中東・北アフリカの成長率、2026年はマイナス0.5%も2027年は7.3%へ回復、IMF経済見通し
この発表の要点
- IMFはMENA地域の経済成長率が2026年に一時的にマイナス0.5%となるが、2027年には7.3%へV字回復すると予測した。
- この見通しはホルムズ海峡の通航状況と原油価格の動向に大きく左右され、紛争の再激化は下振れリスクとなる。
- MENA地域内でも国によって経済状況は異なり、資源輸出国は短期的な混乱後、急回復が見込まれる。
企業・自治体への影響
中東・北アフリカ地域と取引のある商社、製造業、エネルギー関連企業は、2026年の景気後退と2027年の急回復という大きな変動に備える必要があります。特に物流部門やサプライチェーンを管理する部門は、ホルムズ海峡の通航状況や原油価格の変動が事業に与える影響を注視し、リスクヘッジ策を検討することが求められます。
対応すべきこと
- IMFおよび関連機関の最新の経済見通しを継続的に確認し、事業計画に反映させる。
- 中東・北アフリカ地域におけるサプライチェーンの脆弱性を評価し、代替ルートや在庫戦略を検討する。
- 原油価格やエネルギーコストの変動リスクを分析し、価格転嫁やヘッジ戦略の可能性を検討する。
- 地政学的リスクに関する情報を収集し、事業継続計画(BCP)の更新や緊急時対応策を準備する。
対象部門: 経営者 総務 経理 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | ジェトロ |
|---|---|
| 発表日 | 2026-07-13 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月13日
IMFが7月8日に発表した「世界経済見通し(改定版)」(2026年7月10日記事参照)によれば、中東・北アフリカ(MENA)の成長率は、2026年がマイナス0.5%、2027年が7.3%と予測された。4月時点の見通し(2026年4月17日記事参照)と比べて、2026年は1.6ポイント下方修正、2027年は2.5ポイント上方修正されている。ホルムズ海峡の閉鎖期間が4月時点の想定より長期化したことと、2027年についてはベース効果による反動増が理由とした。IMFは、世界の中でもMENA地域において、このような「V字回復」が顕著だと説明した。
MENA地域内でも、国によって状況は異なる。イラク、クウェート、カタールといったペルシャ湾内に主要港がある資源輸出国は、原油・天然ガスの生産・精製の混乱、物流の混乱の影響を最も強く受ける。2026年は大幅な景気の後退が見込まれ、2027年には2桁成長の急回復が予測される。ペルシャ湾外にも港を有するサウジアラビアは、資源の輸出ルートが比較的多様化されているため影響はやや小さく、2026年に1.7%、2027年に5.5%の成長が見込まれる。イランの2026年成長率はマイナス5.4%の予測で、4月から0.7ポイント上方修正された。3月、4月の石油輸出実績が予想を上回ったことや、一部の輸出制限の緩和が理由だ。
資源輸入国では、エネルギーや食料の価格上昇の影響を受けるもの、比較的影響は小さいと分析する。エジプトの成長率は2025/2026年度(注)が4.6%(4月時点予測:4.2%)、2026/2027年度が4.4%(4月時点予測:4.8%)と予測される。2025/2026年度は予想を上回る成長を達成し地政学的な影響を相殺したが、翌年度には投資の鈍化、資金調達コストの上昇など中東情勢の影響がより明確に表れると説明した。
IMFの予測は、7月中旬からホルムズ海峡の通行が徐々に再開され、2027年3月までに紛争開始前の状態に正常化するとの想定に基づく。また、2026年の平均原油価格は1バレル当たり89ドルを見込む。紛争が再び激化した場合、資源価格の高騰とインフレの再加速、新興国からの資本流出などにより、世界経済の成長に悪影響を及ぼすと予測され、見通しは下振れ方向に傾いているという。一方で、人工知能(AI)導入の加速や、ホルムズ海峡の通航正常化の進展は上振れ要因になりうると説明した。
中東情勢と世界各国の動きについては特集「イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報」参照。
(注)エジプトの会計年度は7月始まり。2025/2026年度は2025年7月~2026年6月。
(塩川裕子)
(中東、アフリカ、世界、イラク、クウェート、カタール、サウジアラビア、イラン、エジプト)
ビジネス短信 138ca3693ee1fa4a
関連情報
dummy
もっと見る
ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース
中東・北アフリカの成長率、2026年はマイナス0.5%も2027年は7.3%へ回復、IMF経済見通し
ジェトロ公式SNSアカウント
出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/138ca3693ee1fa4a.html
時系列
- 2026-07-08 IMFが「世界経済見通し(改定版)」を発表
- 2026-07-13 ジェトロが本記事を公開
主な数値
| MENA地域 2026年成長率 | -0.5% |
|---|---|
| MENA地域 2027年成長率 | 7.3% |
| MENA地域 2026年成長率 4月時点からの修正幅 | -1.6ポイント |
| MENA地域 2027年成長率 4月時点からの修正幅 | 2.5ポイント |
| サウジアラビア 2026年成長率 | 1.7% |
| サウジアラビア 2027年成長率 | 5.5% |
| イラン 2026年成長率 | -5.4% |
| イラン 2026年成長率 4月時点からの修正幅 | 0.7ポイント |
| エジプト 2025/2026年度成長率 | 4.6% |
| エジプト 2025/2026年度成長率 4月時点予測 | 4.2% |
| エジプト 2026/2027年度成長率 | 4.4% |
| エジプト 2026/2027年度成長率 4月時点予測 | 4.8% |
| 2026年平均原油価格予測 | 89ドル/バレル |
この事例から確認すべきポイント
IMFの最新経済見通しは、中東・北アフリカ(MENA)地域が2026年に一時的な景気後退を経験するものの、2027年には顕著なV字回復を遂げる可能性を示唆しています。この見通しは、ホルムズ海峡の通航状況や原油価格の動向に大きく左右されるため、事業計画やサプライチェーン戦略において、これらの変動リスクと機会を慎重に評価する必要があります。特に、ペルシャ湾に主要港を持つ資源輸出国は、短期的な混乱の影響を強く受ける一方で、翌年には二桁成長の急回復が予測されており、関連企業は市場の動向を綿密に追うべきです。また、IMFの予測はホルムズ海峡の正常化を前提としており、紛争の再激化は世界経済に下振れリスクをもたらす可能性も指摘されているため、企業は地政学的リスクの継続的なモニタリングと、それに対する事業継続計画の策定が不可欠となります。AI導入の加速や通航正常化の進展は上振れ要因となり得るため、技術革新と地域情勢の両面から情報を収集し、多角的な視点で事業環境を分析することが求められます。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-13
関連事例
- インド、引き続き高成長を維持、ADBとIMFが7月版の見通しを公表
- 米主要港、5月の小売業者向け輸入コンテナ量は前月比10.1%増、輸入の早期化が鮮明に
- フジモリ新政権誕生で民間投資増が続くとの見方、ペルー経団連会長に聞く
- 6月の米雇用統計、新規雇用者数は市場予想を下回る
- 日印首脳会談が首都ニューデリーで開催、次世代燃料分野などで協力へ
自社のプレスリリースをPRazeに掲載しませんか?
無料でプレスリリースを掲載する