経済・産業トレンド

米主要港、5月の小売業者向け輸入コンテナ量は前月比10.1%増、輸入の早期化が鮮明に

2026年5月の米国主要港における小売業者向け輸入コンテナ量は、前月比10.1%増、前年同月比14.9%増の224万TEUを記録しました。7月には月間過去最高を更新する見込みですが、8月以降は減少傾向に転じると予測されています。この輸入早期化は、港湾労働争議リスクや関税引き上げへの警戒感、中東情勢の緊迫化を背景としており、小売業者や輸入業者は新たな関税による価格高騰前に国内在庫確保を急いでいます。消費者の価格志向が強まる中、今後の関税や運賃の動向が消費に与える影響が注視されます。

この発表の要点

企業・自治体への影響

米国市場へ製品を輸出する日本企業(特に小売・製造業)は、関税動向やサプライチェーンの変動に注意が必要です。物流・貿易関連企業も、輸入の早期化や運賃変動に対応するための戦略見直しが求められます。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 法務 経理 広報

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 ジェトロ
業界 小売 / 物流
発表日 2026-07-14
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年07月14日

添付資料(364 KB)

全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社のハケット・アソシエイツが発表した「グローバル・ポート・トラッカー報告」(7月8日)によると、5月の米国小売業者向けの主要輸入港(注1)の輸入コンテナ量は、前月比10.1%増、前年同月比14.9%増の224万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算、添付資料図参照)となった(注2)。ただし、前年同月からの大幅な増加は、2025年4月にドナルド・トランプ大統領が相互関税を発表した「解放の日(Liberation Day)」の影響で、前年の輸入量が急減したことが大きく寄与している。

今後の見通しでは、6月は前年同月比18.7%増の233万TEUと予測した。これにより、2026年上半期の累計取扱量は前年同期比2%増の1,277万TEUに達する見通し。その後7月は、同3.3%増の247万TEUと、新型コロナウイルス禍からの経済回復期だった2022年5月の240万TEUを上回り、月間の過去最高を更新する見通しだ。一方、8月以降は減少傾向に転じる見込み。8月が前年同月比4.5%減の222万TEU、9月が同5.7%減の199万TEU、10月が同3.8%減の199万TEU、11月が同5.2%減の192万TEUと予測している。この結果、2026年は5~7月が年間のピークとなる見通しだ。従来、米国の物流の繁忙期は10月ごろが中心だったが、近年の港湾労働争議のリスクや関税引き上げへの警戒感を背景に、貨物の早期輸入による前倒し傾向が一段と鮮明になった。

NRFのサプライチェーン・税関政策担当バイスプレジデント、ジョナサン・ゴールド氏は、イラン情勢によるサプライチェーンへの影響も踏まえ、「8月からの関税引き上げリスクや貿易環境の不透明感に備え、小売業者や輸入業者による輸入が早期化し、ピークは7月まで続く見通し」と述べた。米国が2月に導入した1974年通商法122条に基づく10%の輸入課徴金(2026年2月24日記事参照)が7月24日に期限を迎える一方、トランプ政権は強制労働産品を対象とする新たな追加関税措置を課すとの見通しが背景にある(2026年6月3日記事参照)。小売業者の間では、既に活発化している新学期商戦に加えて年末商戦も見据え、新たな関税による価格高騰の前に国内在庫を確保する動きが顕著だという。ゴールド氏はまた、「逆風下でも個人消費は堅調だが、価格の手頃さが消費行動を左右する重要なカギを握っている」とも指摘した。

民間調査会社のデカルト・システムズ・グループによると、6月の米国コンテナ輸入は前年同月比8.2%増となり、特に中国発の輸入が27.4%増と突出した。背景には、NRFの指摘同様、中東情勢の緊迫化や7月の運賃上昇をにらんだ前倒し輸入に加え、関税リスクがあるという。足元の消費意欲は底堅いものの、消費者の価格志向は強まっており、8月以降の関税や運賃の動向が、製品の価格を通じて消費にどのような影響を与えるかが注視される。

(注1)主要輸入港は、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトルおよびタコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミおよびジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港を指す。
(注2)発表されている貨物量のTEUと前年同月比の数値は端数処理の関係で一致しない場合がある。

(樫葉さくら)

(米国)

ビジネス短信 c07ab0194c4e6474

関連情報

dummy

もっと見る

ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース

米主要港、5月の小売業者向け輸入コンテナ量は前月比10.1%増、輸入の早期化が鮮明に

ジェトロ公式SNSアカウント

出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/c07ab0194c4e6474.html

時系列

主な数値

2026年5月の輸入コンテナ量 224万TEU
2026年5月の輸入コンテナ量(前月比増加率) 10.1%
2026年5月の輸入コンテナ量(前年同月比増加率) 14.9%
2026年6月の予測輸入コンテナ量 233万TEU
2026年6月の予測輸入コンテナ量(前年同月比増加率) 18.7%
2026年上半期の累計取扱量予測 1277万TEU
2026年上半期の累計取扱量予測(前年同期比増加率) 2%
2026年7月の予測輸入コンテナ量 247万TEU
2026年7月の予測輸入コンテナ量(前年同月比増加率) 3.3%
2022年5月の輸入コンテナ量 240万TEU
2026年8月の予測輸入コンテナ量 222万TEU
2026年8月の予測輸入コンテナ量(前年同月比減少率) 4.5%
2026年9月の予測輸入コンテナ量 199万TEU
2026年9月の予測輸入コンテナ量(前年同月比減少率) 5.7%
2026年10月の予測輸入コンテナ量 199万TEU
2026年10月の予測輸入コンテナ量(前年同月比減少率) 3.8%
2026年11月の予測輸入コンテナ量 192万TEU
2026年11月の予測輸入コンテナ量(前年同月比減少率) 5.2%
2026年6月の米国コンテナ輸入(前年同月比増加率、デカルト・システムズ・グループ) 8.2%
2026年6月の中国発輸入(前年同月比増加率、デカルト・システムズ・グループ) 27.4%
1974年通商法122条に基づく輸入課徴金 10%

この事例から確認すべきポイント

本発表は、米国の輸入コンテナ量動向と、その背景にある関税政策、港湾労働争議リスク、地政学的要因が複合的に影響していることを示しています。従来の物流繁忙期が前倒しされ、5~7月が年間のピークとなる見込みは、サプライチェーン戦略を再考する上で重要な情報です。特に、小売業者や輸入業者が関税引き上げ前に在庫確保を急ぐ動きは、今後の市場価格や供給体制に影響を与える可能性があります。また、消費者の価格志向が強まっている現状は、企業が製品価格戦略を検討する上で考慮すべき点です。ジェトロのビジネス短信として、日本企業が米国市場の動向を把握し、適切な事業判断を下すための客観的な情報提供として価値があります。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-14

関連事例

自社のプレスリリースをPRazeに掲載しませんか?

無料でプレスリリースを掲載する