経済・産業トレンド 調査終了、交渉指示

米商務省、民間航空機・同部品への232条調査終了、各国・地域との交渉へ

米国トランプ大統領は、1962年通商拡大法232条に基づき、民間航空機・同部品の輸入に関する調査を終了しました。商務長官は国家安全保障上の懸念を認定しましたが、直ちの追加関税適用は見送られました。大統領は商務長官と米国通商代表部(USTR)代表に対し、輸入量調整に向けた協定交渉を指示し、交渉状況によっては将来的に追加関税などの輸入制限措置が講じられる可能性が残されています。交渉進捗は布告発表日から180日以内に大統領へ報告されます。

この発表の要点

企業・自治体への影響

民間航空機・ジェットエンジンおよびその部品を製造・供給する企業は、米国の貿易政策変更によるサプライチェーンへの影響を評価する必要があります。特に、米国市場への輸出や米国からの部品輸入に依存する企業は、今後の交渉結果によって事業戦略の見直しを迫られる可能性があります。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 法務 経理

対応期限:期限あり

基本データ

企業・団体 米国商務省
業界 航空機製造
発表日 2026-07-13
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年07月13日

米国のドナルド・トランプ大統領は7月9日、1962年通商拡大法232条に基づき、商務長官と米国通商代表部(USTR)代表らに対して、民間航空機・ジェットエンジンおよびその部品(以下、民間航空機・同部品)の輸入量調整に向け、各国・地域との交渉を指示する大統領布告を発表した。ホワイトハウスは同日、ファクトシートも公表した。現時点の追加関税の適用は見送られた一方、今後の交渉状況によっては、追加関税などの輸入制限措置が講じられる可能性が残されている。

商務省は2025年5月、民間航空機・同部品の輸入が米国の国家安全保障に及ぼす影響を判断するための調査を開始した(2025年5月12日記事参照)。232条は、特定製品の輸入が国家安全保障上の脅威となると商務長官が判断した場合に、追加関税などの措置を発動する権限を大統領に認めている。商務長官が脅威の存在を認定した場合、大統領は報告を受けてから90日以内に対応策を発表しなければならない。

布告によると、商務長官は、米国の航空機産業が外国のサプライチェーンに過度に依存しており、国家安全保障上の懸念を引き起こしていると認定した一方、直ちに関税を課すべきではないと大統領に勧告した。

トランプ氏は調査開始から90日以内に報告を受け(注1)、商務長官およびUSTR代表らに対し、次の措置を指示した(注2)。

国家安全保障上の脅威となる損害に対処するため、輸入量の調整に向けた協定の交渉を推進すること。

交渉の進捗状況を、布告の発表日から180日以内に大統領に報告すること。

トランプ政権2期目に開始された232条調査のうち、追加関税の賦課が見送られたのは、2026年1月に調査結果が公表された重要鉱物に続き2回目となる(2026年1月16日記事参照)。米国はWTOの民間航空機貿易に関する協定の締結国であり、同協定に基づき、民間航空機・同部品に対して関税を課していない。このため今後、追加関税措置を発動した場合、同協定に抵触する可能性がある。このほか、2026年2月から発動している1974年通商法122条に基づく課徴金についても、民間航空機・同部品を措置の対象外としており(注3)、トランプ政権の関税措置がこれらの品目に与える影響は限定的となっている。

(注1)布告では、具体的な日付は明らかにしていない。
(注2)トランプ氏は、交渉状況や結果次第で関税を含む是正措置を検討する可能性があるとしている。
(注3)このほか、米国が日本や韓国、英国、EU、台湾と締結した相互貿易協定の中で、232条に基づく鉄鋼、アルミニウム、銅への追加関税を適用しないと定めている。

(滝本慎一郎)

(米国)

ビジネス短信 78507bbf50fdfb9d

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米商務省、民間航空機・同部品への232条調査終了、各国・地域との交渉へ

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/78507bbf50fdfb9d.html

時系列

主な数値

大統領への報告期限(商務長官) 90日以内
大統領への報告期限(交渉進捗) 180日以内
追加関税賦課見送り事例 2回目

この事例から確認すべきポイント

米国政府が国家安全保障を理由に特定の輸入品に対する調査を行い、その結果に基づいて貿易措置を検討するプロセスが示されています。今回は追加関税の即時適用は見送られたものの、交渉の進捗次第で将来的な措置の可能性が残されており、関連業界は動向を注視する必要があるでしょう。WTO協定との整合性や、既存の貿易協定における例外措置の適用状況も考慮されており、多角的な視点での貿易政策が展開されていることがうかがえます。企業は、自社のサプライチェーンにおける米国への依存度や、米国からの輸入部品の有無を確認し、今後の交渉結果が事業に与える影響を評価する準備が求められます。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-13

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