インド、業務用LPG不足でゾマトの加盟飲食店数が初の減少
この発表の要点
- インドのフードデリバリー大手ゾマトの加盟飲食店数が、業務用LPG不足により開示開始以来初めて減少した。
- 中東情勢の緊迫化によるLPG輸入停滞と政府の家庭用優先措置が原因で、特に中小規模の飲食店が大きな影響を受けた。
- 飲食店数の減少にもかかわらず、ゾマトのフードデリバリー事業の注文額は堅調に拡大した。
企業・自治体への影響
インドの外食産業、特に中小規模の飲食店は、エネルギー供給の不安定性や政府の政策変更による影響を直接的に受けます。フードデリバリープラットフォーム企業は、加盟店の供給能力低下が事業成長に影響を及ぼすリスクを抱えます。国際的なサプライチェーンに依存する企業は、地政学的リスクが事業継続に与える影響を再評価する必要があるでしょう。
対応すべきこと
- 自社のサプライチェーンにおけるエネルギーや原材料の調達リスクを再評価し、代替供給源や備蓄計画を検討する。
- 政府の政策変更や規制強化が事業に与える影響について、関連部門と連携して情報収集と分析を行う。
- 中小規模の取引先やパートナー企業が、サプライチェーンの混乱によって受ける影響を把握し、支援策や連携強化の可能性を検討する。
対象部門: 経営者 総務 広報 経理
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | ゾマト |
|---|---|
| 業界 | フードデリバリー |
| 発表日 | 2026-07-29 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月29日
インドのフードデリバリー大手ゾマトは、2026年度第1四半期(2026年4~6月)の月間平均アクティブ飲食店数(注)が32万8,000店となり、前四半期(2026年1~3月)の34万4,000店から減少したと現地紙が報じた(「フィナンシャル・エクスプレス」紙7月27日)。ゾマトの運営会社であるエターナルによれば、アクティブ飲食店数が前四半期比で減少するのは開示開始以来初めてとなる。同社のアルビンダー・シン・ディンドサ最高経営責任者(CEO)は、「この減少は業務用液化石油ガス(LPG)の供給不足に伴い、多数の飲食店が営業停止または稼働縮小を余儀なくされたことによるものだ」と述べている。
LPGの供給不足は、3月に中東情勢の緊迫化に伴うホルムズ海峡の閉鎖により、インド向けLPG輸入が停滞したことが背景にある(2026年3月13日記事参照)。インド政府は家庭用需要を優先するよう石油販売会社に指示し、業務用LPGの供給を制限した。その後、供給は段階的に回復したものの、規制が全面解除されたのは6月下旬で、多くの飲食店は第1四半期を通じて燃料不足と価格高騰に直面した。特に影響を受けたのは中小規模の飲食店で、関係者によれば、供給制約のピーク時には、約2割の店舗が営業時間短縮やメニュー削減などの対応を迫られた。燃料備蓄が少なく価格転嫁も難しい事業者では、一時休業が恒久的な閉店に至るケースもあった。一方、大手チェーン店はガス在庫の確保や電力利用への切り替えにより、影響は軽微であったという。
他方で、こうした供給面の混乱が続く中、ゾマトのフードデリバリー事業は堅調だった。同四半期の注文額は前年同期比20.1%増の1,076億9,000万ルピー(約1,830億7,300万円、1ルピー=約1.7円)と拡大した。需要が伸びる一方で加盟飲食店数が減少したことは、インドの外食産業が直面する供給制約の深刻さを物語っている。
(注)ここでは、ゾマトのプラットフォーム上で実際に営業し、一定期間内に注文を受け付けている飲食店の数を指す。
(野本直希)
(インド)
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インド、業務用LPG不足でゾマトの加盟飲食店数が初の減少
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/6ea70ece51ef50f3.html
時系列
- 2026-03-13 中東情勢の緊迫化に伴うホルムズ海峡の閉鎖により、インド向けLPG輸入が停滞
- 2026-04-01 2026年度第1四半期(4~6月)開始。業務用LPGの供給制限が続く
- 2026-06-30 業務用LPGの規制が全面解除
- 2026-07-27 「フィナンシャル・エクスプレス」紙がゾマトの飲食店数減少を報道
- 2026-07-29 ジェトロが本記事を公開
主な数値
| 月間平均アクティブ飲食店数(2026年4~6月) | 328000店 |
|---|---|
| 月間平均アクティブ飲食店数(2026年1~3月) | 344000店 |
| フードデリバリー事業の注文額(前年同期比) | 20.1%増 |
| フードデリバリー事業の注文額 | 1076億9000万ルピー |
| 供給制約ピーク時の影響店舗割合 | 約2割店舗 |
この事例から確認すべきポイント
本事例は、地政学的リスクが特定の産業のサプライチェーンに与える深刻な影響を示しています。中東情勢の緊迫化によるLPG供給の停滞と、政府による家庭用優先措置が、インドの外食産業、特に中小規模の飲食店に直接的な打撃を与えました。燃料備蓄や価格転嫁が難しい中小事業者は、一時休業から恒久的な閉店に至るケースもあり、サプライチェーンの脆弱性が浮き彫りになっています。一方で、大手チェーン店は代替手段の確保で影響を軽減しており、企業規模によるリスク対応能力の差が明確です。フードデリバリープラットフォームは、加盟店の供給能力低下という課題を抱えつつも、需要の堅調な伸びを見せており、市場の構造的な変化と供給制約の深刻さを物語っています。企業は、エネルギー供給や原材料調達におけるリスク管理と、政府の政策変更への迅速な対応策を強化する必要があるでしょう。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-29
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