経済・産業トレンド 実施規則採択済

欧州委、鉄鋼貿易措置の原産地証明に係る実施規則を採択、10月からミルシート提出を義務付け

欧州委員会は、新たな鉄鋼貿易措置で定めた鉄の溶解・鋳造国の証明に関する実施規則を採択した。対象製品の輸入事業者は10月1日から、溶解・鋳造国と溶解番号が記載されたミルシートの提出が求められる。ミルシートがない場合は代替書類が2027年9月末まで経過措置として認められるほか、欧州委は対象範囲の拡大に向けたパブリックコンサルテーションも実施しており、今後の制度変更や貿易管理の動向に注意が必要である。

この発表の要点

企業・自治体への影響

EU向けに鉄鋼製品を輸出入する製造業、商社、物流・通関部門において、サプライチェーン全体の原産地証明データの収集・管理体制の見直しが必要となる。

対応すべきこと

対象部門: 総務 法務 経理

対応期限:施行日まで

基本データ

企業・団体 欧州委員会
業界 鉄鋼・金属
発表日 2026-09-04
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年09月04日

欧州委員会は8月31日、7月1日に開始した新たな鉄鋼貿易措置(2026年7月13日記事参照)で定めた鉄の溶解・鋳造国の証明に関する実施規則を採択したと発表した(プレスリリース)。同規則により、対象製品の輸入事業者は、10月1日から溶解・鋳造国と溶解番号が記載されたミルシート(鋼材検査証明書)の提出が求められる。ミルシートに当該情報が記載されていない場合や、ミルシート自体を提出できない場合は、加盟国の税関当局は、請求書や納品書、長期サプライヤー宣誓書、輸出通関書類や製品概要などについて、溶解・鋳造国と溶解番号を確認できることを条件に、証明書類として認めることができる。ただし、こうした代替書類を証明書類として認める扱いは2027年9月末までの経過措置となる。同年10月1日以降は代替書類のみでは証明書類として認められず、ミルシートを補完する書類としてのみ認められる。

欧州委は同規則の策定に先立ち、6月2日から約4週間、パブリックコンサルテーション(公開諮問)を実施した。回答した約170社・団体の多くが「ミルシートが最も適切」とすると同時に、補完書類の提出など柔軟な運用を要請した。欧州委は(1)ミルシートは世界的に広く認められ、EU域外国でも原産地証明の手段として活用されており、(2)新たな証明様式の導入は、特に中小企業の作業負担増加につながることを考慮し、既存の書類の活用が最適と説明した。また、溶解・鋳造国を正確に把握するため、ミルシートを補完または代替する書類については、必要に応じて見直す方針も示した。欧州委は集積したデータを基に、2028年6月末までに、溶解・鋳造国を関税割当の国別配分の基準とすべきか評価する。

欧州委は新鉄鋼貿易措置の対象範囲の拡大も検討している。9月末までパブリックコンサルテーションを実施し、12月末までに、鋳鉄製の鋼管・パイプ類やステンレス製ワイヤーなども対象製品に含めるか結論を出す予定だ(欧州委2026年7月30日付プレスリリース)。現地報道によると、同措置を巡っては、自由貿易協定(FTA)締結国を含む域外国との関係悪化への懸念や、不公正な貿易慣行に対し、より対象を絞った対抗手段の必要性が指摘されている。

(滝澤祥子)

(EU)

ビジネス短信 56d189eb50a1f7ce

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欧州委、鉄鋼貿易措置の原産地証明に係る実施規則を採択、10月からミルシート提出を義務付け

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/09/56d189eb50a1f7ce.html

時系列

主な数値

パブリックコンサルテーション回答企業・団体数 約170者・団体

この事例から確認すべきポイント

本発表は、EU向けに鉄鋼製品を輸出入する企業や関連サプライチェーンに直接的な影響を与える制度変更である。10月1日からのミルシート提出義務化に伴い、輸入事業者は取引先との連携を急ぎ、溶解・鋳造国・溶解番号の記載状況を確認する必要がある。2027年9月末までは代替書類による経過措置が認められるものの、将来的には必須要件となるため、早期の証憑管理体制の構築が求められる。また、対象範囲の拡大に向けた動きもあり、今後の追加情報や規制動向を継続的に注視することが重要である。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-09-04

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