経済・産業トレンド 国有化

英政府、ブリティッシュ・スチールを国有化

英国政府は2026年7月16日、経営難に陥っていた英鉄鋼大手ブリティッシュ・スチールを国有化したと発表した。同社は2019年に経営破綻し、中国企業に買収された後、市場環境悪化などを理由に製鉄事業の閉鎖を検討。これを受け、政府は国益保護のため国有化法案を提出し、国王裁可を経て実行した。中国商務部は中国企業の権利侵害を懸念する一方、英国の鉄鋼業界団体は国有化を歓迎し、持続可能な事業運営と低炭素化への投資を求めている。

この発表の要点

企業・自治体への影響

鉄鋼業界に属する企業や、英国への海外投資を検討する企業、特に中国企業にとっては、政府の産業政策や地政学的リスクが事業運営に与える影響を再評価する必要がある。また、環境関連コストや追加関税が事業継続に与える影響の大きさが改めて示された。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 法務 広報 経理

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 英国政府
業界 鉄鋼
発表日 2026-07-16
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年07月23日

英国政府は7月16日、英鉄鋼大手ブリティッシュ・スチールの国有化を発表した。同社は2019年2月に経営破綻した後、2020年3月に中国の敬業集団に買収されたが、2025年3月に市場環境の悪化や環境関連のコスト増大、米国による追加関税などの影響を背景に、スカンソープ製鉄所の高炉と製鉄事業の閉鎖などの検討が発表された。これを受けて議会は、操業を継続させるための緊急法案を可決し、政府に管理権限を付与した(2025年4月16日記事参照)。政府は民間企業との共同投資を模索していたが、5月に鉄鋼産業(国有化)法案を提出。上下両院の承認後、7月15日の国王裁可を受け、国益を守るためには同社を国有化することが必要であると結論付けた。

7月17日付BBCによると、中国商務部は、「こうした動きは敬業集団の正当な権利と利益を侵害し、英国に投資する中国企業の信頼を著しく損なった」とコメント。また、今後の展開を注視し、中国企業の権利保護を支援するとしたが、具体的な措置については言及しなかったとしている。

英国の鉄鋼業界団体UKスチールは7月16日、声明を発表。国有化を歓迎するとともに、「新政権(注)の最優先課題は、ブリティッシュ・スチールを商業的に持続可能にし、近代的で低炭素の製鉄への投資を確保し、鉄鋼業界の成長に必要な競争力のあるビジネス環境を構築するための長期計画を策定することだ」とコメントした。

(注)7月20日、前グレーター・マンチェスター市長のアンディー・バーナム氏が新首相に就任した。

(野崎麻由美)

(英国、中国)

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時系列

この事例から確認すべきポイント

本事例は、戦略的産業における政府介入の重要性と複雑性を示す。ブリティッシュ・スチールの国有化は、雇用維持や国益保護を目的とする一方、市場原理からの逸脱や国際的な投資環境への影響という側面を持つ。特に、中国企業による買収後の国有化は、地政学的リスクや国家間の経済摩擦の可能性を浮き彫りにする。企業は、海外投資を行う際、投資先の国の産業政策、環境規制、地政学的動向を深く分析し、予期せぬ政府介入のリスクを評価する必要がある。また、国内企業にとっても、主要産業の動向や政府の支援策は事業戦略に大きな影響を与えるため、継続的な情報収集とリスク管理が不可欠となる。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-23

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