経済・産業トレンド

ニューヨーク市への企業誘致を強化、マムダニ市長が具体策を発信

ニューヨーク市経済開発公社(NYCEDC)は「Choose NYCサミット」を開催し、マムダニ市長が企業誘致強化に向けた具体策を発表しました。市長は、許認可プロセスの迅速化・簡素化、罰則中心の運用見直し、資金アクセス改善、そして住宅供給や保育支援を通じた従業員の生活コスト抑制に取り組む姿勢を示しました。NYCEDCは、ニューヨーク市の世界第9位の経済規模や豊富な雇用、ベンチャー投資額などを競争力として強調。Chobani創業者のウルカヤCEOは、NYCEDCの支援が事業展開に重要であったと述べました。

この発表の要点

企業・自治体への影響

ニューヨーク市への進出を検討している企業、特にテクノロジー系スタートアップや製造業は、行政支援や従業員の生活環境改善策の恩恵を受ける可能性があります。進出後のコンプライアンス対応や資金調達、人材確保の面で市のサポートが期待できるため、関連部門は情報収集を強化すべきです。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 法務 経理 人事

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 ニューヨーク市経済開発公社(NYCEDC)
業界 地域経済開発
発表日 2026-06-26
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年06月26日

米国のニューヨーク市経済開発公社(NYCEDC、注1)は6月23日、外国企業を含む投資家を対象としたニューヨーク市へのビジネス誘致イベント「Choose NYCサミット」を開催した。同サミットでは、同市の経済的な優位性に加え、同市での事業展開・拡大に向けた具体的な支援策が紹介された。

サミット冒頭、NYCEDCのジーニー・パク暫定最高経営責任者(CEO)は、ニューヨーク市の競争力を示す指標として、(1)世界第9位の経済規模、(2)民間部門での430万人規模の雇用者数(注2)、(3)四半期当たり110億ドルのベンチャー投資額(注3)、(4)約2万5,000社のテクノロジー系スタートアップによる36万人超の雇用を紹介し、資本と人材が集積する強みを強調した。また同氏は、行政支援の方向性として、企業の参入コスト低減や規制対応支援、国際企業の誘致強化を推進していると説明した。これらは具体的には、NYCEDCなどが提供する各種施策として制度化されている(注4)。

NYCEDCの具体的な支援策の説明に続いて、同市のゾフラン・マムダニ市長と、トルコ出身の起業家で米食品メーカーChobaniのハムディ・ウルカヤ創業者兼最高経営責任者(CEO)による対話セッションが行われた。

マムダニ市長(左)とウルカヤCEO(右)による対話セッション(ジェトロ撮影)

Chobaniは2005年に創業し、2026年6月現在、ニューヨーク州北部に製造拠点とニューヨーク市内にグローバル本社機能を構える。ウルカヤCEOは、特に用地選定や地域コミュニティーとの関係構築において、NYCEDCの支援が重要な役割を果たしたと強調した。また、現在の事業展開においても、同市と連携したスポーツ振興の取り組みや、消防・警察関係者を含む公的機関と連携した食料配布などの取り組みなど、地域コミュニティーとの連携が企業活動の基盤の一部となっていると説明した。

マムダニ市長は、同市への参入障壁の低減に向けた取り組みについて説明した。進出時の許認可のプロセスに関しては、「企業は、手続きに要する時間を迅速化できないか、複雑なプロセスを簡素化できないのか、ワンストップ対応できないか、との不満を感じている」との問題意識を持つことが重要とし、「より迅速で応答性の高い行政を実現する必要がある」と述べた。また、従来の罰則中心の運用を見直し、企業のコンプライアンスを支援する方向へ転換する考えを示した。さらに資金面についても、「多くの企業にとって課題は需要ではなく資金アクセスにある」とし、市として資金アクセス改善の対応を進める姿勢を示した。

さらに、マムダニ市長は、住宅費や保育費といった生活コストの問題に対し、「企業経営者自身が従業員の保育費や高騰する住宅費向け補助などの対応を迫られている」との現状を指摘した。その上で、(1)住宅供給の迅速化、(2)保育支援の拡充、などを通じて従業員の生活コストを抑制することで、企業の負担軽減に取り組む考えを明らかにした。

(注1)NYCEDCは、ニューヨーク市が設立した非営利法人で、企業の立地選定や資金調達、人材確保までを一体的に支援する。NYCDECによる具体的なビジネス支援策は「Doing Business in New York City」に体系的に整理されている。
(注2)ニューヨーク州労働省の公式発表によれば、2026年5月時点のニューヨーク市の民間雇用者数は前年比4万4,500人増の約424万3,000人。
(注3)NYCEDCが2026年4月に公表したニューヨーク市のEconomic Snapshotによれば、同市に拠点を有する企業は2026年第1四半期(1~3月)に111億ドルのベンチャーキャピタルファンドを調達した。
(注4)税制などのインセンティブについては「Business Incentives Guide」に一覧化した。行政手続きについては「NYC Business Express Service Team (BEST)」が複数部局にまたがる規制対応の一元化を推進している。外国企業向けには「International Landing Pad Network」を整備し、オフィス提供や顧客・投資家紹介、規制対応支援などをパッケージで提供している。

(伊藤博敏)

(米国)

ビジネス短信 858ecb6156d7c94d

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ニューヨーク市への企業誘致を強化、マムダニ市長が具体策を発信

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/858ecb6156d7c94d.html

時系列

主な数値

ニューヨーク市の経済規模 9位
ニューヨーク市の民間部門雇用者数 430万人規模
ニューヨーク市の四半期当たりベンチャー投資額 110億ドル
ニューヨーク市のテクノロジー系スタートアップ数 25000社
ニューヨーク市のテクノロジー系スタートアップによる雇用者数 36万人超
ニューヨーク市の民間雇用者数(2026年5月時点) 424.3万人
ニューヨーク市のベンチャーキャピタルファンド調達額(2026年第1四半期) 111億ドル

この事例から確認すべきポイント

この発表は、ニューヨーク市が企業誘致と経済成長を戦略的に推進していることを示している。特に、行政手続きの簡素化、資金アクセス改善、従業員の生活コスト支援といった具体的な課題解決策を提示している点が注目される。これは、単なる税制優遇だけでなく、事業環境全体を改善することで企業の長期的な定着を促す意図があると考えられる。また、Chobaniの事例を挙げることで、NYCEDCの支援が実際に企業の成功に貢献していることを示し、潜在的な投資家への信頼性を高めている。企業側から見れば、進出先の選定において、経済規模や人材の豊富さだけでなく、行政のサポート体制や従業員の生活環境への配慮が重要な要素となることを再認識させる内容である。特に、住宅費や保育費といった従業員の生活コストへの言及は、現代の企業経営における人材確保の課題を反映しており、行政がこれに積極的に関与する姿勢は、企業にとって大きなメリットとなり得る。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-06-26

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