経済・産業トレンド 成立

フランス、企業の猛暑対策の法的義務を厳格化、違反に罰則や監督強化

フランスでは、社会的・税務的不正対策法の成立により、企業の猛暑対策に関する法的義務が厳格化された。職業上のリスク評価単一文書(DUERP)の未作成や未更新に対し、最大1万5,000ユーロの罰金が科されるほか、労働監督機関による行政罰も導入された。既存の労働法に基づく猛暑リスク評価や具体的な対策の実施義務に加え、DUERPへの組み込みが求められる。労働省は既に多数の立ち入り検査と是正命令を実施しており、企業は対応を急ぐ必要がある。

この発表の要点

企業・自治体への影響

フランスで事業を展開する企業、特に屋外作業や身体的負荷の高い業務を伴う企業は、猛暑対策に関する法的義務の厳格化に直面します。DUERPの適切な作成・更新と具体的な猛暑対策の実施が求められ、違反した場合は高額な罰金や行政罰、労働監督機関による是正命令のリスクがあります。これは、人事、総務、法務、および現場のオペレーション部門に直接的な影響を与えます。

対応すべきこと

対象部門: 総務 法務 人事

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 ジェトロ
発表日 2026-07-03
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年07月03日

フランスで社会的・税務的不正対策法が6月25日に成立し、職業上のリスク評価単一文書(DUERP)に関する義務違反への制裁が強化された。DUERPの未作成や未更新には7,500ユーロ(再違反時は最大1万5,000ユーロ)の罰金が科されるほか、労働監督機関による行政罰も導入された。罰金は最大4,000ユーロで、違反対象となる労働者数に応じて複数回科される場合があり、再違反時には倍増する。猛暑(注)下における労働者の健康・安全確保を目的に、企業に対する法的義務の履行を厳格化する動きとなる。

フランス労働法では、安全配慮義務(L4121-1)に基づき、雇用主に対し猛暑リスクの評価(R4463-2)、作業時間・作業体制の調整、冷たい飲料水の提供など具体的な対策(R4463-3、R4225-2)の実施を従来から義務付けている。

また、企業はDUERPに猛暑リスクの評価と対策を組み込む必要がある。DUERPは、企業内の全ての業務上のリスクを把握・評価し、その結果と予防措置を記載する義務文書であり、1人目の従業員を雇用した時点から作成が求められる。2025年5月27日付政令(デクレ)により、猛暑リスクの位置付けが明確化されている。

具体的措置としては、労働時間の柔軟な調整(涼しい時間帯へのシフト)、休憩回数の増加、遮光設備や冷却装置の設置、作業負荷の軽減などが挙げられる。また、冷たい飲料水の提供は常時義務であり、猛暑時には十分な量を作業場所近くに確保する必要がある。さらに、高齢者や健康状態に配慮が必要な従業員など、脆弱(ぜいじゃく)な労働者への個別対応のほか、熱中症などの発症時に迅速な対応が可能な体制整備も求められる。状況によっては、労働者が危険性を理由に業務を拒否できる「退避権」が行使される場合もある。

ジャン=ピエール・ファランドゥー労働相は6月29日、公営ラジオ局フランス・アンフォ(Franceinfo)に出演し、猛暑対策の履行状況を確認するため、5月末から約1カ月間で2,600件の立ち入り検査を実施し、227件の是正命令を出したことを明らかにした。気候変動を踏まえ、夏季の労働時間の見直しなどについて労使間で議論を進める方針も示した。

(注)猛暑は気象庁の警戒基準に基づき、黄(高温)、オレンジ(熱波)、赤(極端な熱波)が対象となる。

(山崎あき)

(フランス)

ビジネス短信 24fd9ff785d650a3

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フランス、企業の猛暑対策の法的義務を厳格化、違反に罰則や監督強化

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/24fd9ff785d650a3.html

時系列

主な数値

DUERP未作成・未更新への罰金 7500ユーロ
DUERP未作成・未更新への再違反時罰金 15000ユーロ
労働監督機関による行政罰 4000ユーロ
立ち入り検査件数 2600件
是正命令件数 227件

この事例から確認すべきポイント

本発表は、フランスにおける企業の労働安全衛生、特に気候変動に伴う猛暑対策への法的義務と監督強化の動きを示している。企業は、職業上のリスク評価単一文書(DUERP)の作成・更新義務を再確認し、猛暑リスクの評価と具体的な予防措置を確実に組み込む必要がある。未対応の場合、高額な罰金や行政罰の対象となるだけでなく、労働監督機関による立ち入り検査や是正命令のリスクも高まる。労働時間の柔軟な調整、休憩の増加、冷たい飲料水の提供、脆弱な労働者への個別対応など、具体的な対策の実施状況を定期的に見直し、労働者の健康と安全を確保することが重要である。また、労働者が危険性を理由に業務を拒否できる「退避権」の存在も踏まえ、緊急時の対応体制整備も不可欠となる。この事例は、気候変動が企業活動に与える影響が法規制の強化を通じて顕在化していることを示唆しており、他国での同様の動きにも注意を払うべきである。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-03

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