経済・産業トレンド

メキシコ、完成車メーカーの自動車部品輸入に係る関税率を5年間0%に引き下げ

最終確認日: 2026-10-27

基本データ

分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年10月27日

メキシコ政府は10月13日、輸出入関税率表(TIGIE)を改正する政令を発出し、HSコード9803.00.01に適用される関税率を5年間、従来の10%から0%に引き下げた。同HSコードは、一定の要件を満たす完成車メーカーが、自動車の組み立てに使用する部品などを輸入する際に使用できる。完成車メーカーが同HSコードを利用するための条件は、経済省が定める「軽量自動車新車製造企業」としての登録を有し、税関法上の保税倉庫の利用許可を有していることと定められている(注1)。

経済省は10月16日にプレスリリースを出し、今回の関税率削減の目的として、(1)自動車産業における雇用保護、(2)投資先としてのメキシコの競争力維持、(3)既にメキシコで自動車を生産している企業の生産拡大(他の生産拠点からのライン移管など)を挙げた。また、現在、同HSコードにより自動車部品を輸入できるのは11社(注2)のみで、メキシコ国内に生産設備を持ち、付加価値を創出しない限りは恩恵を受けることはできないことを強調した。メキシコ経済省がこのようなプレスリリースを出した背景には、同政令の発表後に複数メディアで、今回の関税率引き下げがノックダウン生産(注3)を後押し、メキシコでの自動車サプライチェーンの形成を阻害するという論調の報道があったとみられる。経済省としては、利用には一定のハードルがあり、国内産業の発展に寄与することを強調したかたちだ。

従来の関税減免措置の代替となるか
メキシコ経済省のプレスリリースによると、2025年に同制度の利用率は0.01%にとどまっていたという。メキシコは多くの国と自由貿易協定(FTA)を締結しているほか、産業分野別生産促進プログラム(PROSEC、注4)や同プログラムの登録企業が利用できるレグラオクターバ(注5)など、10%よりも低い関税率で自動車部品の輸入が可能な制度が存在する。ただ、これらの制度が適用できず一般関税が課される場合などでは、完成車メーカーはHSコード9803.00.01を利用することで、5年間は無税での輸入が可能となることが期待される。

メキシコ経済省は5年間という期間を設定した理由について、「本政令は新たな生産ラインの誘致や、より複雑な生産工程への発展により、国内付加価値を高めることが目的だ。上記のような移行に必要な期間として、5年間の有効期間を設定した」と説明している。メキシコ政府としては本政令を契機に、メキシコでの完成車製造の高度化を後押ししたい考えだ。

(注1)2004年1月1日に施行された「自動車完成車産業の競争力ならびに自動車国内市場の成長促進のための政令」に基づき、前年の自動車生産台数が5万台以上、かつ当該車両製造のために1億ドル以上の固定資産投資を行っているなどの要件を満たす完成車メーカーは、「軽量自動車新車製造企業」としての登録が可能で、さまざまな恩典が与えられる。同政令では、登録企業が事前輸入許可を取得することで、HSコード9803.00.01を利用して輸入が可能としている。詳しくは「メキシコ:外資に関する奨励」を参照。
(注2)11社の具体的な社名は発表されていないものの、メキシコで5万台以上を生産している企業は限られている。詳細は2026年6月26日付地域・分析レポートを参照。
(注3)ノックダウン生産とは、部品を半完成品の状態で輸送し、現地で組み立て工程を行う製造形態のこと。部品を現地で製造しないため、一般的に組み立て地での付加価値が低いとされる。
(注4)メキシコが国内生産を促進する24業種(自動車産業は第XIX業種)において、生産に用いる部品・原材料や機械設備をMFN関税率よりも低い優遇税率で輸入することを可能にするプログラム。詳しくは「メキシコ:外資に関する奨励」を参照。
(注5)PROSECに登録している生産者は、PROSEC対象となっていない部品・原材料が国内で調達できない、または国内供給能力が不足しているなどを理由に、経済省に対して特別無関税輸入許可を申請することができる。この制度のことを「レグラオクターバ」と呼ぶ。特別輸入許可の有効期限は1年で、申請した数量枠内での無関税輸入が可能になる。

(加藤遥平)

(メキシコ)

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出典: www.jetro.go.jp
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公開日: 2026-10-27 / 最終確認: 2026-10-27

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編集・公開: PRaze編集部(株式会社スキルマーク) / 出典確認日: 2026-10-27

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