ASEANとロシア、エネルギー協力を強化、カザンで首脳会議
この発表の要点
- ASEANとロシアは関係樹立35周年を記念し、カザンで首脳会議を開催し、エネルギー協力を含む4文書を採択しました。
- 両者はエネルギー供給の確保と多角化、危機対応力強化、再生可能エネルギーや原子力を含むエネルギー移行分野での協力拡大を目指します。
- 中東情勢の緊迫化を背景に、一部ASEAN諸国はロシア産石油・ガスへの関心を示しており、国際的なエネルギー供給構造に変化が見られます。
企業・自治体への影響
エネルギー関連企業、商社、製造業、物流業など、エネルギー調達に依存する企業は、国際的なエネルギー供給源の多角化や地政学的リスクの変化が、調達コストやサプライチェーンの安定性に与える影響を注視する必要があります。また、再生可能エネルギーや低炭素技術への投資機会が増加する可能性もあります。
対応すべきこと
- 国際情勢の変化が自社のエネルギー調達戦略やサプライチェーンに与える影響を評価する。
- エネルギー供給源の多角化や、再生可能エネルギー・低炭素技術への投資機会について情報収集を行う。
- 関係部門(調達、戦略、国際事業など)と連携し、今後の事業戦略への影響を検討する。
対象部門: 経営者 経理 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | ジェトロ |
|---|---|
| 業界 | 国際関係 / エネルギー / 貿易 |
| 発表日 | 2026-07-03 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月03日
ASEANとロシアは6月18日、ロシア中部カザンで関係樹立35周年を記念するASEAN・ロシア記念首脳会議を開催し、「カザン宣言2026」を採択した(6月18日付ASEAN事務局発表)。同首脳会議では、このほかエネルギー協力共同声明、文化協力共同声明、「2026~2030年の戦略的パートナーシップ実施のための包括的行動計画」を含む4文書が採択された。
カザン宣言では、1991年の関係樹立以降、政治対話・安全保障、貿易・経済協力、科学、情報通信技術(ICT)、エネルギー・輸送、農業・食料安全保障、観光、文化協力、人的交流など幅広い分野で成果があったとした。その上で、ASEAN・ロシア首脳会合やASEAN拡大外相会議などのハイレベル対話を維持し、戦略的パートナーシップを進展させる方針を確認した。
経済面では、エネルギー、食料安全保障、輸送・物流、農業、デジタル化、科学技術、人工知能(AI)、観光、創造産業などの重点分野で協力を深化させる。また、ASEANとユーラシア経済連合(EAEU)、上海協力機構(SCO)との連携強化を支持すると明記した。
特にエネルギー分野では、同日に採択された「ASEAN・ロシアエネルギー協力共同声明」で、安全で、手頃な価格かつ信頼性が高く、持続可能なエネルギーシステムが、ASEANの成長、強靭(きょうじん)性、ASEAN共同体ビジョン2045の実現にとって極めて重要だとした。また、地政学的緊張、サプライチェーンの混乱、市場変動による世界的なエネルギー不安の高まりが、地域の安定、経済的強靭性、持続可能な開発に直接的な影響を及ぼしているとして懸念を表明した。
同共同声明は、エネルギー供給の確保と多角化に向けた協力を強化し、石油、ガス、液化天然ガス(LNG)、電力分野での貿易、投資、長期的な商業パートナーシップを拡大するとした。あわせて、危機対応力を高めるため、調整強化、情報共有、共同研究を進め、戦略備蓄や備蓄慣行の改善に向けた協力を模索する。さらに、再生可能エネルギー、水素、原子力、天然ガス・LNG、排出削減・除去技術を伴う化石燃料、エネルギー効率、低炭素技術など、エネルギー移行分野での協力拡大も盛り込んだ。
こうしたエネルギー協力強化の背景には、中東情勢の緊迫化に伴う燃料供給への懸念がある。シンガポールのメディア「CNA」は4月24日、フィリピン、マレーシア、インドネシア、ベトナム、ミャンマーがロシア産石油・ガスの購入に関心を示している、と報じた。フィリピンは5年ぶりにロシア産原油を購入した(3月26日付「ロイター通信」)。インドネシアもロシア産原油の輸入契約を準備しており、2026年末までに段階的に購入する方針を示している(6月25日「アンタラ」)。
(大滝泰史)
(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、東ティモール、ロシア)
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ASEANとロシア、エネルギー協力を強化、カザンで首脳会議
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/6b620edb22360966.html
時系列
- 1991-XX-XX ASEANとロシアの関係樹立
- 2026-03-26 フィリピンが5年ぶりにロシア産原油を購入
- 2026-04-24 シンガポールメディアCNAが、フィリピン、マレーシア、インドネシア、ベトナム、ミャンマーがロシア産石油・ガスの購入に関心を示していると報道
- 2026-06-18 ロシア中部カザンでASEAN・ロシア記念首脳会議を開催し、「カザン宣言2026」を含む4文書を採択
- 2026-06-25 インドネシアがロシア産原油の輸入契約を準備し、2026年末までに段階的に購入する方針を示す
主な数値
| 関係樹立期間 | 35年 |
|---|---|
| 採択文書数 | 4文書 |
| フィリピンのロシア産原油購入期間 | 5年ぶり |
| インドネシアのロシア産原油購入完了目標年 | 2026年末 |
この事例から確認すべきポイント
本発表は、ASEANとロシアが戦略的パートナーシップを強化し、特にエネルギー分野での協力を深化させる方針を示しています。地政学的緊張やサプライチェーンの混乱による世界的なエネルギー不安が高まる中、両者はエネルギー供給の確保と多角化、危機対応力の強化、再生可能エネルギーや原子力を含むエネルギー移行技術への協力拡大を目指します。これは、中東情勢の緊迫化に伴う燃料供給への懸念が背景にあり、一部のASEAN諸国がロシア産石油・ガスへの関心を示していることからも、国際的なエネルギー供給構造の変化を示唆しています。企業は、国際情勢の変化がエネルギー調達戦略やサプライチェーンに与える影響を注視し、多様な供給源の確保やエネルギー効率化、低炭素技術への投資を検討する必要があるでしょう。また、国際的な経済連携の動向が、貿易・投資環境に与える影響についても継続的な情報収集が求められます。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-03
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