日・ブラジル首脳、日・メルコスール経済連携協定の交渉開始で合意
この発表の要点
- 日本とブラジルが日・メルコスール経済連携協定(EPA)の交渉開始で合意した。
- メルコスールはFTA網の拡大を積極的に進めており、ブラジルはニオブや原油の主要生産国である。
- 日本とブラジル間の貿易割合は現状小さいが、EPA交渉開始により今後の貿易拡大が期待される。
企業・自治体への影響
日本企業はメルコスール市場へのアクセス拡大、資源・エネルギーの安定供給源確保の機会を得る可能性があります。特に製造業、商社、食品・資源関連企業に影響が想定されます。自治体は、貿易促進や国際交流の機会が増加する可能性があり、関連産業の誘致や支援策を検討する契機となります。
対応すべきこと
- 日・メルコスールEPA交渉の進捗状況を継続的に情報収集する。
- 自社の事業がメルコスール市場やブラジル産資源にどのように関連するかを評価する。
- 貿易部門や国際事業部門で、将来的な市場開拓やサプライチェーン多角化の可能性を検討する。
- 公式出典(JETRO等)で、EPA交渉の詳細や関連する貿易統計を確認する。
対応優先度: 中 日・メルコスール経済連携協定の交渉開始は、日本企業にとって中長期的な貿易・投資戦略に影響を与える可能性があるため。
対象部門: 経営者 総務 法務 広報 経理
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 外務省 |
|---|---|
| 発表日 | 2026-06-17 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年06月17日
ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は6月16日、G7エビアン・サミットが開催されているフランスで高市早苗首相と首脳会談を行い、日・メルコスール経済連携協定(EPA)の交渉開始で合意した。日本の外務省が発表した。
6月16日付現地紙「フォーリャ・デ・サンパウロ」は、EUメルコスール自由貿易協定(FTA)の暫定貿易協定(iTA)が5月1日に暫定適用開始(2026年5月12日記事参照)された直後の合意であることを受け、「ブラジルは、EUに加えて日本を含むアジア諸国との貿易を加速させる」、その上で「ブラジルを含むメルコスール諸国は、食料、資源、エネルギーの輸出拡大を狙う」と報じた。
メルコスールは、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイの4カ国で構成される関税同盟(注1)。中南米域外では、対イスラエル、対エジプトとのFTAが発効している(注2)。その他、2023年12月にメルコスール・シンガポールFTA(MCSFTA)に署名、2025年9月には欧州自由貿易連合(EFTA)とのFTAに署名した(注3)。MCSFTAは、2026年2月にパラグアイで、3月にウルグアイで発効している(2026年3月6日記事参照)。
近年、メルコスールはFTA網の拡大を図っている。2025年以降は、新型コロナ感染拡大などによって交渉が停滞していたカナダ、韓国、インドネシアとのFTA協議を再開する旨で合意した。輸出相手国や供給元の多角化を図る狙いがあるとみられる。日本と、メルコスール(4カ国)のGDPの7割以上を占めるブラジルとの貿易割合は小さく、今後拡大の余地がある。ブラジルの日本向け輸出割合は輸出額全体のわずか1.6%(54億8,900万ドル)。日本からの輸入割合も、輸入額全体の2.2%(60億5,100万ドル)にとどまる(注4)。
ブラジルは、重要鉱物の1つであるニオブの世界最大の生産国。ニオブは、高級鋼材の生産に不可欠なレアメタル(希少金属)で、ブラジルは世界の生産量の9割以上を占めている。また、原油の生産量(2025年)は、日量465万5,000バレル。生産量は拡大傾向にある(注5)。なお、2025年8月には、英国の石油大手BPが、リオデジャネイロ州沖約400キロメートルに位置するサントス海盆のブメランギ鉱区の深海部、プレソルトと呼ばれる岩塩層下で、広さ300平方キロメートル超にのぼる石油・天然ガス田を発見している(2025年8月8日記事参照)。
(注1)2024年8月にボリビアが正式加盟のステータスを得ているが、今後、最長4年間の猶予期間を経て、対外共通関税などメルコスールの現行規定を国内法規に適用させることで、実質的な加盟国になる。
(注2)メルコスール・イスラエルFTAは、ウルグアイで2009年、ブラジルとパラグアイで2010年、アルゼンチンで2011年に発効している。メルコスール・エジプトFTAは2017年に発効した。
(注3)EFTAの加盟国は、リヒテンシュタイン、アイスランド、ノルウェー、スイスの4カ国。
(注4)いずれも2025年のデータ。出所は、開発商工サービス省。
(注5)2021年の生産量は日量369万バレル、2022年は318万バレル、2023年は428万2,000バレル、2024年は427万7,000バレル。出所は、米国エネルギー情報局(EIA)。
(辻本希世)
(ブラジル、日本、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、メルコスール)
ビジネス短信 f572795820be26a3
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日・ブラジル首脳、日・メルコスール経済連携協定の交渉開始で合意
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出典: JETRO ビジネス短信
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/f572795820be26a3.html
時系列
- 2026-06-16 日・ブラジル首脳会談で日・メルコスール経済連携協定(EPA)の交渉開始に合意
- 2026-05-01 EUメルコスール自由貿易協定(FTA)の暫定貿易協定(iTA)が暫定適用開始
- 2026-03 メルコスール・シンガポールFTA(MCSFTA)がウルグアイで発効
- 2026-02 メルコスール・シンガポールFTA(MCSFTA)がパラグアイで発効
- 2025-09 欧州自由貿易連合(EFTA)とのFTAに署名
- 2024-08 ボリビアがメルコスールに正式加盟のステータスを得る
- 2023-12 メルコスール・シンガポールFTA(MCSFTA)に署名
主な数値
| ブラジルの日本向け輸出割合 | 1.6% |
|---|---|
| ブラジルの日本向け輸出額 | 54億8,900万ドル |
| 日本からの輸入割合 | 2.2% |
| 日本からの輸入額 | 60億5,100万ドル |
| ブラジル原油生産量(2025年) | 465万5,000バレル/日 |
この事例から確認すべきポイント
今回の合意は、日本が貿易パートナーの多様化と、ブラジルからのニオブのような重要鉱物やエネルギー資源の安定供給源確保を目指す戦略的な動きを示唆しています。日本企業にとっては、メルコスール市場への新たなアクセス機会や、サプライチェーンの多角化を通じた既存パートナーへの依存度低減の可能性が生まれるでしょう。特に製造業、商社、食品・資源関連企業は、今後の交渉進捗に注目する必要があります。一方、ブラジルを含むメルコスール諸国は、食料、資源、エネルギーの輸出をアジア諸国、特に日本へ拡大することを目指しており、双方にとって経済的なメリットが期待されます。メルコスールがFTA網の拡大を積極的に進めている背景も踏まえ、企業は将来的な貿易・投資戦略を検討する上で、この動向を注視することが重要です。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-06-17
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