経済・産業トレンド

フランスの防衛装備輸出受注額、2年連続で200億ユーロ超、軍事省報告書

フランス軍事省が上院に提出した2026年防衛装備輸出報告書によると、2025年の防衛装備輸出受注額は212億4,400万ユーロとなり、前年から微減したものの2年連続で200億ユーロを超えた。世界第2位の防衛装備輸出国となったフランスは、アジアやEU加盟国向けの大型案件が受注を牽引し、装備開発段階からの海外需要取り込みや「戦時経済」への移行による納入期間短縮などを推進している。

この発表の要点

企業・自治体への影響

防衛産業や関連サプライチェーン(重工業・航空宇宙・電子機器等)を展開する企業において、国際市場における競合動向や、技術移転・現地生産要求への対応方針を検討する際の重要な市場データとなる。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 総務 法務 広報

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 フランス軍事省
業界 防衛・重工業
発表日 2026-08-27
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年08月27日

フランス軍事省が8月12日付で上院に提出した2026年防衛装備輸出報告書(フランス語)によると、2025年の防衛装備輸出受注額は212億4,400万ユーロとなり、前年の215億9,200万ユーロから微減したものの、2年連続で200億ユーロを超えた。

輸出受注額は、2021~2025年の5年間で2016~2020年の5年間の2倍となり(引き渡し額は同22%増)、フランスは世界第2位の防衛装備輸出国となった。特に欧州諸国向けの主要装備の受注は、2016~2020年と比べ3倍超に拡大した。

2025年は、インド海軍向けラファール戦闘機26機と関連装備、インドネシア向けスコルペヌ型潜水艦2隻、ギリシャ向けFDIフリゲート、ベルギーやルクセンブルク向けスコーピオン車両などの大型案件が受注を牽引した。

分野別では、航空分野が受注額全体の約40%を占めて最大となり、海上装備分野が約19%、ミサイル分野が約18%で続いた。陸上装備は約12%、レーダー・通信システムは約2%を占めた。ミサイル分野は2024年比で約15%増と、各分野の中で最も高い伸びを示した。

地域別では、インドやインドネシア向けの大型契約により、アジアが受注額全体の約43%を占めた。EU加盟国向けも約27%に達し、2022年以降増加傾向が続いている。EU域外の欧州諸国は約9%、中東地域は約6%だった。デンマークが2025年に採用を決定したフランスとイタリア共同開発の次世代防空システム「SAMP/T NG」は、初の輸出案件として注目を集めた。

こうした輸出実績の背景には、装備開発の初期段階から海外市場の需要を織り込む政策がある。将来の顧客ニーズを見据えた能力向上と国防投資を進めることで、防衛装備輸出の競争力強化を図っている。

加えて、フランス政府はEUの「共同調達を通じた欧州防衛産業強化法(EDIRPA)」や「欧州の安全保障行動(SAFE)」の枠組みを活用し、フランスがパートナー国に代わって防衛装備品の調達を代理で実施する「戦略的パートナー向けフランス調達制度(FASt)」を推進している。また、世界的な再軍備の進展により防衛需要が増大し、その緊急性も高まる中、既存の生産体制では迅速な対応が難しくなっている。このため、フランス政府は「戦時経済」への移行を進める観点から、受注から納入までの期間短縮に取り組んでいる。

一方、パートナー国による技術移転や現地生産への要求が強まっている。インドの「メーク・イン・インディア」政策や湾岸諸国の防衛産業育成を背景に、フランスは技術協力と産業パートナーシップを重視している。また、政府は外交、金融、軍事面での支援を組み合わせた「チーム・フランス」体制を通じて企業を後押しし、防衛装備輸出の競争力向上を図っている。

(山崎あき)

(フランス、インド、インドネシア、デンマーク、EU、中東)

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フランスの防衛装備輸出受注額、2年連続で200億ユーロ超、軍事省報告書

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/08/795cf58c16d5f9ca.html

時系列

主な数値

2025年防衛装備輸出受注額 212億4,400万ユーロ
2024年防衛装備輸出受注額 215億9,200万ユーロ
輸出受注額の5年間の対比成長(2021~2025年と2016~2020年の比較) 2倍
引き渡し額の5年間の増加率(2021~2025年と2016~2020年の比較) 22%増
欧州諸国向け主要装備受注の拡大倍率(2016~2020年比) 3倍超
インド海軍向けラファール戦闘機 26機
インドネシア向けスコルペヌ型潜水艦 2隻
分野別構成比:航空分野 約40%
分野別構成比:海上装備分野 約19%
分野別構成比:ミサイル分野 約18%
分野別構成比:陸上装備 約12%
分野別構成比:レーダー・通信システム 約2%
ミサイル分野の2024年比伸び率 約15%増
地域別構成比:アジア 約43%
地域別構成比:EU加盟国向け 約27%
地域別構成比:EU域外の欧州諸国 約9%
地域別構成比:中東地域 約6%

この事例から確認すべきポイント

本報告書は、フランスがグローバルな防衛装備市場において世界第2位の地位を確固たるものにしている実態を示している。特に初期段階からの海外需要の取り込み、EUの枠組みを活用した調達制度の推進、さらには「戦時経済」への移行による納入期間の短縮など、国家戦略と産業政策が一体となった輸出支援体制が特徴である。防衛関連企業やサプライチェーンに関わる実務者にとっては、世界的な再軍備の動向に加え、パートナー国が求める技術移転や現地生産(メーク・イン・インディア等)への対応が、今後の国際受注を左右する重要な経営・営業課題となる点を確認すべきである。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-08-27

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