ブラジル、電動車向け輸入部品に関税割当を再導入
この発表の要点
- ブラジルは電動車向け輸入部品に関税割当制度を再導入し、2026年7月1日から12月31日まで適用する。
- 総額4億6,300万ドルの割当枠内では輸入関税が免除され、超過分にはSKD35%、CKD14%の関税が課される。
- 全国自動車製造業者協会(Anfavea)は本決定に反対し、CAMEXのガバナンス改善を求め連邦会計検査院付属検察への申し立てを準備している。
企業・自治体への影響
ブラジルで電動車の生産・販売を行う自動車メーカーや部品サプライヤーは、輸入部品の調達コストに直接的な影響を受けます。特に、CKD/SKD方式で現地生産を行う企業は、割当枠の利用状況や関税率の変動を注視し、サプライチェーン戦略や価格設定の見直しが必要となるでしょう。
対応すべきこと
- ブラジルにおける電動車部品の輸入に関わる企業は、自社の輸入計画と関税割当枠を照合し、コストへの影響を評価する。
- 割当枠を超過する輸入が見込まれる場合、SKD35%、CKD14%の関税率を考慮した調達戦略や現地生産化の検討を行う。
- ブラジル貿易審議会(CAMEX)の今後の動向や、全国自動車製造業者協会(Anfavea)によるガバナンス改善の申し立ての進捗を継続的に監視する。
- 関係部門(経理、調達、法務、経営企画など)へ本情報を共有し、対応方針を協議する。
対象部門: 経営者 法務 経理
対応期限:期限あり
基本データ
| 企業・団体 | ブラジル貿易審議会(CAMEX) |
|---|---|
| 業界 | 自動車 |
| 発表日 | 2026-06-30 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
| 地域 | ブラジル |
発表された内容
2026年07月14日
開発商工サービス省(MDIC)傘下のブラジル貿易審議会(CAMEX、注)は6月23日、電動車〔バッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド車(HEV)〕のコンプリートノックダウン(CKD)およびセミノックダウン(SKD)用輸入部品を対象とした関税割当制度の再導入を決定した。これを定めた決議第927号は、6月30日付官報に掲載され、同日付で施行された。
割当枠内の輸入については、輸入関税が免除される。割当上限額は、BEV向けCKD・SKD部品が9,750万ドル、PHEV向けが2億8,100万ドル、HEV向けが8,450万ドルで総額4億6,300万ドル。これは前回の割当(2025年8月1日~2026年1月31日に実施)と同水準だ(2025年8月5日記事参照)。割当枠を超える輸入分については、SKDは35%、CKDは14%の輸入関税が課される。完成車(CBU)は割当の対象外となる。今回の制度の適用期間は2026年7月1日から同年12月31日まで。
全国自動車製造業者協会(Anfavea)は6月23日付プレスリリースで、「近年、ブラジルでは電動化が急速に進展している。自動車メーカーは2033年までに1,400億レアル(約4兆4,240億円、1レアル=約31.6円)の投資を計画しており、その多くは電動化技術の導入に加え、研究開発、エンジニアリング、生産設備の近代化、サプライチェーン強化などに充てられる予定だ」と説明した。その上で、「新技術導入の初期段階では輸入関税上の優遇措置が重要な役割を果たす可能性がある一方、既に投資計画が公表され、現地生産の拡大が進む状況で輸入部品に依存する企業への優遇措置を拡大することは、自動車産業の発展に向けた投資インセンティブを損なう恐れがある」として、今回の決定に反対する姿勢を示した。
Anfaveaのイゴール・カルベ会長は、現地紙「バロール」(6月23日付)のインタビューで、反対意見を表明する機会が政府から十分に与えられなかったとして、司法措置を検討していると述べた。しかしその後、7月7日の記者会見で同会長は、「訴訟となれば解決までに長期間を要し、数年に及ぶ可能性がある。今回の措置は適用期間が6カ月に限られるため、訴訟は有効な手段ではない」と説明し、提訴を見送る考えを示した。カルベ会長は、割当審議の過程で関税変更委員会(CAT)の議題が事前に公表されず、十分な議論の機会が設けられなかったとして、CAMEXのガバナンス改善を求め、連邦会計検査院付属検察(MPTCU)への申し立てを準備していると述べた。
(注)CAMEXは、ブラジルの関税率を決定する権限を有する。
(エルナニ・オダ)
(ブラジル)
ビジネス短信 695b945c2822a170
関連情報
dummy
もっと見る
ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース
ブラジル、電動車向け輸入部品に関税割当を再導入
ジェトロ公式SNSアカウント
出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/695b945c2822a170.html
時系列
- 2026-06-23 開発商工サービス省(MDIC)傘下のブラジル貿易審議会(CAMEX)が、電動車向け輸入部品に関税割当制度の再導入を決定。全国自動車製造業者協会(Anfavea)がプレスリリースで反対姿勢を表明。
- 2026-06-30 関税割当制度を定めた決議第927号が官報に掲載され、同日付で施行。
- 2026-07-01 関税割当制度の適用期間が開始。
- 2026-07-07 全国自動車製造業者協会(Anfavea)のイゴール・カルベ会長が記者会見で、司法措置の提訴を見送る考えを示した。
- 2026-12-31 関税割当制度の適用期間が終了。
主な数値
| BEV向けCKD・SKD部品の割当上限額 | 97500000ドル |
|---|---|
| PHEV向け割当上限額 | 281000000ドル |
| HEV向け割当上限額 | 84500000ドル |
| 総割当上限額 | 463000000ドル |
| 割当枠を超えるSKD輸入関税率 | 35% |
| 割当枠を超えるCKD輸入関税率 | 14% |
| 制度適用期間 | 6カ月 |
| 自動車メーカーの投資計画(2033年まで) | 140000000000レアル |
この事例から確認すべきポイント
ブラジル政府による電動車部品の関税割当再導入は、国内自動車産業の保護と育成を目的とした政策と見られます。割当枠内での免税措置は、短期的には輸入部品に依存する企業に恩恵をもたらす可能性がある一方、割当枠を超えた高関税は、現地生産への移行を促す強いインセンティブとなるでしょう。全国自動車製造業者協会(Anfavea)が反対姿勢を示し、司法措置ではなくガバナンス改善を求める申し立てを準備している点は、政策決定プロセスにおける透明性や議論の機会の不足が問題視されていることを示唆します。企業は、ブラジルの電動車市場におけるサプライチェーン戦略を見直し、現地生産化の動向や関税政策の継続性を注視する必要があります。特に、輸入部品への依存度が高い企業は、コスト構造への影響を詳細に分析し、中長期的な事業計画に反映させることが求められます。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-14
関連事例
- 7月の中国乗用車市場、中国ブランドのシェアが70%を超える
- アルジェリアで中国製自動車の輸入が急増、並行輸入が新車供給を補完
- トランプ米大統領、牛肉に対する関税割当(TRQ)を30万トン拡大、産業界は反発
- イランとインドネシア、環境分野の協力強化で協議
- 金属塑性加工展示会「MF INDIA 2026」がチェンナイで初開催
自社のプレスリリースをPRazeに掲載しませんか?
無料でプレスリリースを掲載する