経済・産業トレンド 合意・交渉中

トランプ米政権、製薬企業9社と薬価引き下げで合意

米国のトランプ政権は2026年8月31日、製薬企業9社と薬価引き下げに関する合意に達したと発表した。最恵国待遇(MFN)価格に沿ったもので、合意件数は累計26件となりブランド医薬品市場の89%をカバーする。各社は米国内の製造拠点に総額196億ドルを投資するほか、戦略的医薬品有効成分備蓄(SAPIR)向け原薬提供や通商拡大法232条に基づく医薬品関税の適用除外を受けるとみられる。

この発表の要点

企業・自治体への影響

製薬企業や関連サプライチェーンにおいて、米国市場での薬価政策や現地製造投資、原薬備蓄(SAPIR)対応への圧力が高まる。経営企画、法務、海外事業部門において米国の規制動向の把握と戦略的対応が求められる。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 総務 法務 広報

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 トランプ米政権(ジェトロビジネス短信)
業界 医薬品・ヘルスケア
発表日 2026-09-04
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年09月04日

米国のトランプ政権は8月31日、製薬企業9社と薬価引き下げに関する合意に達したと発表した。本合意は、米国の医薬品価格を他国における薬価に連動させる「最恵国待遇(MFN)価格」(注1、2025年8月6日記事参照)に沿ったものだ。

今回の9社との合意により、トランプ政権が合意したMFN協定は累計26件となり、ブランド医薬品市場の89%をカバーする(2026年4月28日記事参照)。今回合意した企業は、アルコン、アステラス製薬、ビーワン・メディシンズ、ブリッジバイオ、CSL、協和キリン、サン・ファーマ、テバ・ファーマシューティカルズ、UCBで、中堅規模の企業が中心となっている。

各社は米国内の製造拠点に総額196億ドルを投資するほか、複数社は戦略的医薬品有効成分備蓄(SAPIR、注2)向けに原薬を提供することにも合意した。

合意の一環として、各社は1962年通商拡大法232条に基づく医薬品関税の適用除外を受けるとみられる(2026年8月3日記事参照)。なお、合意の詳細は公表されていない。

ビーワン・メディシンズは、2029年までに米国での研究開発および製造に110億ドルを投資すると発表した。このうち3億ドルは、ニュージャージー州の施設拡張に充てられる予定だ。また協和キリンは、米国内で製造する医薬品の米国患者向けの割合を現在の5%から今後2年で95%まで引き上げる方針を示した(「ファーストワールド・ファーマ」8月31日)。アステラス製薬は、臓器移植に使用される医薬品有効成分(API)であるタクロリムス25キログラムをSAPIRに供与すると発表した。

これら企業の医薬品は、各州のメディケイド・プログラムを通じてMFN価格で提供される。これら企業の多くは、メディケア・メディケイドサービスセンター(CMS)が製薬企業とMFN価格に基づく薬価引き下げ交渉を行う「GENEROUSプログラム」を通じて協定に参加した。また、一部の医薬品については、TrumpRx.gov(注3)を通じても入手可能となる。

(注1)MFN価格は、1人当たりGDPが米国の60%以上であるOECD加盟国の中で、最も低い価格に基づいて算出される。
(注2)APIの外国からの供給依存度を低減し、国内での安定供給を確保するための米国政府の備蓄制度(2025年8月15日記事参照)。
(注3)トランプ政権が2026年2月に開始したオンラインプラットフォームで、消費者が保険を使用せずに支払う場合、特許医薬品をMFN価格で購入できる。

(大垣ジャスミン)

(米国)

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トランプ米政権、製薬企業9社と薬価引き下げで合意

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/09/80de2587e5e831ae.html

時系列

主な数値

合意した製薬企業の社数 9社
MFN協定の累計件数 26件
ブランド医薬品市場のカバー率 89%
米国内製造拠点への総投資額 196億ドル
ビーワン・メディシンズの米国投資額(2029年まで) 110億ドル
ビーワン・メディシンズのニュージャージー州施設拡張投資額 3億ドル
協和キリンの米国患者向け製造割合(現在) 5%
協和キリンの米国患者向け製造割合(今後2年) 95%
アステラス製薬のタクロリムス供与量 25キログラム

この事例から確認すべきポイント

米トランプ政権による「最恵国待遇(MFN)価格」を軸とした薬価引き下げ圧力は、中堅規模の製薬企業を含むグローバル展開企業へも急速に波及している。今回の合意によりブランド医薬品市場の89%がカバーされる状況となり、対象企業には米国市場での製造投資や原薬備蓄(SAPIR)への協力が強く求められている。製薬業界や関連サプライチェーンに関わる企業は、米国の政策動向や関税適用除外の条件、メディケア・メディケイドサービスセンター(CMS)等の交渉プロセスを注視し、米国事業の戦略見直しやリスク管理を徹底する必要がある。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-09-04

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