経済・産業トレンド

CATL、ナトリウムイオン電池蓄電システムを発表、商業化に達し供給開始へ

中国の車載電池大手CATLは、世界初とされる大規模ナトリウムイオン電池蓄電ソリューション「天恒ナトリウムイオン電池」を発表した。2026年9月に中国市場で初回納入を開始し、同年末までに1GWh規模の出荷を目指す。グローバル市場では2027年6月に納入開始予定。長寿命、広範な温度安定性、安全性、低騒音、モジュール化設計が特徴で、商業化レベルに達したとしている。

この発表の要点

企業・自治体への影響

エネルギー貯蔵、再生可能エネルギー、自動車産業のサプライチェーンに大きな影響を与える可能性があります。特に、リチウム資源に依存しない新たな蓄電技術の普及は、関連する製造業やインフラ開発部門にとって、技術戦略や投資計画の見直しを促すでしょう。都市開発や住宅地周辺でのエネルギーインフラ導入を検討する自治体や企業にも、低騒音という点で新たな選択肢を提供します。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 広報 経理 法務 総務

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 寧徳時代新能源科技(CATL)
業界 製造
発表日 2026-07-03
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年07月03日

中国の車載電池大手である寧徳時代新能源科技(CATL)は6月22日、ドイツ・ミュンヘンで開催された「天恒2026グローバル発表会」で、世界初とされる大規模ナトリウムイオン電池(注1)蓄電ソリューションと、実証型蓄電システム(注2)「天恒ナトリウムイオン電池」を発表した。同社は、関連サプライチェーンが商業化レベルに到達したとし、まもなく大規模供給を開始すると明らかにした。

今後のスケジュールについて、中国市場では2026年9月に初回納入を開始し、同年末までに累計1ギガワット時(GWh)規模の出荷を目指すとした。グローバル市場では、2027年6月に納入を開始する予定としている。

同社によると、「天恒ナトリウムイオン電池」は性能面で複数の特徴を有する。25度の環境下では約1万5,000サイクルの充放電が可能で、長寿命を実現。また、低温環境(マイナス20度)でも容量の92%以上を保ち、高温環境(45度)においても1万サイクル以上の充放電が可能であるなど、幅広い温度条件下でも安定した性能を発揮できる。安全性の面では、従来のリン酸鉄リチウム(LFP)電池と比較して、材料の膨張力を約40%低減し、ガス発生量も約35%抑制するなどの特徴がある。さらに、システムの補助電力消費率は、リチウム電池業界平均の約2%に対し、約1%に抑えられているほか、稼働時の騒音も約65デシベルに抑え、都市部や住宅地周辺などの騒音に敏感な環境への導入も可能としている。システム設計面では、単一設備あたり最大で30メガワット時(MWh)以上の容量を持つ。完全にモジュール化された設計により、1GWh規模の蓄電所でもわずか34セットの設備で構築可能なため、導入・設置の簡素化につながるとしている。

(注1)ナトリウムイオン電池は、希少なリチウムの代わりに地球上に豊富に存在するナトリウムを使用する。安全性が高く耐久性に優れ、寒冷地での動作の低下が少ないが、リチウムイオン電池と比較するとエネルギー密度が低い特徴を有する。
(注2)実証型蓄電システムとは、単一の性能指標による評価ではなく、実際の運用環境や、電力系統、運転条件に近い条件下で、大規模蓄電所としての運用を想定した総合的な検証を経た蓄電システムを指す。CATLは約30億元(約690億円、1元=約23円)を投じて、福建省アモイ市に実証研究機関を設立しており、同機関はテュフ・ズードやテュフ・ラインランドといったドイツの第三者認証機関と連携し、1回の試験で複数の認証を取得できる体制を整えている。

(黄子珊)

(中国)

ビジネス短信 435f8966a5ae15a9

関連情報

dummy

もっと見る

ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース

CATL、ナトリウムイオン電池蓄電システムを発表、商業化に達し供給開始へ

ジェトロ公式SNSアカウント

出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/435f8966a5ae15a9.html

時系列

主な数値

充放電サイクル数(25度環境下) 15000サイクル
低温環境(マイナス20度)での容量維持率 92パーセント
高温環境(45度)での充放電サイクル数 10000サイクル
材料の膨張力低減率(LFP電池比) 40パーセント
ガス発生量抑制率(LFP電池比) 35パーセント
システム補助電力消費率 1パーセント
稼働時の騒音 65デシベル
単一設備あたりの最大容量 30MWh
1GWh規模蓄電所構築に必要な設備数 34セット
実証研究機関への投資額(元) 3000000000元
実証研究機関への投資額(円) 69000000000円
為替レート 23円/元
中国市場での2026年末までの出荷目標 1GWh

この事例から確認すべきポイント

CATLによるナトリウムイオン電池蓄電システムの発表は、エネルギー貯蔵技術の進化と市場競争の激化を示す重要な事例です。広報担当者は、自社の技術開発や製品ロードマップを策定する上で、競合他社の動向を常に把握し、適切なタイミングで情報発信を行う戦略が求められます。特に、新技術の発表においては、その性能特性、市場投入計画、そして環境への影響や安全性といった多角的な情報を、透明性をもって開示することが信頼構築に繋がります。また、国際的なサプライチェーンや認証機関との連携も、製品の信頼性を高める上で重要な要素となります。本事例は、新技術の商業化における広報戦略の参考となるでしょう。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-03

関連事例

自社のプレスリリースをPRazeに掲載しませんか?

無料でプレスリリースを掲載する