経済・産業トレンド

インド、FTAの活用状況を公表、活用重視へ転換

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分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年09月08日

インド政府広報局(PIB)は8月18日、自由貿易協定(FTA)の活用状況に関する報告を公表した。報告では、FTA締結国・地域向けの輸出実績に加え、輸出品目の拡大、手続き簡素化、サービス・人材移動分野での取り組みなどが紹介された。

これによると、2025年度(2025年4月~2026年3月)のASEAN向け輸出額が384億1,633万ドル、南アジア自由貿易地域(SAFTA)向けが257億7,468万ドルを記録した。国別ではアラブ首長国連邦(UAE)が373億5,911万ドルで最大となり、英国が134億4,419万ドルで続いた(PIBプレスリリース)。世界全体向けの物品・サービス輸出額(FTA以外も含む)は、2025年度は前年度比4.2%増(8,600億9,000万ドル)と堅調に推移する中、インドの通商政策は従来の締結数の拡大から、その活用を重視する段階へとかじを切っている状況だ。

こうした背景の下、FTA締結相手国向けの輸出品目数(タリフライン)も着実に増加している。2022年2月に包括的経済連携協定(CEPA)を締結したUAE向けでは、輸出品目が2025年度に8,053品目となり、2021年度比で6.7%増加した。同様に、2022年4月に経済協力・貿易協定(ECTA)に署名したオーストラリア向けでも、輸出品目は5,668品目と2020年度比で5.0%増となった。品目では、繊維製品、農水産物・加工食品、皮革・履物、ジュエリーなど多岐にわたりその恩恵を受けている。

また、近年締結された協定では、手続き面の大幅な簡素化が進む。欧州自由貿易連合(EFTA)との貿易経済連携協定(TEPA)や英国との包括的経済貿易協定(CETA)では、輸出者による原産地証明の自己申告制度が導入され、オーストラリアとのECTA協定では原産地証明で複数品目の単一証明書利用が認められた。これらの施策を背景に、FTAの利用状況を示す原産地証明書(COO)の発給も拡大している。PIBによると、オーストラリアとのECTAではCOOの発給が進み、関税優遇措置が積極的に活用されているという。また、EFTAとのTEPAでは7,885件のCOOが発給された。こうした利便性の向上が、今後は中小企業の新たな輸出挑戦を後押しすると期待される。

さらに、モノの貿易だけでなく、専門人材の往来やサービス分野の連携も存在感を増している。インド国内の雇用に占めるサービス分野のシェアは約30%に達し、2025年度のサービス輸出は4,213億ドル規模に拡大した。例えば、英国とのCETAでは、IT、金融、医療などの専門人材の移動が円滑化されている。英国との間では、二重の社会保険料負担を防ぐ二重拠出防止協定(Double Contributions Convention Agreement:DCC、注)」が導入され、400億ルピー(約680億円、1ルピー=約1.7円)を超えるコスト削減効果が見込まれる。

現在、インド政府は約10件の協定交渉を並行して進めており、韓国やスリランカとの既存協定のアップグレードも予定しているという。

(注)社会保障拠出金の支払いを調整するための社会保障協定(SSA)の一種。

(外山夏帆)

(インド)

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公開日: 2026-09-08

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