経済・産業トレンド

パキスタン、インフレ傾向は鈍化するも高水準続く

パキスタンの2026年6月消費者物価指数(CPI)上昇率が前年同月比11.1%となり、5月の11.7%から0.6ポイント低下し、一時的に上昇傾向が鈍化しました。しかし、前年同月の3.2%を大きく上回る高水準で推移しており、国内の物価上昇圧力は依然として強い状況です。2025/2026年度の平均インフレ率は7.1%で前年度を上回り、パキスタン中央銀行は政策金利を11.5%に据え置き、インフレ抑制と景気回復のバランスを重視する姿勢を示しています。中東情勢が今後のインフレ見通しを左右する主要因であり、企業はコスト管理と価格転嫁の両面で難しい事業運営が続いています。

この発表の要点

企業・自治体への影響

パキスタンで事業を展開する企業、特に製造業、物流業、食品関連企業は、高止まりするエネルギーコストや原材料費、輸送費の管理が引き続き重要となります。インフレによる消費者購買力の変動も考慮し、価格戦略やサプライチェーンの最適化を検討する必要があるでしょう。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 経理 広報

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 ジェトロ
発表日 2026-07-08
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年07月08日

添付資料(236 KB)

パキスタン計画・開発省統計局(PBS)は7月1日、6月の消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)が、前年同月比11.1%になったと発表した(添付資料図参照)。5月の11.7%から0.6ポイント低下し、2026年1月から5月まで連続していた上昇傾向(2026年6月5日記事参照)はいったん鈍化した。一方で、インフレ率は前年同月の3.2%を大きく上回る水準で推移しており、国内の物価上昇圧力は依然として強い状況が続いている。

品目別にみると、住宅・電力・ガス関連が前年同月比15.5%上昇したほか、輸送費は25.7%上昇し、全体のインフレ率を押し上げた。食料品も9.4%上昇しており、都市部では小麦(64.7%増)や小麦粉(55.3%増)、タマネギ(60.1%増)などを中心に高い伸びがみられた。一方、ジャガイモや鶏卵など一部食品は前年同月を下回る水準となっており、品目で価格動向にばらつきがみられる。

2025/2026年度(2025年7月~2026年6月)の平均インフレ率は7.1%となり、前年度の4.5%を上回った。2024年後半から2025年前半のインフレ沈静化の流れは、2026年春以降に再び反転しつつある。この状況下、パキスタン中央銀行(SBP)は6月、政策金利を11.5%に据え置いた。SBPは今後の物価動向や外部環境を慎重に見極める姿勢を維持しており、当面インフレ抑制と景気回復のパランスを重視した金融運営が続くとみられる(2026年6月18日記事参照)。

今後のインフレ見通しを左右する主たる外部要因は、引き続き中東情勢だ。イランを巡る地域情勢は、停戦・調整協議の進展(2026年6月23日記事参照)により短期的な緊張緩和の動きがみられるが、依然として不安定要素を抱えている。ホルムズ海峡の船舶往来はおおむね正常化に向かい、海上保険料や運賃の急騰傾向は和らいできたものの、なお地政学的リスクは残る。

原油価格が再び上昇すると、エネルギー輸入依存度の高いパキスタンでは、インフレ圧力が再び強まる可能性がある。公共料金やエネルギーコストの高止まりに加え、インフレ率が2桁台で推移しており、多くの企業はコスト管理と価格転嫁の両面で難しい事業運営が続いている。

(糸長真知)

(パキスタン)

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パキスタン、インフレ傾向は鈍化するも高水準続く

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/10db824f5cc5294d.html

時系列

主な数値

2026年6月CPI上昇率 11.1%
2026年5月CPI上昇率 11.7%
前年同月CPI上昇率 3.2%
住宅・電力・ガス関連上昇率 15.5%
輸送費上昇率 25.7%
食料品上昇率 9.4%
都市部小麦上昇率 64.7%
都市部小麦粉上昇率 55.3%
都市部タマネギ上昇率 60.1%
2025/2026年度平均インフレ率 7.1%
前年度平均インフレ率 4.5%
政策金利 11.5%

この事例から確認すべきポイント

パキスタンのインフレ率は一時的に鈍化傾向を見せたものの、依然として高水準で推移しており、国内の物価上昇圧力が強い状況が続いています。特にエネルギー輸入依存度が高い同国にとって、中東情勢に起因する原油価格の動向はインフレ見通しを大きく左右する外部要因です。パキスタン中央銀行は政策金利を据え置き、インフレ抑制と景気回復のバランスを重視する姿勢を示しており、今後の金融政策の動向が注目されます。多くの企業は公共料金やエネルギーコストの高止まり、原材料費の上昇に直面しており、コスト管理と価格転嫁の両面で難しい事業運営を強いられています。この状況は、パキスタンで事業を展開する企業にとって、サプライチェーンの安定性確保、エネルギーコスト変動リスクへの対応、および消費者購買力の変化を考慮した事業戦略の見直しを促すものと言えます。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-08

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