経済・産業トレンド

日米イノベーション・アワード2026、米アンソロピックと日本のサカナAIを新興リーダー賞に選出

2026年日米イノベーション・アワード・シンポジウムが米国カリフォルニア州スタンフォード大学で開催され、新興リーダー賞に日本のサカナAIと米国のアンソロピックが選出されました。両社の人工知能(AI)開発や日本での取り組みが議論され、サカナAIは「モデル・オーケストレーション」を、アンソロピックは日本企業との提携や東京事務所開設に触れました。また、日本のスタートアップ5社がイノベーション・ショーケースに選ばれ、技術や事業を紹介しました。

この発表の要点

企業・自治体への影響

AI技術の導入や開発を検討しているIT・ソフトウェア企業、製造業、金融業、小売業などの企業は、日米間のAI技術連携の動向や、AIの安全性・ガバナンスに関する国際的な取り組みに注目する必要があります。特に、AI主権やモデル・オーケストレーションといった概念は、今後のAI戦略策定に影響を与える可能性があります。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 情シス 広報 法務

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 日本貿易振興機構(ジェトロ)
業界 IT・ソフトウェア
発表日 2026-07-30
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年07月30日

日米の革新的な企業を表彰する「2026年日米イノベーション・アワード・シンポジウム」が7月16日、米国カリフォルニア州のスタンフォード大学で開かれた。北カリフォルニア・ジャパン・ソサエティー(JSNC)と同大学米国アジア技術経営センター(US-ATMC)が共催し、新興リーダー賞(注1)に日本側からサカナAI(Sakana AI)、米国側からアンソロピック(Anthropic、本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)を選出した。

受賞スピーチとパネルディスカッションでは、両社の人工知能(AI)開発や日本での取り組みなどが議論された。

パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

サカナAI代表取締役社長の伊藤錬氏は、同社が2023年の創業時から、世界で通用する日本拠点の企業を目指してきたと説明した。また、必要なモデルに安定してアクセスし、それぞれの国のニーズに沿って利用できる環境が、AI主権(注2)の観点から重要だと述べた。その手段の1つとして、オープンソースや外部企業のモデルを含む複数のAIモデルを用途に応じて使い分ける「モデル・オーケストレーション(注3)」を紹介した。同社はこの仕組みを商用AI製品「サカナ・フグ(Sakana Fugu)」に採用している。

生成AI「クロード(Claude)」を開発するアンソロピックのジェネラル・カウンセルであるジェフ・ブライヒ氏は、受賞スピーチでAI技術の急速な進展を踏まえ、「導入、ガバナンス、信頼の構築も同様に加速させる必要がある」と述べた。また、日本企業におけるクロードの本格導入や製品開発の事例にも触れ、日立製作所、富士通との提携や、楽天グループによる「クロード・コード(Claude Code、注4)」のソフトウエア開発への活用について紹介した。同社は、2025年10月、アジア太平洋地域初の事務所を東京に開設し、AIセーフティー・インスティテュート(AISI、注5)とAIモデル評価手法に関する協力覚書を締結している。

展示ブースの様子(ジェトロ撮影)

このほか、イノベーションの潜在的なインパクトや成功可能性、日米間の事業展開につながる関連性などを評価するイノベーション・ショーケースには、日本のスタートアップ5社(注6)が選ばれた。各社はプレゼンテーションや会場内の展示ブースにて自社の技術や事業を紹介した。

(注1)正式名称は「サンブリッジ・ジョン・トーマス・エマージング・リーダー・アワード(SunBridge–John Thomas Emerging Leader Award)」。日米と関係を持ち、成長性と起業家精神を備え、イノベーションが大きな影響を示し始めている企業を日米から各1社選ぶ。2011年の創設以降、米国側ではテスラ・モーターズ(Tesla Motors)やズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(Zoom Video Communications)などが受賞。
(注2)特定の国や企業への過度な依存を避け、必要なAIを主体的に選択・運用できる能力を確保する考え方。日本政府は、同志国などとの連携や相互運用性を保ちながら実現する「開かれたAI主権」を掲げている。
(注3)サカナAIの商用AI製品「サカナ・フグ(Sakana Fugu)」が採用する仕組み。複数のAIモデルを組み合わせ、入力内容や用途に応じて使用するモデルを選択する。
(注4)アンソロピックが提供するエージェント型コーディングツール。
(注5)AIの安全性に関する評価手法や基準を検討・推進する日本の機関。2024年2月に発足し、情報処理推進機構(IPA)に事務局を置く。
(注6)ハカルス(HACARUS)、アイ・ピース(I Peace)、コルタック(KORTUC)、大熊ダイヤモンドデバイス(OOKUMA DIAMOND DEVICE)、ペールブルー(Pale Blue)

(武田史織)

(米国、日本)

ビジネス短信 96255ee6810839a0

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日米イノベーション・アワード2026、米アンソロピックと日本のサカナAIを新興リーダー賞に選出

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/96255ee6810839a0.html

時系列

主な数値

新興リーダー賞受賞企業数 2社
イノベーション・ショーケース選出企業数 5社
サカナAI創業年 2023年

この事例から確認すべきポイント

本発表は、日米間のイノベーション促進とAI分野における協力関係の進展を示すものです。特に、AI主権の重要性やモデル・オーケストレーションといった技術的アプローチ、そしてAIの導入・ガバナンス・信頼構築の加速の必要性が強調されている点は、AI関連企業にとって重要な示唆となります。日本企業が海外の先進AI企業と提携し、その技術を国内で活用する事例が紹介されており、国際的な技術連携の重要性が浮き彫りになっています。また、AIの安全性に関する日本の機関(AISI)との協力覚書締結は、技術開発と並行して倫理的・安全性の側面を重視する姿勢を示しています。企業は、自社のAI戦略において、国際的な動向、技術連携、そして安全性・ガバナンスの確保を複合的に検討する必要があるでしょう。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-30

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