情勢悪化を受けホルムズ海峡通航数が再び減少、通航関連料金に関し各国・機関の見解・主張は異なる
この発表の要点
- ホルムズ海峡でのタンカー攻撃事案発生を受け、通航隻数が再び減少し、原油価格が上昇した。
- 通航関連料金に関して、米国は負担金を撤回する一方、イランはサービス料徴収を表明し、国際海事機関(IMO)は国際法に基づき通航料・手数料は課されないと再確認した。
- 中東情勢の不透明性が国際物流とエネルギー市場に直接的な影響を与えている。
企業・自治体への影響
海運、エネルギー、貿易関連企業は、ホルムズ海峡の情勢悪化による物流コスト上昇やサプライチェーンの混乱リスクに直面する可能性がある。特に、中東からの原油・LNG輸入に依存する企業は、代替調達先の検討や在庫戦略の見直しが求められる。
対応すべきこと
- 最新の国際情勢、特にホルムズ海峡周辺の安全保障情報を継続的に収集する。
- 自社のサプライチェーンにおけるホルムズ海峡の依存度を評価し、代替輸送ルートやリスクヘッジ策を検討する。
- 原油価格や海上保険料の変動が事業コストに与える影響を分析し、必要に応じて価格戦略や契約条件を見直す。
- 関係部門(調達、物流、財務、経営企画など)と連携し、緊急時対応計画を策定・更新する。
対象部門: 経営者 広報 経理 法務
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 日本貿易振興機構(ジェトロ) |
|---|---|
| 業界 | 国際情勢・貿易 |
| 発表日 | 2026-07-15 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月15日
湾岸協力会議(GCC)事務局は7月14日付発表で、アラブ首長国連邦(UAE)所属のタンカー2隻を標的にしたイラン側からの攻撃を非難し、国際法と航行の自由の原則に対する違反であると強調した。英国海事機関(UKMTO)は7月14日付の通告において、ホルムズ海峡周辺での船舶への攻撃事案発生とそれに伴う注意喚起を発信している。情勢悪化を受け、海峡の通航隻数が再び減少したほか、原油価格は上昇した。
IMFの船舶自動認識装置(AIS)情報を基に船舶データを提供する「ポートウオッチ」によると、7月6日から12日までの1週間のホルムズ海峡の通航隻数の平均は1日当たり16.4隻で、前週(6月29日から7月5日)平均の29.3隻から減少した。
米国とイランの覚書の署名(2026年6月19日記事参照)を受け、6月下旬から7月初旬の海峡の通航数は5月平均の1日当たり6.5隻、6月平均の15.7隻と比べ増加していたが、攻撃の応酬の再発により、再び通航数は減少したかたちだ。2025年の平均の1日当たり91.5隻からは激減となっている。同データは船舶がAISを切って通航した場合や通信障害などで計上されない場合もある。
なお、日本の金子恭之国土交通相は7月10日の記者会見において、7月7日から9日にかけてタンカーを含む日本関係船舶22隻がホルムズ海峡を通過したと発表した。
ホルムズ海峡の通航関連料金に関しては各国・機関が異なった主張、見解を示している。
米国のドナルド・トランプ大統領は7月13日、ホルムズ海峡は開放され続けるが、イラン船舶やイラン顧客に限定した海上封鎖を再開するとし、さらに、米国がホルムズ海峡の安全確保を担うことを理由に海峡を通航する全ての貨物に対し貨物価格の20%の負担金を課す考えを示していた(2026年7月14日記事参照)。しかし、米国は翌14日、湾岸諸国との貿易・投資協定で代替するとし、通航の負担金を事実上撤回する表明を出した。
一方、イランも海峡通航に関するサービス料を徴収するとの考えを13日に改めて表明していたが、米国はこれに対して否定的だった。
また、国際海事機関(IMO)は、40の理事国により、7月6日から10日に開催された第137回理事会において、ホルムズ海峡通航は国際法に従い、いかなる通航料も手数料も課されないままであることを再確認したという(7月13日付国土交通省発表、7月13日付IMO発表)。
ホルムズ海峡南側の沿岸国のオマーンの外務省は、7月14日付発表にて、オマーンが国際法を完全に順守しつつ、海峡における航行の自由を回復するため、全ての関係者と透明性のある中立的な協力を継続していくと表明した。
中東情勢は不透明であり、最新動向は「イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報」、物流動向は「激動の中東情勢:中東各国への影響と展望」を参照。
(井澤壌士)
(中東、米国、イラン、オマーン、アラブ首長国連邦、日本)
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情勢悪化を受けホルムズ海峡通航数が再び減少、通航関連料金に関し各国・機関の見解・主張は異なる
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/8015e81792728515.html
時系列
- 2026-06-19 米国とイランの覚書署名(記事参照)
- 2026-06-29 ホルムズ海峡の通航隻数平均が前週(7月5日まで)29.3隻/日
- 2026-07-06 IMO第137回理事会が開催(7月10日まで)
- 2026-07-06 ホルムズ海峡の通航隻数平均が前週(7月12日まで)16.4隻/日
- 2026-07-07 日本関係船舶22隻がホルムズ海峡を通過(7月9日まで)
- 2026-07-10 日本の金子恭之国土交通相が記者会見
- 2026-07-13 米国のドナルド・トランプ大統領が貨物価格の20%の負担金課税の考えを示す
- 2026-07-13 イランが海峡通航に関するサービス料徴収の考えを再表明
- 2026-07-13 国土交通省がIMO理事会での再確認内容を発表
- 2026-07-13 IMOが理事会での再確認内容を発表
- 2026-07-14 湾岸協力会議(GCC)事務局がイラン側からの攻撃を非難する発表
- 2026-07-14 英国海事機関(UKMTO)が船舶への攻撃事案発生と注意喚起を通告
- 2026-07-14 米国が通航の負担金を事実上撤回する表明
- 2026-07-14 オマーンの外務省が航行の自由回復に向けた協力を表明
- 2026-07-15 本記事が発表
主な数値
| ホルムズ海峡の通航隻数平均(2026年7月6日〜12日) | 16.4隻/日 |
|---|---|
| ホルムズ海峡の通航隻数平均(2026年6月29日〜7月5日) | 29.3隻/日 |
| ホルムズ海峡の通航隻数平均(2026年5月) | 6.5隻/日 |
| ホルムズ海峡の通航隻数平均(2026年6月) | 15.7隻/日 |
| ホルムズ海峡の通航隻数平均(2025年) | 91.5隻/日 |
| ホルムズ海峡を通過した日本関係船舶数(2026年7月7日〜9日) | 22隻 |
| 米国が課す考えを示した貨物価格の負担金割合 | 20% |
この事例から確認すべきポイント
ホルムズ海峡における地政学的リスクの顕在化は、国際物流とエネルギー市場に直接的な影響を与える事例として注目される。短期間での通航隻数の大幅な変動は、サプライチェーンの脆弱性を浮き彫りにし、原油価格の上昇は世界経済への波及効果を示唆している。各国・機関が通航関連料金に関して異なる見解・主張を示している点は、国際的な航行の自由と安全保障に関するルール形成の複雑性を示している。企業は、このような国際情勢の不透明性が事業活動に与える影響を継続的に評価し、サプライチェーンの多様化、リスクヘッジ戦略の強化、代替輸送ルートの検討など、多角的な対応策を講じる必要がある。特に、海運、エネルギー、貿易関連企業は、国際機関や各国政府の発表を注視し、迅速な情報収集と対応計画の更新が不可欠である。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-15
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