経済・産業トレンド

シンガポールのスタートアップのVC調達額、2025年は前年比34%減

シンガポールのスタートアップVC調達額は、2025年に46億米ドルと前年比34%減少し、投資件数も35%減となりました。金利高など資金調達コスト上昇による投資家の慎重姿勢が背景にあります。しかし、シンガポールは東南アジア主要6カ国の投資額の72.5%を占め、域内最大の資金調達拠点としての地位を維持。分野別ではフィンテックが最大で、AIへの投資は分野横断的に拡大し、VC調達額の30.8%を占めました。一方で、生成AIの普及に伴い、法人向けソフトウエア・データインフラ分野への投資は大幅に減少しています。

この発表の要点

企業・自治体への影響

スタートアップ企業やVC投資家は、シンガポールを含む東南アジア地域の資金調達環境が厳しさを増していることを認識し、事業戦略や投資判断に反映させる必要があります。特に、AI関連技術を持つ企業やフィンテック企業は成長機会がある一方で、従来のSaaSモデルを提供するIT・ソフトウェア企業は事業モデルの見直しが求められる可能性があります。

対応すべきこと

対応優先度:  経済・産業トレンドに関する情報であり、特定の企業への直接的な法的義務や緊急対応は発生しないが、事業戦略や投資判断に影響を与える可能性があるため。

対象部門: 経営者 経理

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 シンガポール企業庁(エンタープライズ・シンガポール)
業界 金融・投資 / IT・ソフトウェア
発表日 2026-06-15
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年06月15日

添付資料(211 KB)

シンガポール企業庁(エンタープライズ・シンガポール)が5月28日発表した「2025年シンガポールのベンチャー資金調達概況」(注)によると、同国のスタートアップのベンチャーキャピタル(VC)調達額は、2025年は46億米ドルと前年比34%減少した。投資件数も472件と前年比35%減だった。ただ、シンガポールは東南アジア主要6カ国のスタートアップへの投資額の72.5%を占め、域内最大の資金調達拠点としての地位を維持した。

東南アジア主要6カ国のスタートアップのVC調達額は、2022年の165億米ドルから、2025年に63億米ドルへと下降トレンドにある。シンガポールのスタートアップのVC調達額も2022年の106億米ドルから2025年に46億米ドルへと縮小した(添付資料図1参照)。レポートによると、金利高など資金調達コスト上昇から、投資家の慎重な姿勢が広がり、投機的な投資が抑制されている。シンガポールのVC調達額に占めるレイターステージ(後期)のスタートアップの資金調達の割合は2024年の51.4%から2025年に57.8%へと拡大している。

シンガポールのスタートアップのVC調達額の分野別では、フィンテックが前年比34%増の16億7,600万米ドルと、最大だった(添付資料図2参照)。国際決済サービスを提供するエアウォレックス(AirWallex)と保険テックのボルテック(Bolttech)による調達額が、フィンテック分野の資金調達額の約45%を占めた。

AIへの投資が分野横断的に拡大
2025年は分野を横断してシンガポールの人工知能(AI)への投資が活発だった。AIのVC調達額は2024年の11億米ドルから、2025年に14億米ドルへと拡大した。AI関連の投資は、シンガポールのVC調達額の30.8%を占めた。

生成AIの普及に伴い、法人向けソフトウエア・データインフラ分野の投資は2024年の22億米ドルから、2025年に10億米ドルへと大幅に減少した。生成AIによる業務自動化で、必要な人員が減り、ユーザー数課金型の従来のサース(SaaS)モデルの需要が縮小している。

(注)「2025年シンガポールベンチャー調達概況」は、会計大手アーンスト・アンド・ヤング(EY)傘下のコンサルタント部門であるEYパルテノンが、シンガポール企業庁と協力して作成したレポート。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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シンガポールのスタートアップのVC調達額、2025年は前年比34%減

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出典: JETRO ビジネス短信
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/0750a74c17e162f7.html

時系列

主な数値

2025年シンガポールのVC調達額 46億米ドル
2025年シンガポールのVC調達額の前年比減少率 34%
2025年シンガポールの投資件数 472件
2025年シンガポールの投資件数の前年比減少率 35%
シンガポールが東南アジア主要6カ国に占める投資額割合 72.5%
2022年東南アジア主要6カ国のVC調達額 165億米ドル
2025年東南アジア主要6カ国のVC調達額 63億米ドル
2022年シンガポールのVC調達額 106億米ドル
2024年シンガポールのVC調達額に占めるレイターステージの割合 51.4%
2025年シンガポールのVC調達額に占めるレイターステージの割合 57.8%
2025年シンガポールのフィンテック分野VC調達額 16.76億米ドル
2025年シンガポールのフィンテック分野VC調達額の前年比増加率 34%
エアウォレックスとボルテックによる調達額がフィンテック分野に占める割合 45%
2024年シンガポールのAI分野VC調達額 11億米ドル
2025年シンガポールのAI分野VC調達額 14億米ドル
2025年シンガポールのVC調達額に占めるAI関連投資の割合 30.8%
2024年シンガポールの法人向けソフトウエア・データインフラ分野投資額 22億米ドル
2025年シンガポールの法人向けソフトウエア・データインフラ分野投資額 10億米ドル

この事例から確認すべきポイント

本発表は、シンガポールのスタートアップエコシステムにおけるVC調達動向の現状と変化を示しています。全体的なVC調達額と投資件数は減少傾向にあるものの、シンガポールが東南アジア地域で依然として主要な資金調達拠点である点は注目されます。特に、金利高騰による投資家の慎重姿勢が、投機的投資の抑制とレイターステージへの資金集中を促していることが示唆されます。また、フィンテック分野が引き続き堅調であり、AI分野への投資が分野横断的に拡大している点は、技術革新と市場ニーズの変化を反映しています。一方で、生成AIの普及がSaaSモデルの需要を縮小させ、法人向けソフトウエア・データインフラ分野への投資減少につながっていることは、既存ビジネスモデルへの影響と新たな市場構造への移行を示唆しており、関連企業はこれらのトレンドを注視する必要があるでしょう。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-06-14

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