米GM、電力網向け次世代ナトリウムイオン電池セル開発でピーク・エナジーと提携を発表
この発表の要点
- GMがピーク・エナジーと提携し、電力網規模のエネルギー貯蔵システム(ESS)向け次世代ナトリウムイオン電池セルの開発に着手。
- 既存の電気自動車(EV)用電池生産工場ではなく、電力網規模の蓄電に特化した次世代電池の大規模提供を目指す。
- 2026年中にミシガン州ウォーレンのウォレス・バッテリー・セル・イノベーション・センターにおいて、定置型蓄電専用のナトリウムイオン電池セルの試作を行う計画。
企業・自治体への影響
データセンター事業者や電力供給事業者、再生可能エネルギー関連企業は、電力網規模の蓄電システム市場の動向とナトリウムイオン電池技術の進化に注目する必要があります。自動車メーカーのESS分野への本格参入は、新たなサプライチェーンや技術提携の機会を生み出し、エネルギー産業全体の競争環境に影響を与える可能性があります。
対応すべきこと
- 電力網向け蓄電システムや次世代電池技術に関する最新情報を継続的に収集する。
- 自社の事業における電力需要予測を見直し、新たな蓄電ソリューション導入の可能性を検討する。
- 関連する技術開発企業や自動車メーカーとの連携機会を模索する。
- ナトリウムイオン電池の性能・コスト・供給体制に関する情報を注視し、将来的な導入計画に反映させる。
対応優先度: 中 新技術の開発と市場参入に関する発表であり、直接的な法令期限や緊急対応は不要だが、中長期的な事業戦略や市場動向に影響を与えるため。
対象部門: 経営者 情シス 経理 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | ゼネラルモーターズ(GM) |
|---|---|
| 業界 | 自動車・エネルギー貯蔵 |
| 発表日 | 2026-06-09 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年06月15日
米国自動車大手のゼネラルモーターズ(GM)は6月9日、低コスト蓄電システムのスタートアップであるピーク・エナジー(本社:カリフォルニア州)と、電力網規模のエネルギー貯蔵システム(ESS)向け次世代ナトリウムイオン電池セル(注)の開発で提携したと発表した。
GMの今回の動きは、全米各地でのデータセンターの建設ラッシュなどによって電力供給需要が急増する中で、自動車メーカーがESS分野での投資を押し進める新たな事例となった。今回の戦略的提携は、稼働率が低い既存の電気自動車(EV)用電池生産工場の余剰生産能力を利用するのではなく、電力網規模の蓄電に特化した次世代電池を大規模に提供することを目標とするのが特徴だ。
同社は、次世代ナトリウムイオン電池技術が、実環境下において長期間にわたり、信頼性が高く手頃な価格の電力を供給することに適しており、今後数年間でナトリウムイオン電池が電力網規模のESSにおける決定的な化学組成になるとしている。同社は、ミシガン州ウォーレンのウォレス・バッテリー・セル・イノベーション・センターにおいて、2026年中に定置型蓄電専用に設計されたナトリウムイオン電池セルの試作を行う計画だ。
米国では、電力網規模でのエネルギー貯蔵の需要が急速に高まっており、2026年3月には、GMとLGエナジーソリューションとの合弁会社であるアルティウムセルズが、テネシーのEV電池工場で生産設備を再整備し、ESSリン酸鉄リチウム(LFP)電池セルの生産を2026年第2四半期に開始すると発表している。また、2026年5月には、米国自動車メーカー大手のフォードも完全子会社フォード・エナジーを設立し、ケンタッキー州グレンデールのEV電池工場で製造した蓄電システムをデータセンターのような大規模な産業・商業分野の顧客向けに提供すると発表している(2026年5月14日記事参照)。
さらに、2026年6月には、パナソニックエナジーがカンザス州のEV用リチウムイオン電池工場の生産ラインを一部活用し、2028年度にデータセンター向け電池セルの量産を開始する計画だと発表している(ロイター6月8日)。
(注)ナトリウムイオン電池は、希少なリチウムの代わりに地球上に豊富に存在するナトリウムを使用する。安全性が高く耐久性に優れ、寒冷地での動作の低下が少ないが、リチウムイオン電池と比較するとエネルギー密度が低い。
(星野香織)
(米国)
ビジネス短信 ab21c417ede93250
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ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース
米GM、電力網向け次世代ナトリウムイオン電池セル開発でピーク・エナジーと提携を発表
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出典: JETRO ビジネス短信
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/ab21c417ede93250.html
時系列
- 2026-03 GMとLGエナジーソリューションとの合弁会社であるアルティウムセルズが、テネシーのEV電池工場でESSリン酸鉄リチウム(LFP)電池セルの生産を2026年第2四半期に開始すると発表。
- 2026-05 米国自動車メーカー大手のフォードが完全子会社フォード・エナジーを設立し、ケンタッキー州グレンデールのEV電池工場で製造した蓄電システムをデータセンターのような大規模な産業・商業分野の顧客向けに提供すると発表。
- 2026-06-08 パナソニックエナジーがカンザス州のEV用リチウムイオン電池工場の生産ラインを一部活用し、2028年度にデータセンター向け電池セルの量産を開始する計画だと発表。
- 2026-06-09 GMがピーク・エナジーと、電力網規模のエネルギー貯蔵システム(ESS)向け次世代ナトリウムイオン電池セル開発で提携したと発表。
- 2026年中に GMがミシガン州ウォーレンのウォレス・バッテリー・セル・イノベーション・センターにおいて、定置型蓄電専用に設計されたナトリウムイオン電池セルの試作を行う計画。
- 2028年度に パナソニックエナジーがデータセンター向け電池セルの量産を開始する計画。
この事例から確認すべきポイント
本発表は、データセンター建設ラッシュに伴う電力需要の急増に対し、自動車メーカーがエネルギー貯蔵システム(ESS)分野への参入を加速している現状を示すものです。GMは既存の電気自動車(EV)用電池生産工場の余剰生産能力を利用するのではなく、電力網規模の蓄電に特化した次世代ナトリウムイオン電池の開発に注力することで、低コストかつ信頼性の高い電力供給を目指す戦略を明確にしています。これは、希少なリチウムに代わるナトリウムイオン電池の可能性を追求し、エネルギー貯蔵市場における競争優位性を確立しようとする動きと解釈できます。他社もESS分野への投資を強化しており、自動車産業の枠を超えたエネルギー産業への影響が注目されます。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-06-15
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