カナダ、次期潜水艦の調達にドイツ企業を選定、NATOとの相互運用性を重視
この発表の要点
- カナダ政府は次期潜水艦プロジェクト(CPSP)の優先交渉企業にドイツのTKMSを選定した。
- 最大12隻の最新型潜水艦「212CD型」を導入し、2027年末までの契約締結を目指す。
- 本プロジェクトはNATO加盟国との相互運用性確保、国内防衛産業育成、経済効果創出を目的としている。
企業・自治体への影響
防衛産業、造船業、および関連するサプライチェーンに関わる企業は、カナダ政府の「構築・連携・調達」方針と、大規模な国際調達における同盟国との連携、技術移転、国内経済効果創出の重視を理解する必要があります。特に、航空宇宙、防衛装備、自律型システム、重要鉱物、研究開発分野の企業は、TKMSを中心とする企業連合との連携機会や、カナダ市場への参入可能性を検討する機会となり得ます。
対応すべきこと
- カナダの防衛産業戦略「構築・連携・調達」方針の詳細を確認し、自社の事業機会を評価する。
- TKMSおよび「TEAM 212CD」企業連合の動向を注視し、サプライチェーンへの参画可能性を探る。
- 防衛関連の国際調達における相互運用性や技術移転の要件について、関係部門(営業、R&D、法務など)と情報共有を行う。
- カナダ政府の公式発表や関連資料(PDFなど)で、プロジェクトの具体的な要件やスケジュールを確認する。
対象部門: 経営者 法務 広報 経理
対応期限:公募締切まで
基本データ
| 企業・団体 | カナダ政府 |
|---|---|
| 業界 | 防衛・造船 |
| 発表日 | 2026-07-10 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月10日
カナダ政府は7月6日、カナダ海軍が保有する潜水艦の後継を選定する「カナダ哨戒潜水艦プロジェクト(CPSP)」において、ドイツのティッセンクルップ・マリン・システムズ(TKMS)を優先交渉企業に選定したと発表した。最大12隻の最新型潜水艦を導入する計画で、2027年末までの契約締結を目指している。マーク・カーニー首相は、「カナダ史上最大の防衛装備品の調達になるだろう」と強調した。ドイツのフリードリヒ・メルツ首相も同様に、今回の案件はドイツにとって過去最大の防衛関連契約になるとの認識を示した。その上で、「欧州および大西洋同盟諸国の結束と協力を後押しする強いシグナルとなる」と述べた。
CPSPは、カナダ防衛投資庁(DIA)が推進するプロジェクトである。2026年2月にDIAが公表した「防衛産業戦略」では、「構築・連携・調達(Build-Partner-Buy)」(注1)の方針の下、信頼できる同盟国企業との連携によって潜水艦能力を整備するとともに、技術移転やサプライチェーンへの参画を通じて、国内防衛産業の育成と経済効果の創出を図る考えが示された。
カナダ海軍が現在保有する4隻のビクトリア級潜水艦(注2)は、いずれも2000~2004年に英国から導入したもので、2030年半ばから後半にかけて退役する予定となっている。この4隻と入れ替える形で、2034年までに最初の4隻がTKMSから引き渡されることを目指す。今回選択された潜水艦「212CD型」はドイツとノルウェーが共同開発した非原子力潜水艦で、ノルウェー海軍も採用していることから、「NATO加盟国との相互運用性を確保できる」としている。カーニー氏によれば、TKMSはドイツおよびノルウェー向け発注分の一部を割り当てる意向を示しており、計画どおりの調達が可能との見方を示した。
なお、カナダ政府は2024年9月から優先交渉企業の選定プロセスを進めており、2025年8月には、TKMSと韓国のハンファ・オーシャンの2社をCPSPに基づく調達候補企業に選定していた。今回の発表で、ハンファ・オーシャンは予備供給者に位置付けられ、TKMSがCPSPで定める要件を満たせず契約合意に至らなかった場合の次点交渉先となる。
カーニー氏は、TKMSとの契約金額について最終契約締結まで公表しないとした。一方で、TKMSが航空宇宙、防衛装備、自律型システム、重要鉱物、研究開発などの戦略的分野に大規模な投資を行うことへの期待を示した。TKMSを中心とする企業連合「TEAM 212CD」は、最終提案によりカナダ国内で1,670億カナダ・ドル(約19兆380億円、Cドル、1Cドル=約114円)規模の経済活動を創出し、860億Cドル(約9兆8,040億円)超の経済効果をもたらすとの試算を公表している。
(注1)国内において強靭(きょうじん)かつ革新的な防衛産業基盤を「構築」するとともに、自国単独では対応できない防衛装備品は信頼できる国・地域と「連携」して生産し、それが困難な場合には、カナダが主権的統制を確保できる形で同盟国から「調達」する方針を指す。
(注2)カナダ海軍が運用する通常動力型(ディーゼル推進)の潜水艦。
(木村勇翔)
(カナダ、ドイツ、ノルウェー、韓国、英国)
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カナダ、次期潜水艦の調達にドイツ企業を選定、NATOとの相互運用性を重視
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/506dfc02d765e752.html
時系列
- 2024-09-00 カナダ政府が優先交渉企業の選定プロセスを開始
- 2025-08-00 TKMSと韓国のハンファ・オーシャンをCPSPに基づく調達候補企業に選定
- 2026-02-00 カナダ防衛投資庁(DIA)が「防衛産業戦略」を公表
- 2026-07-06 カナダ政府がドイツのティッセンクルップ・マリン・システムズ(TKMS)を優先交渉企業に選定したと発表
- 2027-12-31 契約締結を目指す
- 2030-00-00 カナダ海軍のビクトリア級潜水艦が2030年半ばから後半にかけて退役予定
- 2034-00-00 最初の4隻がTKMSから引き渡されることを目指す
主な数値
| 導入予定潜水艦数(最大) | 12隻 |
|---|---|
| 現有潜水艦数 | 4隻 |
| カナダ国内での経済活動創出額(試算) | 1670億カナダ・ドル |
| 経済効果額(試算) | 860億カナダ・ドル超 |
| 為替レート | 114円/カナダ・ドル |
この事例から確認すべきポイント
この発表は、カナダ政府が次期潜水艦調達においてドイツ企業を優先交渉企業に選定したことを示しており、国際的な防衛産業における連携と経済効果の創出に焦点を当てています。企業広報の観点からは、大規模な国際プロジェクトにおけるパートナーシップ選定のプロセス、特に同盟国との相互運用性や国内産業育成への貢献といった多角的な視点での説明責任が重要であることが確認できます。また、契約金額の非公表と経済効果の試算公表のバランスは、ステークホルダーへの情報提供戦略として注目されます。予備供給者の存在は、リスク管理と競争原理の維持を示唆しており、企業はこのような大規模案件におけるサプライチェーンの多層性や代替可能性を考慮した広報戦略を検討すべきです。さらに、防衛産業戦略における「構築・連携・調達」のような明確な方針は、企業が政府調達に関わる際に、自社の強みや貢献をどのようにアピールすべきかの指針となります。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-10
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