日米イノベーション・アワード2026、米アンソロピックと日本のサカナAIを新興リーダー賞に選出
この発表の要点
- 2026年日米イノベーション・アワードの新興リーダー賞に日本のサカナAIと米国のアンソロピックが選出された。
- サカナAIは「モデル・オーケストレーション」を商用AI製品に採用し、AI主権の重要性を強調した。
- アンソロピックは日本企業との提携事例を紹介し、2025年10月に東京事務所を開設、日本のAIセーフティー・インスティテュート(AISI)と協力覚書を締結した。
企業・自治体への影響
AI技術の導入や開発を検討しているIT・ソフトウェア企業、製造業、金融業、小売業などの企業は、日米間のAI技術連携の動向や、AIの安全性・ガバナンスに関する国際的な取り組みに注目する必要があります。特に、AI主権やモデル・オーケストレーションといった概念は、今後のAI戦略策定に影響を与える可能性があります。
対応すべきこと
- 自社のAI戦略において、国際的な技術連携やAI主権の概念を考慮に入れる。
- AIの導入・開発におけるガバナンス体制や信頼構築の取り組みを再確認する。
- AIセーフティー・インスティテュート(AISI)の活動やAIモデル評価手法に関する動向を注視する。
- サカナAIやアンソロピックの技術動向、特に「モデル・オーケストレーション」や「クロード」の活用事例を調査し、自社への応用可能性を検討する。
対象部門: 経営者 情シス 広報 法務
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 日本貿易振興機構(ジェトロ) |
|---|---|
| 業界 | IT・ソフトウェア |
| 発表日 | 2026-07-30 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月30日
日米の革新的な企業を表彰する「2026年日米イノベーション・アワード・シンポジウム」が7月16日、米国カリフォルニア州のスタンフォード大学で開かれた。北カリフォルニア・ジャパン・ソサエティー(JSNC)と同大学米国アジア技術経営センター(US-ATMC)が共催し、新興リーダー賞(注1)に日本側からサカナAI(Sakana AI)、米国側からアンソロピック(Anthropic、本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)を選出した。
受賞スピーチとパネルディスカッションでは、両社の人工知能(AI)開発や日本での取り組みなどが議論された。
パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)
サカナAI代表取締役社長の伊藤錬氏は、同社が2023年の創業時から、世界で通用する日本拠点の企業を目指してきたと説明した。また、必要なモデルに安定してアクセスし、それぞれの国のニーズに沿って利用できる環境が、AI主権(注2)の観点から重要だと述べた。その手段の1つとして、オープンソースや外部企業のモデルを含む複数のAIモデルを用途に応じて使い分ける「モデル・オーケストレーション(注3)」を紹介した。同社はこの仕組みを商用AI製品「サカナ・フグ(Sakana Fugu)」に採用している。
生成AI「クロード(Claude)」を開発するアンソロピックのジェネラル・カウンセルであるジェフ・ブライヒ氏は、受賞スピーチでAI技術の急速な進展を踏まえ、「導入、ガバナンス、信頼の構築も同様に加速させる必要がある」と述べた。また、日本企業におけるクロードの本格導入や製品開発の事例にも触れ、日立製作所、富士通との提携や、楽天グループによる「クロード・コード(Claude Code、注4)」のソフトウエア開発への活用について紹介した。同社は、2025年10月、アジア太平洋地域初の事務所を東京に開設し、AIセーフティー・インスティテュート(AISI、注5)とAIモデル評価手法に関する協力覚書を締結している。
展示ブースの様子(ジェトロ撮影)
このほか、イノベーションの潜在的なインパクトや成功可能性、日米間の事業展開につながる関連性などを評価するイノベーション・ショーケースには、日本のスタートアップ5社(注6)が選ばれた。各社はプレゼンテーションや会場内の展示ブースにて自社の技術や事業を紹介した。
(注1)正式名称は「サンブリッジ・ジョン・トーマス・エマージング・リーダー・アワード(SunBridge–John Thomas Emerging Leader Award)」。日米と関係を持ち、成長性と起業家精神を備え、イノベーションが大きな影響を示し始めている企業を日米から各1社選ぶ。2011年の創設以降、米国側ではテスラ・モーターズ(Tesla Motors)やズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(Zoom Video Communications)などが受賞。
(注2)特定の国や企業への過度な依存を避け、必要なAIを主体的に選択・運用できる能力を確保する考え方。日本政府は、同志国などとの連携や相互運用性を保ちながら実現する「開かれたAI主権」を掲げている。
(注3)サカナAIの商用AI製品「サカナ・フグ(Sakana Fugu)」が採用する仕組み。複数のAIモデルを組み合わせ、入力内容や用途に応じて使用するモデルを選択する。
(注4)アンソロピックが提供するエージェント型コーディングツール。
(注5)AIの安全性に関する評価手法や基準を検討・推進する日本の機関。2024年2月に発足し、情報処理推進機構(IPA)に事務局を置く。
(注6)ハカルス(HACARUS)、アイ・ピース(I Peace)、コルタック(KORTUC)、大熊ダイヤモンドデバイス(OOKUMA DIAMOND DEVICE)、ペールブルー(Pale Blue)
(武田史織)
(米国、日本)
ビジネス短信 96255ee6810839a0
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日米イノベーション・アワード2026、米アンソロピックと日本のサカナAIを新興リーダー賞に選出
ジェトロ公式SNSアカウント
出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/96255ee6810839a0.html
時系列
- 2023 サカナAIが創業
- 2024-02 AIセーフティー・インスティテュート(AISI)が発足
- 2025-10 アンソロピックがアジア太平洋地域初の事務所を東京に開設し、AIセーフティー・インスティテュート(AISI)とAIモデル評価手法に関する協力覚書を締結
- 2026-07-16 2026年日米イノベーション・アワード・シンポジウムが米国カリフォルニア州のスタンフォード大学で開催され、新興リーダー賞に日本側からサカナAI、米国側からアンソロピックを選出
- 2026-07-30 本発表が公開
主な数値
| 新興リーダー賞受賞企業数 | 2社 |
|---|---|
| イノベーション・ショーケース選出企業数 | 5社 |
| サカナAI創業年 | 2023年 |
この事例から確認すべきポイント
本発表は、日米間のイノベーション促進とAI分野における協力関係の進展を示すものです。特に、AI主権の重要性やモデル・オーケストレーションといった技術的アプローチ、そしてAIの導入・ガバナンス・信頼構築の加速の必要性が強調されている点は、AI関連企業にとって重要な示唆となります。日本企業が海外の先進AI企業と提携し、その技術を国内で活用する事例が紹介されており、国際的な技術連携の重要性が浮き彫りになっています。また、AIの安全性に関する日本の機関(AISI)との協力覚書締結は、技術開発と並行して倫理的・安全性の側面を重視する姿勢を示しています。企業は、自社のAI戦略において、国際的な動向、技術連携、そして安全性・ガバナンスの確保を複合的に検討する必要があるでしょう。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-30
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