目の詳細は、カナダ財務省が公表している。一方、自動車を含む米国への既存の対抗関税は維持される。
対抗関税をカナダ国民の約8割が支持、世論調査
カナダの対米措置は、国内で高い支持を集めている。カナダの調査機関ポララ・ストラテジック・インサイツが行った世論調査(注3)では、一部の米国製品に対抗関税を課すことについて、79%が支持した。また、マーク・カーニー首相がドナルド・トランプ米大統領に対して「強い姿勢で臨んでいる」との回答は、前回から14ポイント増加した64%で、こうした対抗姿勢は肯定的に受け止められているもようだ。一方、トランプ大統領に対して肯定的な感情を持つカナダ人は7%にとどまり、否定的な感情を持つ割合は82%と、同調査で過去最高となった。
(注1)米国ではUSMCA、メキシコではT-mecとも呼ばれる。
(注2)CBSAの税関通知によれば、追加関税の適用対象を「米国原産品」と定義しており、その判定にはCUSMAの原産性判断基準を用いるとしている。なお、米領のプエルトリコ、グアム、北マリアナ諸島、サモア、バージン諸島原産品は適用対象外。
(注3)実施時期は8月24~27日で、対象者はカナダの有権者2,084人。
(木村勇翔)
(カナダ、米国)
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カナダ、米国産品に対する最大50%の追加関税の賦課開始、338条関税の対抗措置
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/09/d5ea5557feb5beb6.html
時系列
- 2026-08-24 米国の1930年関税法338条に基づく関税措置への対抗措置に関する記事発表(期間:8月24〜27日に世論調査実施)
- 2026-09-07 カナダ国境サービス庁(CBSA)が輸入者向けの税関通知を発表
- 2026-09-08 カナダ政府が一部の米国原産の輸入品に対し、15%、25%、50%の追加関税の賦課を開始
主な数値
| 最大追加関税率 | 50% |
|---|---|
| 世論調査の支持率 | 79% |
| 首相の対抗姿勢に対する肯定的な回答割合 | 64% |
| トランプ米大統領に対して否定的な感情を持つ割合 | 82% |
| 世論調査の対象者数 | 2084人 |
この事例から確認すべきポイント
本事例は、米国の関税措置に対するカナダの対抗措置としての追加関税発動であり、北米間の貿易環境に大きな影響を与える。米国原産品(CUSMAの原産地規則を満たす場合や他国経由の製品も含む)をカナダ向けに輸出、またはカナダ市場で調達している企業では、関税コストの急増リスクが生じる。貿易・法務部門において、自社のサプライチェーンや対象品目(鉄鋼・アルミニウム、家具、衣類、家電、乳製品等)への該当性を速やかに精査し、適用除外規定(輸送中の製品や再輸出前提の輸入許可制度など)の適用可能性を確認する必要がある。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-09-09
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