経済・産業トレンド 法改正, 即日施行, 認可, 補助金制度導入

ガソリン供給の確保に向け法改正、モスクワ市内では給油の列が続く

ロシアではウクライナによるドローン攻撃の影響で燃料不足が発生しており、これに対応するため、プーチン大統領は2026年7月4日にガソリン供給確保を目的とした連邦法第218-FZ号に署名し即日施行しました。これにより、オクタン価92以上のガソリン製造方法が緩和され、中小規模製油所への物品税控除が導入されました。また、ユーラシア経済連合域外からの輸入ガソリンに対する補助金制度も導入されています。モスクワ市内では依然として給油制限や品薄が見られるものの、供給改善の兆しがある一方で、地方都市では深刻な燃料不足が生じています。

この発表の要点

企業・自治体への影響

ロシアで事業を展開する、またはロシアとの貿易関係を持つ企業は、燃料供給の不安定性や地域差に注意が必要です。特に物流、製造、農業など燃料を多用する業種は、サプライチェーンの混乱やコスト上昇のリスクを評価し、代替供給源の確保や輸送計画の見直しを検討する必要があります。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 法務 経理

対応期限:期限あり

基本データ

企業・団体 日本貿易振興機構(ジェトロ)
業界 エネルギー・石油・ガス, 製造業, 小売業, 物流
発表日 2026-07-14
分類 経済・産業トレンド
地域 ロシア(モスクワ)

発表された内容

2026年07月14日

ロシアではウクライナによるドローン攻撃の影響により多くの製油所で稼働率が低下し、燃料不足が発生している。ウラジーミル・プーチン大統領は7月4日、国内のガソリン供給確保を目的に法律を改正する連邦法第218-FZ号に署名、即日施行した。

これにより、オクタン価92以上のガソリンについては、ナフサを他の成分と混合して製造することが認められることとなった。この製造方式を採用する中小規模の製油所や石油貯蔵施設は、特例としてナフサの購入時に納付した物品税の控除を受けられることから、こうした製油所によるガソリン生産の増加が期待されている。同法の施行に先立ち、ロシア政府は2026年7月2日付連邦政府決定第819号により、それまで認められていなかったEUにおける自動車の排ガス基準「Euro3(ユーロ3)」水準のガソリンおよび軽油の国内流通を2026年末まで認可した。

また、ユーラシア経済連合(EAEU)域外からの輸入ガソリンに対する補助金制度も導入される。この仕組みは従来、国内およびEAEU域内で生産されたガソリンのみを対象としており、ガソリンスタンドでの販売価格の上昇を抑制する役割を果たしてきた。今回策定された輸入燃料を対象とする補助金制度の新たな算定式にはインドの燃料価格も使われる。インドからの燃料輸入を想定した措置とみられている。

燃料供給は改善の兆し
モスクワではガソリンスタンドで行列が続いている。市内のどのガソリンスタンドでも燃料を入手できるわけではなく、特にオクタン価95のガソリンの不足が顕著だ。燃料の販売を継続しているスタンドであっても、給油量は1回当たり20~30リットルに制限されている。政府による補助金制度により、ルクオイルやガスプロムネフチといった大手石油会社のガソリンスタンドでは価格が比較的安定している。

6月29日時点のモスクワ市内のガソリンスタンド。オクタン価95のガソリンは販売されていなかった(ジェトロ撮影)

法改正後7月10日時点の同じスタンドではオクタン価95のガソリンが販売されている(ジェトロ撮影)

給油可能なスタンドを探す利用者を支援するため、「ガソリンはどこ」と呼ばれるウェブサイトや、検索サービス最大手ヤンデックスのアプリなどが立ち上げられた。利用者はこれらのサービスを通じて、各給油所における在庫状況や待ち時間に関する情報を確認できるほか、自ら情報を投稿・共有することも可能となっている。

国内の他の地域向けに出荷される予定だった燃料の一部がモスクワへ優先的に振り向けられており、モスクワの燃料供給の状況には改善の兆しがみられている。一方で、モスクワへの優先供給のしわ寄せにより、一部の地方都市では深刻な燃料不足が生じている。

(欧州課)

(ロシア)

ビジネス短信 c59deac6cc5c048f

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ガソリン供給の確保に向け法改正、モスクワ市内では給油の列が続く

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/c59deac6cc5c048f.html

時系列

主な数値

対象ガソリンのオクタン価 92以上
認可された排ガス基準 Euro3水準
Euro3水準ガソリン・軽油の国内流通認可期限 2026年末
給油量制限 20~30リットル

この事例から確認すべきポイント

ロシア政府は、ウクライナによるドローン攻撃に起因する燃料不足に対し、複数の緊急措置を講じています。法改正により、オクタン価92以上のガソリン製造におけるナフサ混合を認め、中小規模製油所への物品税控除を導入することで国内生産の増加を促しています。また、排ガス基準「Euro3」水準のガソリン・軽油の国内流通を2026年末まで一時的に認可し、供給源を多様化。さらに、ユーラシア経済連合域外からの輸入ガソリンに対する補助金制度を導入し、特にインドからの輸入を想定した価格安定化策を打ち出しています。これらの措置は、燃料供給の安定化と価格抑制を目的としていますが、モスクワへの優先供給が地方都市での深刻な燃料不足を引き起こすなど、地域間の供給不均衡という新たな課題も生じています。企業は、ロシア市場における燃料供給の動向、特に地域ごとの状況や関連法規の変更を継続的に監視し、サプライチェーンや事業計画への影響を評価する必要があるでしょう。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-14

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