見本市「COMPUTEX」と「InnoVEX」が開催、台湾当局はスタートアップとハイテク産業の連携強調
この発表の要点
- 台湾はCOMPUTEX/InnoVEXを通じてAI・ハイテク産業の国際的な連携と成長を強調。
- 台湾当局は「産業創新条例」改正や大規模予算投下でAI・ネットゼロ移行への投資、スタートアップ支援を強化。
- 「5大信頼産業」と「非赤色サプライチェーン」構築を推進し、地政学的リスクに対応した産業構造転換を目指す。
企業・自治体への影響
IT・ハイテク産業、特にAI、半導体、グリーンテクノロジー関連企業は、台湾市場での事業機会拡大や投資優遇策の活用を検討すべきです。スタートアップ企業は台湾当局の支援策や国際的な連携プラットフォームに注目が必要です。
対応すべきこと
- 台湾の「産業創新条例」改正内容や税制優遇措置の詳細を公式出典で確認する。
- AI、半導体、ネットゼロ移行関連の投資や事業展開において、台湾当局の支援策が自社に適用可能か調査する。
- 台湾市場への参入や現地企業との連携を検討している場合、COMPUTEXやInnoVEXのような国際見本市の活用を検討する。
- 「非赤色サプライチェーン」構築の動向を注視し、自社のサプライチェーン戦略への影響を評価する。
対応優先度: 中 台湾の経済政策と産業支援策が、特定の産業分野における事業機会や投資環境に中長期的な影響を与えるため。
対象部門: 経営者 法務 経理 広報
対応期限:政策適用期限あり
基本データ
| 企業・団体 | JETRO ビジネス短信 |
|---|---|
| 業界 | IT・ハイテク産業 |
| 発表日 | 2026-06-16 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
| 地域 | 台湾 |
発表された内容
2026年06月16日
台湾の台北市で6月2~5日、世界有数の国際コンピュータ見本市「COMPUTEX」およびスタートアップ企業向け展示会「InnoVEX」が開催された。COMPUTEXには33カ国・地域から約1,500社が参加し、過去最多の6,000ブースを突破したほか、152カ国・地域から11万人以上が来場した。同時開催されたInnoVEXも規模を拡大し、23カ国・地域から約500社のスタートアップが出展。来場者数は前年比で約3割増となる4万4,000人超を記録した。
COMPUTEXの開幕式に出席した頼清徳総統は、2026年第1四半期の台湾の実質GDP成長率が前年同期比14.55%を記録したほか、同年5月には台湾の株式市場の時価総額が4兆9,500億ドルと世界第5位の規模となったと指摘。2027年には世界上位20の経済体入りを見込んでいると強調した。また、台湾が世界に不可欠な人工知能(AI)拠点であるとし、2032年までの安定した電力供給や、水・土地の確保を進めると述べた。さらにAI発展プロジェクト「AI新十大建設」を通じて、2040年までに50万人のAI人材を育成すると説明。こうした成長の果実を社会全体で共有するため、1,000億台湾元(約5,000億円、1台湾元=約5円)規模の予算を投じて中小・零細企業や伝統産業における事業の高度化を支援するほか、子育て世帯への手当支給など、次世代向け支援策に還元する方針を示した。
両開幕式に出席した行政院の卓栄泰院長は、台湾のスタートアップ企業数が2016年時点の2,641社から2024年には9,576社と約3.6倍に拡大したと述べ、台湾当局として資金投入を通じてスタートアップとハイテク産業の連携を強化する方針を示した。具体的な支援策として、「産業創新条例」改正(注1)により、AIやネットゼロ移行への投資支出を、新たに税額控除の対象分野に加えたほか、スタートアップ投資への税制優遇を強化すべく、ベンチャーキャピタル事業の資本金分割払い込み要件の緩和、エンジェル投資家の投資控除の適用条件の緩和を進めているとした。
卓院長はまた、半導体やAIなど「5大信頼産業」(注2)を重点とし、地政学的リスクを背景に中国を中心とする既存の供給網への過度な依存回避を目指す「非赤色サプライチェーン(非紅供應鏈)」の構築を主導していく姿勢を強調した。
InnoVEX開幕式でスピーチする卓行政院長(日本台湾交流協会提供)
NVIDIAのブースの様子(日本台湾交流協会提供)
頼総統による会場視察では、各企業のトップから最新技術が披露された。エイスース(華碩)の施崇棠董事長は、スーパーコンピューティング能力を備えたサーバー「AI POD」を展示したほか、繁体字中国語に対応した「フォルモサ大型言語モデル」への支援を説明。フォックスコン(鴻海)の劉揚偉董事長は、米国エヌビディア(NVIDIA)の次世代チップ核心技術を採用した最新のサーバーアーキテクチャを紹介した。また、ペガトロン(和碩)の童子賢董事長は、AI半導体の膨大な発熱に対応した完全液冷式のサーバープラットフォームおよびロボット犬製品を展示した。なお、InnoVEXに設けられたNVIDIAの特設パビリオンでは、台湾やアジア太平洋地域のスタートアップが生成AIなどの最先端技術を展示し、国際的な商機拡大を図る様子がみられた。
(注1)2025年5月の同法改正により、投資減税の適用対象となる分野について、従来のスマートテクノロジー機械設備、第5世代移動通信システム(5G)、情報通信セキュリティー製品またはサービスに加え、新たにAI製品またはサービス、省エネ・炭素削減に関するハードウエア、ソフトウエア、技術または技術関連サービスも対象に追加された。また、対象となる支出の上限額が10億台湾元から20億台湾元に引き上げられ、適用期限も2029年12月末まで延長された(詳細は台湾「外資に関する奨励」参照)。
(注2)2024年9月に発表された頼総統の新たな経済政策(2024年9月25日記事参照)。半導体、AI、軍事産業、セキュリティー産業、次世代通信の5つを指す。
(藤本海香子)
(台湾)
ビジネス短信 8fd5902c3a639f1a
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ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース
見本市「COMPUTEX」と「InnoVEX」が開催、台湾当局はスタートアップとハイテク産業の連携強調
ジェトロ公式SNSアカウント
出典: JETRO ビジネス短信
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/8fd5902c3a639f1a.html
時系列
- 2016-XX-XX 台湾のスタートアップ企業数が2,641社を記録
- 2024-XX-XX 台湾のスタートアップ企業数が9,576社に拡大
- 2024-09-XX 頼総統による新たな経済政策「5大信頼産業」が発表
- 2025-05-XX 「産業創新条例」が改正され、投資減税の適用対象分野が拡大
- 2026-03-31 2026年第1四半期の台湾の実質GDP成長率が前年同期比14.55%を記録
- 2026-05-XX 台湾の株式市場の時価総額が4兆9,500億ドルと世界第5位の規模に到達
- 2026-06-02 COMPUTEXおよびInnoVEXが開催開始
- 2026-06-05 COMPUTEXおよびInnoVEXが閉幕
- 2027-XX-XX 台湾が世界上位20の経済体入りを見込む
- 2029-12-31 「産業創新条例」改正による投資減税の適用期限
- 2032-XX-XX 安定した電力供給や水・土地の確保を進める目標期限
- 2040-XX-XX AI発展プロジェクト「AI新十大建設」を通じて50万人のAI人材を育成する目標期限
主な数値
| COMPUTEX参加国・地域数 | 33カ国・地域 |
|---|---|
| COMPUTEX参加企業数 | 約1,500社 |
| COMPUTEXブース数 | 6,000ブース |
| COMPUTEX来場国・地域数 | 152カ国・地域 |
| COMPUTEX来場者数 | 110,000人以上 |
| InnoVEX出展国・地域数 | 23カ国・地域 |
| InnoVEX出展スタートアップ数 | 約500社 |
| InnoVEX来場者数 | 44,000人超 |
| InnoVEX来場者数増加率 | 約3割増 |
| 2026年第1四半期台湾実質GDP成長率 | 14.55% |
| 2026年5月台湾株式市場時価総額 | 4兆9,500億ドル |
| 台湾株式市場時価総額世界順位 | 5位 |
| AI新十大建設によるAI人材育成目標 | 500,000人 |
| 中小・零細企業等支援予算 | 1,000億台湾元 |
| 中小・零細企業等支援予算(日本円換算) | 約5,000億円 |
| 1台湾元換算 | 約5円 |
| 台湾スタートアップ企業数(2016年) | 2,641社 |
| 台湾スタートアップ企業数(2024年) | 9,576社 |
| 台湾スタートアップ企業数増加率(2016-2024年) | 約3.6倍 |
| 産業創新条例改正による投資減税上限額(改正前) | 10億台湾元 |
| 産業創新条例改正による投資減税上限額(改正後) | 20億台湾元 |
この事例から確認すべきポイント
台湾で開催されたCOMPUTEXとInnoVEXは、同国のAI・ハイテク産業への強いコミットメントと、国際的な連携強化の姿勢を示す重要なイベントとなりました。頼清徳総統と卓栄泰院長の演説からは、経済成長の維持、AI人材育成、中小企業支援、そして「産業創新条例」改正による税制優遇拡大といった具体的な政策支援が明確に示されています。特に、AIやネットゼロ移行への投資に対する税額控除の対象拡大や、スタートアップ投資への優遇強化は、関連分野の企業にとって大きな事業機会となり得ます。また、「5大信頼産業」の推進や「非赤色サプライチェーン」構築への言及は、地政学的リスクを背景とした産業構造の転換を目指す台湾の戦略を示唆しており、サプライチェーンに関わる企業はこれらの動向を注視する必要があります。本発表は、台湾市場への参入や現地企業との連携を検討する企業にとって、政策動向を理解し、戦略を策定する上で不可欠な情報を提供しています。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-06-16
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