経済・産業トレンド

カナダ、国家安全保障戦略を20年以上ぶりに策定、経済安保など一体的に強化

最終確認日: 2026-11-04

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分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年11月04日

カナダ政府は10月29日、国家安全保障戦略「より強いカナダのための計画」を発表した(首相府発表)。カナダが国家安全保障に関する包括的な戦略を策定するのは20年以上ぶり。経済安全保障、外交、防衛、公共安全、インテリジェンスの5分野を基盤に、戦略的自立性と国家の強靭(きょうじん)性を高める一体的強化の方針を示した。

同戦略では、新興技術、重要鉱物、防衛、エネルギー、運輸、医薬品・バイオテクノロジー、食料安全保障、決済・清算・投資の8分野を、戦略的能力の構築が必要な重要分野に位置付けた。新興技術には、人工知能(AI)向けのクラウド・コンピューティング基盤、量子コンピューティング、宇宙通信・測位、半導体、通信が含まれる。これらの能力を可能な限り国内で構築し、信頼できる同志国との連携を通じて強化する。

カナダ政府は、同戦略の開始後1年以内に国家安全保障対策法制の現代化案を提示し、戦略を少なくとも4年ごとに更新する。連邦首相と各州・準州首相による国家安全保障会合も開催する方針だ。同戦略の主な概要は次のとおり。

経済安全保障:経済安全保障を、産業支援、イノベーション、外国投資に関する政策判断の主要な要素に位置付けた。戦略的対応基金(SRF)とカナダ・ストロング多角化基金を活用し、戦略産業の生産能力強化や企業の事業転換・成長を支援する。「バイ・カナディアン政策」も推進し、政府調達などを通じてカナダ企業への資金投入を拡大する。食料、医薬品・生物製剤の国内生産能力とサプライチェーンを強化し、AI、量子、宇宙、エネルギー関連技術の開発・商業化を後押しする。民間企業や研究機関との安全保障情報の共有を促進し、敵対的な外国の経済活動に対する執行手段も強化する。

外交:貿易・投資相手国・地域を多角化し、企業の海外展開・輸出拡大、サプライチェーンの確保を支援する。米国とは「相互尊重、国家主権、北米の安全保障に対する責任の共有」に基づく新たな関係を構築する。インド太平洋戦略、アフリカ戦略、北極外交政策などを、国益に基づく単一の外交戦略の下に位置付け、経済・安全保障上のパートナーを中東・アフリカにも広げる。重要鉱物などで集団的な経済安全保障協力を進め、制裁や輸出入管理にもインテリジェンスを一層活用する。

防衛:カナダ軍の中心的任務を「カナダとカナダの利益の防衛」とし、北極圏を含む国土防衛を重視する。2025~2026年度にGDP比2%となった防衛支出を拡大し、2035年までにNATOの防衛投資目標であるGDP比5%の達成を目指す。ハイブリッド戦や宇宙・サイバー領域への対応能力を整備し、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD、注1)やNATOへの関与、北極圏やインド太平洋の同志国との協力を強化する。防衛産業戦略に基づき、国内の防衛産業基盤を強化する。

公共安全:外国干渉、スパイ活動、暴力的過激主義、国際組織犯罪への対策を強化する。外国影響透明性・説明責任法を施行し、外国干渉事案の一元的な報告制度を整備する。国境サービス庁の人員や監視技術を拡充するとともに、法執行機関などのデジタル能力を高め、サイバー犯罪、金融犯罪、マネーロンダリング、重要インフラへの脅威に対応する。

インテリジェンス:独自の情報収集・分析能力を拡充し、ファイブ・アイズへの貢献や他国との情報協力を強化する。外国による情報操作の検知能力を高め、セキュリティー・クリアランス制度(注2)も改善する。

(注1)米国とカナダによる2国間の統合防衛組織。北米の航空宇宙警戒・管制、海洋警戒を担う。
(注2)政府が保有する安全保障上重要な情報について、アクセスする必要があり、情報を漏らす恐れがないと確認された者に限って取り扱いを認める制度。

(木村勇翔)

(カナダ)

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公開日: 2026-11-04 / 最終確認: 2026-11-04

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編集・公開: PRaze編集部(株式会社スキルマーク) / 出典確認日: 2026-11-04

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