第2四半期GDPは前年同期比0.6%増、国際金融支援による復興需要が後押し
この発表の要点
- ウクライナの2026年第2四半期実質GDPは前年同期比0.6%増を記録し、国際金融支援と内需拡大が回復を後押し。
- 製造業、農業、小売業が成長に寄与する一方、電力供給と物流部門は経済活動の重しとなっている。
- ウクライナ国立銀行は2026年のGDP成長率予測を1.8%に上方修正し、政策金利を15.5%に引き上げた。
企業・自治体への影響
ウクライナ市場に関心を持つ企業や、既に進出している企業は、経済回復の動向、特に復興需要や内需拡大の機会を評価すべきです。製造業や農業、建設業は成長が見込まれる一方、電力・物流部門の課題やサービス業の人手不足・コスト上昇は事業戦略に影響を与える可能性があります。また、賃金上昇は人件費に直結するため、人事・経理部門は動向を注視する必要があります。
対応すべきこと
- ウクライナ経済の最新動向を継続的にモニタリングし、事業計画への影響を評価する。
- 国際金融支援による復興事業や内需拡大が自社のビジネス機会となり得るか調査する。
- 電力供給や物流部門の課題が事業継続に与えるリスクを評価し、対策を検討する。
- 賃金上昇と労働力不足の動向を注視し、人事・採用戦略やコスト管理に反映させる。
対象部門: 経営者 経理 広報 人事
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 日本貿易振興機構(ジェトロ) |
|---|---|
| 発表日 | 2026-08-10 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年08月10日
ウクライナ国家統計局の発表(8月4日)によると、同国の2026年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(速報値)は前年同期比0.6%となった。前期比(季節調整済み)では0.4%だった。
ウクライナ経済・環境・農業省(注)のモニタリングレポート(2026年4月、5月版)によると、ウクライナ経済は、国際金融支援を財源とする復興事業を背景に回復基調を維持した。賃金上昇に伴う内需拡大が小売業を支えたほか、防衛関連およびエネルギー復旧関連の製造業、畜産を中心とする農業が成長に寄与した。一方で、戦争の被害を受けている電力供給や物流部門は引き続き経済活動の重しとなっている。
ウクライナ国家統計局が発表する景況感指数をみると、2026年第1四半期(1~3月)は105.3、第2四半期は108.6を記録した。2023年第2四半期以降、基準値となる100を超え、良好な景気を示している。
ウクライナ国立銀行(NBU、中央銀行)が毎月実施するビジネス活動期待指数(BAEI)をみると、2026年3~7月は5カ月連続で基準となる50以上の数値を記録し、好調を維持している。7月の調査結果(8月3日公表)によれば、7月のBAEIは50.1で、業種別では、道路建設やインフラ復旧需要を背景に建設業が最も楽観的見通しを維持し、製造業も内需と安定した電力供給を背景に改善した。卸・小売業も商品供給の安定と消費需要の堅調さから好調を維持した一方、サービス業はコスト上昇や人手不足の影響からBAEIが48.8と慎重な見通しを示した。
NBUは7月のインフレ報告(8月6日公表)で、2026年のGDP成長率予測を1.8%と予測し、4月のインフレ報告(5月7日公表)から0.5ポイント上方修正した。2027~2028年は2.8~3%で推移すると予測している。
NBUはインフレ率(消費者物価上昇率)について、2026年後半に10%まで加速し、その後は減速すると予測しており、7月31日から政策金利を15.0%から15.5%に引き上げた(2026年8月3日記事参照)
ウクライナ国家統計局によると、2026年6月の平均月額賃金は3万2,783フリブニャ(11万4,741円、1フリブニャ=約3.5円)で、前年同月比25.4%増加した。NBUは深刻な労働力不足により2026年の実質賃金上昇率は2026年に12.4%まで加速すると予測する。一方、2027~2028年は労働力不足の緩和や移民の帰還などにより4~6%台で推移すると見通している。
(注)2026年7月の新政権発足時に、経済・環境・農業省は経済・環境省と農業政策・食料省に分離した(2026年7月23日記事参照)。
(柴田紗英)
(ウクライナ)
ビジネス短信 9ed271df274e6697
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第2四半期GDPは前年同期比0.6%増、国際金融支援による復興需要が後押し
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/08/9ed271df274e6697.html
時系列
- 2026-08-10 日本貿易振興機構(ジェトロ)が本ビジネス短信を発表
- 2026-08-06 ウクライナ国立銀行が7月のインフレ報告を公表し、2026年GDP成長率予測を上方修正
- 2026-08-04 ウクライナ国家統計局が2026年第2四半期の実質GDP成長率(速報値)を発表
- 2026-07-31 ウクライナ国立銀行が政策金利を15.0%から15.5%に引き上げ
- 2026-07 ウクライナ新政権発足時に経済・環境・農業省が経済・環境省と農業政策・食料省に分離
- 2026-05-07 ウクライナ国立銀行が4月のインフレ報告を公表
主な数値
| 2026年第2四半期実質GDP成長率(前年同期比) | 0.6% |
|---|---|
| 2026年第2四半期実質GDP成長率(前期比、季節調整済み) | 0.4% |
| 2026年GDP成長率予測(NBU 7月報告) | 1.8% |
| 2026年GDP成長率予測上方修正幅 | 0.5ポイント |
| 政策金利(2026年7月31日以降) | 15.5% |
| 2026年6月平均月額賃金 | 32783フリブニャ |
| 2026年6月平均月額賃金(円換算) | 114741円 |
| 2026年6月平均月額賃金前年同月比増加率 | 25.4% |
| 2026年実質賃金上昇率予測 | 12.4% |
この事例から確認すべきポイント
本発表は、ウクライナ経済が国際金融支援と内需拡大を背景に回復基調を維持していることを示しています。特に、防衛・エネルギー復旧関連製造業や農業、小売業が成長を牽引している点が注目されます。一方で、電力供給や物流部門の課題は継続しており、企業はこれらのリスク要因を考慮する必要があります。また、賃金上昇と労働力不足は、企業の人件費や採用戦略に影響を与える可能性があり、今後の経済動向や政策金利の動きを注視し、事業計画に反映させることが重要です。景況感指数やビジネス活動期待指数が好調を維持していることは、市場の信頼感を示す指標となりますが、サービス業におけるコスト上昇や人手不足といった個別課題にも留意が必要です。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-08-10
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