中央アジアへの対内直接投資は前年比12.1%増加、UNCTAD報告
この発表の要点
- 中央アジアへの対内直接投資は2025年に前年比12.1%増加し、49億6,700万ドルに達した。
- ウズベキスタンは地域最大のFDI受入国であり、再生可能エネルギー分野への大規模投資や現地収益の再投資が好調を牽引した。
- カザフスタンは大型石油プロジェクト完了によるFDI流出が見られたものの、FDI残高では地域首位を維持し、中国企業の製造・物流拠点としての地位を強化している。
企業・自治体への影響
国際的な事業展開を検討する企業、特にエネルギー、製造、物流、資源関連の企業は、中央アジア地域の投資環境の変化に注目する必要があります。ウズベキスタンでは再生可能エネルギーや現地再投資の機会が拡大しており、カザフスタンでは資源依存からの脱却を目指す政策が非資源部門での新たな事業機会を生み出す可能性があります。中国企業との連携やサプライチェーン再編の動向も、関連する業種・部門に影響を与えるでしょう。
対応すべきこと
- UNCTADの「世界貿易報告2026」および関連する公式出典を確認し、中央アジア地域の最新の投資動向を把握する。
- 中央アジア諸国、特にウズベキスタンとカザフスタンの投資政策、主要産業(再生可能エネルギー、非資源部門など)の動向を詳細に調査する。
- 自社の事業が中央アジア地域で展開可能か、または既存事業への影響がないかを評価し、国際事業戦略部門や経営層へ共有する。
- 中国企業による同地域への投資動向や、国際的な製造・物流拠点の分散傾向を注視し、サプライチェーン戦略への影響を検討する。
対象部門: 経営者 経理 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 日本貿易振興機構(ジェトロ) |
|---|---|
| 業界 | 経済・産業全般 |
| 発表日 | 2026-07-16 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月16日
国連貿易開発会議(UNCTAD)は7月7日、「世界貿易報告2026」を公表した(2026年7月10日記事参照)。2025年の中央アジア地域への対内直接投資(FDI)額(国際収支ベース、ネット、フロー)は前年比12.1%増加し、49億6,700万ドルに達した。世界全体の増加率の6.0%を上回る伸びとなった。
同地域でFDIが最も大きかったのは43億9,800万ドルのウズベキスタンで、地域全体の88.5%を占めた。2024年の29億7,500万ドルから47.8%増加した。報告では好調な投資の背景として、中国およびサウジアラビアから再生可能エネルギー分野への大規模投資を指摘した(2025年12月17日記事、2026年3月18日付地域・分析レポート参照)。ウズベキスタン中央銀行はFDIの増加について、事業を展開する外国投資家による現地での収益の再投資が大幅に増加したことを理由の1つに挙げていた。2025年の再投資額は12億8,770万ドルに達し、データの確認できる2005年以降、過去最高額となった。
カザフスタンでは8億6,100万ドルのFDI流出が記録された。その要因についてカザフスタンの大手投資会社ハルクファイナンスのレポート(4月20日)は、テンギス油田拡張事業など大型石油プロジェクトの完了に加え、外国投資家が投資回収・利益送金の段階へ移行したと分析している。同社によると、2025年の原油・天然ガス採掘部門からのFDI流出額が63億ドルに上った。一方でUNCTADによると、2025年末時点の中央アジア全体のFDI残高2,356億ドルのうちカザフスタンは66.4%(1,564億ドル)を占め、依然としてFDI残高では地域で首位に立つ。
UNCTADの報告書では、国際的に製造拠点が分散する傾向の中で、カザフスタンがエジプトと並び存在感を高めていると指摘する。特に2021年から2025年にかけてカザフスタンが中国企業の製造・物流拠点としての地位を強化したと指摘。中国企業による対外グリーンフィールド投資総額の33%を受け入れ、インドネシアを上回った。代表的な案件として、2025年に中国の東方希望集団が発表したカザフスタン非鉄金属部門への120億ドル投資計画を挙げている。
報告書は、中央アジア地域におけるFDI誘致の主要な牽引役は引き続き資源部門(金属関連)であると分析する。一方でカザフスタンが2025年12月に採択した投資政策では、2030年までの1,000億ドルのFDI誘致に向け、資源依存型の経済モデルから非資源部門へと移行を目指している。
(ウラジミル・スタノフォフ)
(ウズベキスタン、カザフスタン、中央アジア)
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中央アジアへの対内直接投資は前年比12.1%増加、UNCTAD報告
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/48489ab87fba6cc1.html
時系列
- 2026-07-16 本記事が発表される
- 2026-07-07 国連貿易開発会議(UNCTAD)が「世界貿易報告2026」を公表
- 2025 中央アジア地域への対内直接投資額が前年比12.1%増加し、49億6,700万ドルに達する
- 2025 ウズベキスタンの再投資額が過去最高額の12億8,770万ドルに達する
- 2025-12 カザフスタンが2030年までの1,000億ドルFDI誘致を目指す投資政策を採択
主な数値
| 中央アジアへの対内直接投資額(2025年) | 49億6,700万ドル |
|---|---|
| 中央アジアへの対内直接投資増加率(前年比) | 12.1% |
| 世界全体の対内直接投資増加率 | 6.0% |
| ウズベキスタンの対内直接投資額(2025年) | 43億9,800万ドル |
| ウズベキスタンの対内直接投資が地域全体に占める割合 | 88.5% |
| ウズベキスタンの対内直接投資増加率(前年比) | 47.8% |
| ウズベキスタンの再投資額(2025年) | 12億8,770万ドル |
| カザフスタンの対内直接投資流出額(2025年) | 8億6,100万ドル |
| カザフスタンの原油・天然ガス採掘部門からのFDI流出額(2025年) | 63億ドル |
| 中央アジア全体の対内直接投資残高(2025年末) | 2,356億ドル |
| カザフスタンの対内直接投資残高(2025年末) | 1,564億ドル |
| カザフスタンの対内直接投資残高が地域全体に占める割合 | 66.4% |
| 中国企業による対外グリーンフィールド投資総額のうちカザフスタンが受け入れた割合(2021-2025年) | 33% |
| 中国の東方希望集団によるカザフスタン非鉄金属部門への投資計画額 | 120億ドル |
| カザフスタンの対内直接投資誘致目標(2030年まで) | 1,000億ドル |
この事例から確認すべきポイント
UNCTADの報告書は、中央アジア地域への対内直接投資が世界平均を上回るペースで増加している現状を示しています。特にウズベキスタンは再生可能エネルギー分野への大規模投資や現地収益の再投資によりFDIを大きく伸ばしており、同国での事業展開を検討する企業にとって注目すべき動向です。一方、カザフスタンでは大型石油プロジェクトの完了に伴うFDI流出が見られるものの、FDI残高では地域首位を維持し、中国企業の製造・物流拠点としての存在感を高めています。カザフスタンが資源依存型経済からの脱却を目指し、非資源部門へのFDI誘致を強化する政策を打ち出している点は、製造業や物流業など多様な分野の企業にとって新たな事業機会を示唆します。企業は、中央アジア各国の投資環境の変化、特に政策転換や主要産業の動向を継続的にモニタリングし、自社の国際事業戦略にどのように組み込むかを検討する必要があります。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-16
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