米USTR、矢崎グループのメキシコ工場での労働問題解決を発表、関税清算を再開
この発表の要点
- 米USTRが矢崎グループのメキシコ工場を巡る労働問題の解決と関税清算の再開を発表
- USMCAの迅速な労働問題対応メカニズム(RRM)を活用して問題が処理された
- 矢崎グループはガイドラインの配布や少数派労働組合の権利尊重などを誓約した
企業・自治体への影響
海外に製造拠点やサプライチェーンを持つ製造業等において、労働権や労働組合に関するトラブルが発生した場合、関税清算の保留や輸入停止などの重大な通商リスクに直結するおそれがある。経営層、法務、海外事業部門において影響が生じる可能性がある。
対応すべきこと
- 海外拠点における労働環境や結社の自由に関する方針・ガイドラインの遵守状況を確認する
- USMCA等の通商協定における労働基準やRRMの動向を注視する
- 現地労働組合や当局との折衝状況について関連部門で情報を共有する
対象部門: 経営者 法務 総務
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 米通商代表部(USTR) |
|---|---|
| 業界 | 製造 |
| 発表日 | 2026-08-00 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2025年11月19日以降保留されていた、当該工場で製造される自動車部品、ワイヤーハーネス、電子部品などに関する最終的な関税の清算手続きを再開するとした。
本件は、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が定める「事業所特定の迅速な労働問題対応メカニズム(RRM、注)」に基づき、問題解決が図られていた。米国政府は2025年11月、メキシコ国内の自動車産業全国独立労働組合(SINTTIA)からUSTRへの矢崎工場を巡る労働権侵害の申し立てにより、メキシコ政府に事実確認を要請していた(2025年11月25日記事参照)。当該工場に対しては、2023年8月にもメキシコの別の労働組合からUSTRへの申し立てがあり、RRMに基づきメキシコ政府に事実確認を要請し、同年10月、USTRが当該工場での労働問題の解決を発表した経緯がある(2023年8月24日記事、2023年10月5日記事参照)。
本件に対処するため、矢崎グループは次の対応策を示した。
(1)結社の自由および団体交渉に関する中立性を確保する声明および社内ガイドラインを配布
(2)団体協約の締結権を持たない少数派労働組合の権利を尊重する方針を採用
さらに矢崎グループは、上記の対応策を具体化するため、労働者への声明・ガイドラインの配布と研修の実施、結社の自由および団体交渉に関するメキシコ労働社会福祉省(STPS)による研修への場所の提供、労働者への(2)の方針の周知、の3点を約束する誓約書に署名した。
一方、メキシコ政府は、結社の自由および団体交渉に関する研修の実施、審査期間中の当該工場の監視、労働者および企業との協議を実施した。
米国政府は矢崎グループとメキシコ政府による上記の措置の結果、今回の案件に関する状況が是正されたと判断した。
(注)ただし、米国・カナダ間にはRRMは設けられていない。
(久峨喜美子)
(米国、メキシコ)
ビジネス短信 b8015aa0bd245b6e
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米USTR、矢崎グループのメキシコ工場での労働問題解決を発表、関税清算を再開
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/08/b8015aa0bd245b6e.html
時系列
- 2023-08 メキシコの別の労働組合からUSTRへ労働権侵害の申し立てがあり、RRMに基づきメキシコ政府に事実確認を要請
- 2023-10 USTRが当該工場での労働問題の解決を発表
- 2025-11 メキシコ国内の自動車産業全国独立労働組合(SINTTIA)からの申し立てにより、米国政府がメキシコ政府に事実確認を要請。当該工場で製造される自動車部品などの関税清算手続きが保留される
- 2025-11-19 当該工場で製造される自動車部品、ワイヤーハーネス、電子部品などに関する最終的な関税の清算手続きが保留された(以降)
- 2026-08 米USTRが矢崎グループのメキシコ工場での労働問題解決を発表し、関税清算を再開
この事例から確認すべきポイント
本件は、USMCAの迅速な労働問題対応メカニズム(RRM)を通じて、サプライチェーン上の海外工場における労働権侵害の申し立てが解決に至った事例である。海外に製造拠点を持つ企業にとって、現地労働法規の遵守や結社の自由、団体交渉権の保障は、関税清算の保留やサプライチェーン全体の停滞を招き得る重大なリスク管理要素である。実務においては、海外子会社や委託先工場における労務管理体制の定期的な点検や、現地当局・労働組合との適切な関係構築が不可欠であることを示している。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-08-17
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