米USTR、ヨルダンとの相互貿易協定の締結を発表
この発表の要点
- 米国とヨルダンが相互貿易協定(ART)を締結し、既存のFTAを基盤とした経済関係を強化する。
- 協定は、米国の輸出業者への市場アクセス拡大、非関税障壁撤廃、労働権・知的財産権保護、サプライチェーン強靭化を目的とする。
- ヨルダンによる強制労働産品の輸入禁止措置導入が盛り込まれ、USTRの301条関税の適用に影響を与える可能性がある。
企業・自治体への影響
米国とヨルダン間で貿易を行う製造業、農業、自動車産業、航空産業、製薬業などの企業は、関税率や非関税障壁の変更、サプライチェーンの強化、知的財産権保護の強化といった影響を受ける可能性があります。特に、強制労働産品に関連するサプライチェーンを持つ企業は、301条関税の動向とヨルダンの履行状況を注視する必要があります。
対応すべきこと
- 米国とヨルダン間の貿易に関わる企業は、協定の詳細(協定文、ファクトシート)を公式出典で確認する。
- 自社製品や原材料が協定の関税率や非関税障壁の対象となるかを確認し、貿易戦略を見直す。
- 強制労働産品に関するヨルダンの輸入禁止措置の履行状況と、それによるUSTRの301条関税の最終的な判断を継続的に監視する。
- サプライチェーンの強靭化や第三国の非市場的政策への共同対処に関する条項について、関係部門(法務、貿易実務、調達など)と連携し、自社への影響を評価する。
対象部門: 経営者 法務 経理 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 米国通商代表部(USTR) |
|---|---|
| 発表日 | 2026-07-21 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月23日
米国通商代表部(USTR)は7月21日、米国とヨルダンが相互貿易協定(ART)を締結したと発表した。ホワイトハウスは同日、協定文とファクトシートを公開した。
ファクトシートによると、本相互貿易協定は、2001年12月に発効した2国間の自由貿易協定(FTA)を含む、両国の長年の経済関係を基盤としたもの。ヨルダンにおける平和や繁栄、投資を支援するとともに、米国の輸出業者がこれまでに直面してきた貿易障壁を取り除き、ヨルダンへの市場アクセスを提供するものとして位置付けている。協定の主な合意内容は次のとおり。
ヨルダンは、同国へ輸出されるほぼ全ての米国産品に対し、既存のFTAと同様の水準の関税率を適用する。
ヨルダンは、非関税貿易障壁を撤廃することで、米国の農産物や自動車などへの市場アクセスを拡大する。
ヨルダンは、環境法の施行、強制労働によって生産された商品の輸入禁止を含む労働権の保護、知的財産権の保護強化、公正な貿易慣行の確保、および通関手続きの改善を通じて、米国との貿易を改善する。
米国は、ヨルダン産品に対し、本協定の付属書Iに規定する関税率を適用する。具体的には、スケジュール1Aに掲載するヨルダン産品に対してMFN税率や2国間FTAに基づく特恵税率を適用する。また、米国が今後関税措置を導入する際、1962年通商拡大法232条など一部措置(注1)の導入時を除き、ヨルダンに対して優遇措置を講ずる。
米国とヨルダンは、両国のサプライチェーンの強靭(きょうじん)化とイノベーション創出に向け、経済および国家安全保障面での連携を強化する。この実現に向け、第三国の非市場的政策に対処するための相互補完的な措置(注2)を実施する。ヨルダンは、第三国の企業などによる、米国の関税措置や輸出管理措置などの回避を目的とした行為に、米国と共同で対処する。
このほか、ヨルダンの企業による米国からの年間3億ドル以上の原材料(raw materials)の購入や、ロイヤル・ヨルダン航空による、米国ボーイング製航空機6機の購入と5億ドル相当の航空機の追加リースの契約締結、ヨルダンの製薬会社ヒクマ・ファーマシューティカルズによる米国への10億ドルの投資が合意事項として挙げられている。
なおUSTRは、1974年通商法301条に基づき、輸入禁止措置の導入をARTで約束しているとする国・地域などに対して10%、ヨルダンを含めて輸入禁止措置を導入していないとする国・地域に対して12.5%の追加関税を課すよう提案しているが(2026年7月10日記事参照、注3)、今回の協定にヨルダンの強制労働産品の輸入禁止措置の導入が盛り込まれたことも踏まえて、301条関税はその履行状況を踏まえて税率を判断するとした。グリア代表は21日、301条関税を「まもなく」発動すると述べた一方、議会などへの報告が完了するまでは具体的な時期を明らかにできないとした(CNBC、7月21日)。301条関税の発動時期や税理は引き続き不確実な状態が続いている。
(注1)アンチダンピング関税(CVD)や補助金相殺関税(CVD)、セーフガード措置、1962年通商拡大法232条に基づく関税措置を導入する場合を除く。
(注2)協定文の4.1.条に具体的な内容を記載している。例えば、米国が経済安全保障や国家安全保障上の理由で第三国の物品やサービスの輸入制限措置を導入した場合、ヨルダンも国内法にのっとり、当該国からの物品・サービスの輸入を規制することなどが定められている。
(注3)強制労働産品を対象とした調査は、ヨルダンを含む60カ国・地域を対象とする。
(滝本慎一郎)
(米国、ヨルダン)
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米USTR、ヨルダンとの相互貿易協定の締結を発表
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/37f3fc626e79ced3.html
時系列
- 2001-12 米国とヨルダン間の自由貿易協定(FTA)が発効
- 2026-07-21 米国通商代表部(USTR)が米国とヨルダンとの相互貿易協定(ART)の締結を発表
- 2026-07-21 ホワイトハウスが相互貿易協定の協定文とファクトシートを公開
- 2026-07-21 グリア代表が301条関税を「まもなく」発動すると発言
主な数値
| ヨルダン企業による米国からの原材料購入額 | 300000000ドル |
|---|---|
| ロイヤル・ヨルダン航空による米国ボーイング製航空機購入機数 | 6機 |
| ロイヤル・ヨルダン航空による航空機追加リース契約額 | 500000000ドル |
| ヒクマ・ファーマシューティカルズによる米国への投資額 | 1000000000ドル |
| USTRが提案する301条関税率(輸入禁止措置導入国・地域向け) | 10パーセント |
| USTRが提案する301条関税率(輸入禁止措置未導入国・地域向け) | 12.5パーセント |
| 強制労働産品調査の対象国・地域数 | 60カ国・地域 |
この事例から確認すべきポイント
本協定は、米国とヨルダン間の既存の自由貿易協定を基盤とし、両国の経済関係を一層深化させるものです。米国企業にとっては、ヨルダン市場へのアクセス拡大と貿易障壁の撤廃が期待され、特に農産物や自動車分野での機会が増加する可能性があります。また、ヨルダン企業にとっては、米国市場への優遇的なアクセスが継続され、投資が促進されます。サプライチェーンの強靭化や第三国の非市場的政策への共同対処といった条項は、単なる貿易協定を超えた戦略的な連携を示唆しています。特に、ヨルダンによる強制労働産品の輸入禁止措置の導入は、USTRの301条関税の適用に影響を与える重要な要素であり、関連企業は今後の動向を注視する必要があります。現時点で取得できた本文からは、301条関税の具体的な発動時期や税率に関する詳細を確認できませんでした。詳細は公式出典をご確認ください。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-23
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