メキシコのエブラル経済相、USMCA延長に合意できず、年次見直しを行うことになったと報告
この発表の要点
- USMCAの16年間延長合意は現時点で見送られ、今後10年間は年次見直しが実施されることになった。
- 延長合意に至らない場合、USMCAは2036年に失効する可能性がある。
- メキシコはUSMCAの16年延長と、自動車や鉄鋼・アルミニウムに対する追加関税の減免を交渉しており、7月20日ごろに公式協議が予定されている。
企業・自治体への影響
北米3カ国(米国、メキシコ、カナダ)との貿易を行う企業、特に自動車、鉄鋼、アルミニウム関連企業は、USMCAの将来的な不確実性により、サプライチェーンや投資戦略の見直しを迫られる可能性があります。追加関税の動向も事業コストに影響を与えるため、関連する業界全体で動向を注視する必要があります。
対応すべきこと
- USMCAの年次見直しに関する今後の交渉状況や公式協議の結果を継続的に情報収集する。
- 北米3カ国との貿易を行う企業は、自社のサプライチェーンや事業計画への潜在的な影響を評価する。
- 特に自動車、鉄鋼、アルミニウム関連企業は、追加関税の減免交渉の進捗に注意を払い、リスクと機会を検討する。
- 関係部門(経営者、法務、経理)へ本件の情報を共有し、今後の対応方針について検討を開始する。
対象部門: 経営者 法務 経理
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | ジェトロ |
|---|---|
| 発表日 | 2026-07-02 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月02日
メキシコのマルセロ・エブラル経済相は7月1日、オンラインで開催された米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の見直し協議に参加したことを自身のSNS上で報告した。米国側はジェミソン・グリア米国通商代表部(USTR)代表、カナダ側はドミニク・ルブラン枢密院議長兼カナダ-米国貿易・州政府間関係相が参加した。
同協議の中で、グリア代表が「米国としては現時点で16年間の延長には応じられない」との見解を示したとして、「今後10年の間に1年ごとの見直しを行うこととなった(注1)」と述べた。今後は2つの選択肢があるとして、1つは「10年間のどこかのタイミングで3カ国が合意してUSMCAを16年間延長すれば、合意から6年後に再度見直しが行われる」、2つ目は「延長で合意がなされない限り、2036年まで10年間、現状のUSMCAを維持したまま、年次見直しが行われる」とした。なお、他国のUSMCAからの脱退(注2)については、「現時点でその事態は発生しておらず、今後も発生する見込みもない」と否定的な見方を示した。2026年7月20日ごろに、USMCAの見直しに関する公式協議をメキシコ市で行うと述べ、「合意を急ぐ必要はないが、不確実性が続くことも望んでいない。合意に達するよう努めたい」とした。
メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は6月30日の早朝記者会見で、「メキシコの立場として、16年間の延長を求める書簡に署名した」と述べた。7月1日の会見では、1962年通商拡大法232条に基づく自動車や鉄鋼・アルミニウムなどに対する追加関税について、「米国は現状USMCAに準拠した製品にも関税を課しているが、これよりもより良い条件を求めている」とし、追加関税の減免もあわせて交渉していることを明らかにした。また、USMCAは米国にとっても利益をもたらすものだとし、現在、米国内で自動車価格が上昇している要因の1つが、「メキシコに関税を課しているからだ」と主張した(注3)。シェインバウム大統領はUSMCAを維持することで、米国やカナダでも雇用が生まれているとし、「北米3カ国が協力することで、他地域に対してより効果的に競争できる」と強調した。
日本の経団連に相当する企業家調整評議会(CCE)のホセ・メディナ・モラ会長は、現地メディアのインタビューに対し「USMCAの年次見直しはさらなる複雑さを伴うが、われわれはメキシコ政府と協力し、見直す内容を限定することで、見直しに過度な時間を費やさないよう取り組む」と強調した。また、USMCA見直しが合意に至る時期の予想について、「協定の延長合意は米国の中間選挙が終了した後になるだろう」と述べ、すぐには合意に至らないとの見解を示した(「エル・フィナンシエロ」紙6月30日付)。
(注1)USMCAでは、延長に合意できなかった場合、その後も毎年見直しが継続され、合意に至った時点から16年間延長される。10年間で延長合意に至らない場合、USMCAは条文に従い2036年に失効する。
(注2)USMCAの締約国は、他の締約国に対して書面による通知を提出することで、6カ月後に脱退できる。これは共同見直しの状況に影響されない。
(注3)米国での自動車価格の上昇については、追加関税も要因の1つではあるものの、高価格帯車両と電気自動車(EV)の販売が好調だったことなど、複数の要因が重なった結果との分析もある(2025年10月16日記事参照)。
(阿部眞弘)
(メキシコ、米国、カナダ)
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メキシコのエブラル経済相、USMCA延長に合意できず、年次見直しを行うことになったと報告
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/c2432a9e465acc62.html
時系列
- 2026-06-30 メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領が、USMCAの16年間延長を求める書簡に署名したと発表。
- 2026-07-01 メキシコのマルセロ・エブラル経済相がUSMCA見直し協議に参加し、米国側が16年間の延長に応じられない見解を示したと報告。今後10年間で年次見直しを行うことになったと発表。
- 2026-07-20 USMCAの見直しに関する公式協議をメキシコ市で行う予定。
- 2036-XX-XX 延長合意に至らない場合、USMCAが失効する。
主な数値
| USMCA延長期間 | 16年間 |
|---|---|
| 年次見直し期間 | 10年間 |
| USMCA失効年 | 2036年 |
| USMCA脱退通知期間 | 6カ月 |
この事例から確認すべきポイント
米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の16年間延長協議が合意に至らず、年次見直しに移行したことは、北米地域の貿易関係に不確実性をもたらします。米国が延長に応じない姿勢を示した背景には、自動車や鉄鋼・アルミニウムに対する追加関税の減免を求めるメキシコ側の要求など、各国の経済的利益が複雑に絡み合っていることが伺えます。今後10年間の年次見直し期間中に延長合意に至らなければ、2036年には協定が失効する可能性があり、これは北米サプライチェーンに大きな影響を与える可能性があります。特に、自動車産業などUSMCAの恩恵を受けてきた企業は、今後の交渉の行方を注視し、事業戦略の柔軟な見直しを検討する必要があるでしょう。メキシコ政府は合意を急ぐ必要はないとしつつも、不確実性の継続は望んでいないと表明しており、7月20日ごろに予定される公式協議が今後の方向性を占う上で重要となります。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-02
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