欧州委、強制労働製品の域内流通禁止規則のガイドラインを公表
この発表の要点
- 欧州委員会は、強制労働製品の域内流通禁止規則に関するポータルサイトとガイドラインを公表した。
- 同規則は2027年12月14日から適用開始され、EU域内で製品を販売する事業者は早期の対策が推奨されている。
- 事業者にDD義務はないが、調査対象となった場合はサプライチェーンにおける強制労働リスク対策に関する情報提出が求められる。
企業・自治体への影響
EU域内で製品を販売する製造業、小売業、貿易業などの企業は、サプライチェーンにおける強制労働リスクの特定、防止、緩和、是正に向けた対策を講じる必要があり、法務、調達、CSR、広報部門に影響があります。
対応すべきこと
- 自社の製品がEU域内で販売されるか確認し、規則の適用対象となるか判断する。
- ガイドラインの内容を精査し、サプライチェーンにおける強制労働リスク評価と対策計画を策定する。
- 調達方針の見直し、サプライヤー行動規範の導入、契約条項への強制労働禁止規定の追加を検討する。
- 製品のトレーサビリティ確保や責任ある購買慣行の推進など、具体的な対策を早期に実施する。
対象部門: 経営者 総務 法務 広報
対応期限:施行日まで
基本データ
| 企業・団体 | 欧州委員会 |
|---|---|
| 発表日 | 2026-07-09 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月09日
欧州委員会は6月26日、強制労働製品の域内流通禁止規則(2024年11月22日記事参照、注)に関するポータルサイトを立ち上げた。ポータルサイトには、同規則の適用に関するガイドラインが掲載されている。同規則は2027年12月14日から適用が開始される予定で、欧州委はEU域内で製品を販売する事業者に対し、早期に対策を講じることを推奨している。
同規則は、強制労働を用いて生産された製品の域内での販売および域外への輸出を禁止するものだが、事業者にデューディリジェンス(DD)の実施義務や、監査義務、報告義務を課すものではない。一方で調査対象となった場合、事業者はサプライチェーンにおける強制労働リスクの特定、防止、緩和、救済または是正に向けて講じた措置に関する情報などを当局に提出する必要がある。このため、事業者は何らかの対策を講じておくことが求められる。
この点に関し、ガイドラインは、製品のトレーサビリティ確保、責任ある購買慣行の推進、認証スキームの活用、労働者主体の監視といったアプローチが有効だとしている。DDについても、有効な手段の1つとしてガイダンスに盛り込まれている。
また、事業者が強制労働リスクに関し当局に提供する情報として、調達方針、サプライヤー行動規範、強制労働禁止に関する契約条項、分野別リスク評価、予防措置や苦情処理メカニズムの導入状況を示す文書、労働条件に関する情報などが挙げられている。加えて、強制労働禁止違反が疑われる製品については、生産、製造または採掘の主要段階を含むサプライチェーンの説明、主要な生産工程に関与する製造事業者、生産事業者および供給事業者の一覧、直接・間接の供給事業者を示すサプライチェーンマップなどの提出が求められる。
このほかにガイドラインでは、当局(域外での強制労働の場合は、欧州委)による調査プロセスも解説している。調査はリスクに応じて実施され、強制労働の規模や深刻度、域内に流通する製品の数量、最終製品において強制労働由来の部品の割合が高い案件が優先される。また、強制労働により近い位置にあり、是正に対して最も影響力を有する、事業規模や経済力の大きい事業者に重点を置かれるとしている。ただし、域外の強制労働の場合、域内の輸入事業者に重点が置かれる場合がある。
(注)詳細は、調査レポート「EU 人権・環境デューディリジェンス法制化の最新概要(2025年5月)(1.2MB)」を参照。
(吉沼啓介)
(EU)
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欧州委、強制労働製品の域内流通禁止規則のガイドラインを公表
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/ff4bbe7f4f4964f2.html
時系列
- 2024-11-22 強制労働製品の域内流通禁止規則に関する記事が参照された日
- 2026-06-26 欧州委員会が強制労働製品の域内流通禁止規則に関するポータルサイトを立ち上げ、ガイドラインを掲載
- 2027-12-14 強制労働製品の域内流通禁止規則の適用開始予定日
この事例から確認すべきポイント
欧州委員会が公表した強制労働製品の域内流通禁止規則は、EU域内で製品を販売する全ての事業者にとって重要なコンプライアンス課題となります。直接的なデューディリジェンス(DD)実施義務は課されないものの、調査対象となった際にはサプライチェーンにおける強制労働リスクの特定、防止、緩和、是正に関する詳細な情報提出が求められるため、実質的に事業者は予防的な対策を講じる必要があります。ガイドラインでは、製品のトレーサビリティ確保、責任ある購買慣行の推進、認証スキームの活用、労働者主体の監視といった具体的なアプローチが有効とされており、これらを参考に自社のサプライチェーン管理体制を強化することが不可欠です。特に、強制労働の規模や深刻度、製品の流通量、強制労働由来部品の割合が高い案件、サプライチェーンの上流に位置する大規模事業者が調査の重点対象となる可能性が高く、2027年12月14日の適用開始に向けて早期の準備と対応が強く推奨されます。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-09
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