制度・法令改正

医薬品規制調和国際会議(ICH)が開催されました ~1ガイドラインが整備されました~

医薬品規制調和国際会議(ICH)が令和8年5月31日から6月3日までブラジルで開催され、新たなガイドラインE6(R3)がステップ4に到達し合意されました。本会合では、ICHの戦略ビジョンが承認され、デジタル・コラボレーション・プラットフォームの検討状況が報告されたほか、パキスタンとニュージーランドの規制当局がオブザーバーに承認されました。次回会合は同年11月にチェコで開催予定です。

この発表の要点

企業・自治体への影響

医薬品開発・製造を行う企業は、国際的な臨床試験の基準変更に備える必要があります。特に研究開発部門や品質保証部門は、新たなガイドラインE6(R3)の内容を注視し、将来的な国内規制への反映に合わせた社内体制や手順の見直しを検討することが求められます。

対応すべきこと

対応優先度:  国際的な医薬品規制の調和に関する重要な進展であり、将来的に国内の医薬品開発・製造に影響を与える可能性があるため、継続的な情報収集と対応準備が求められる。

対象部門: 経営者 法務 広報

対応期限:施行日まで

基本データ

企業・団体 厚生労働省
業界 医薬品
発表日 2026-06-12
分類 制度・法令改正

発表された内容

令和8年6月12日(金)

照会先
医薬局 国際薬事規制室
室長 大久保 貴之 (内線4223)
係長 田村 文弥 (内線4224)
(代表電話)03(5253)1111
(直通電話)03(3595)2431

医薬品規制調和国際会議(ICH)が開催されました

~1ガイドラインが整備されました~

令和8年5月31日から6月3日まで、ブラジル・リオデジャネイロにおいて、医薬品規制調和国際会議(ICH)の総会・管理委員会・各作業部会(※1)等が開催されました(メンバー・オブザーバーは参考1参照)。当該会合では、主に以下の成果がありました。
次回ICH会合は令和8年11月14日から11月18日にチェコ・プラハで開催されます。

(※1)ICHは、医薬品規制当局と製薬業界の代表者が協働して、医薬品規制に関するガイドラインを科学的・技術的な観点から作成する国際会議です(年2回対面会合開催)。対面会合では、全メンバーで構成される総会、ICHの運営を担う管理委員会、ガイドラインの議論を行う各作業部会等が開催されます。

1.各作業部会の進捗状況の報告
総会では、各作業部会におけるガイドライン作成の主な進捗(※2)について、ICH会合中において合意した事項について報告されました。

(※2)ICHのガイドラインは、作成が開始されてからICH規制当局メンバーの各国・地域で実装されるまで、ステップ1からステップ5の各段階を経て行われます。(参考2参照)

(1)ステップ4到達
今回のICH会合において合意したガイドライン
・E6(R3):「医薬品の臨床試験の実施に関する基準」ガイドライン付属文書2(※3)

(※3)多様な試験デザイン要素やデータソースを用いる臨床試験においてそれらが目的に適合することを保証するために、医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)の考慮事項を提供

2.ICH戦略ビジョン及びロードマップ
本会合では、今後のICHの方向性について議論が行われました。調和されたガイドラインを通じ、公衆衛生の向上を推進するICHのビジョン、ミッション及び役割を示した戦略ビジョンが承認されました。また、新規ICHガイドライン作成におけるトピック選定プロセスの見直しも含めた、複数年の戦略ロードマップ策定に向けた作業も進められています。
(参考)ICH戦略ビジョン:https://admin.ich.org/sites/default/files/2026-06/ICH_Strategic_Vision_2026_0603.pdf

3.ICHデジタル・コラボレーション・プラットフォームに関する報告
ICHガイドラインの調和の取れた作成及び一貫した実装を支援するためのデータ共有を実現することを目的に、デジタル・コラボレーション・プラットフォームの構築に向けた技術的・制度的な要件の検討が進められてきました。総会において、本活動について報告が行われ、検討されてきた最終報告書をICHウェブサイト上に公表することが了解されました。
(参考)ICH技術タスクフォース最終報告:https://admin.ich.org/sites/default/files/2026-06/ICH_TTF_final_report_2026_0603_for_website.pdf

4.新規の規制当局メンバー・オブザーバーの承認
本会合では、パキスタン医薬品規制局(DRAP)及びニュージーランド医薬品・医療機器安全承認局(Medsafe)が新たに規制当局オブザーバーに承認されました。これにより、ICHのメンバーは25団体、オブザーバーは43団体となりました(参考1参照)。

5.国際薬事規制当局プログラム(IPRP)
本会合に続いて、6月3日及び4日にIPRP会合(参考3参照)が開催されました。
IPRP会合では、リライアンスの推進・AIの各国での活用・作業部会の活動・各国の規制状況等について意見交換が行われました。

(参考1)ICH参加団体一覧(令和8年6月12日時点)
※:管理委員会メンバー 下線:今般会合で追加
【メンバー(25団体)】
○創設規制当局メンバー(3):厚生労働省/医薬品医療機器総合機構(MHLW/PMDA)(※)、米国食品医薬品局(FDA)(※)、欧州委員会/欧州医薬品庁(EC/EMA)(※)
○創設産業界メンバー(3):日本製薬工業協会(JPMA)(※)、米国研究製薬工業協会(PhRMA)(※)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)(※)
○常任規制当局メンバー(2):ヘルスカナダ(※)、スイスメディック(※)
○規制当局メンバー(14):ブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)(※)、中国国家医薬品監督管理局(NMPA)(※)、シンガポール保健科学庁(HSA)、韓国食品医薬品安全処(MFDS)(※)、台湾食品薬物管理署(TFDA)、トルコ医薬品医療機器庁(TITCK)、サウジ食品医薬品庁(SFDA)(※)、メキシコ連邦衛生リスク対策委員会(COFEPRIS)、英国医薬品医療製品規制庁(MHRA)、エジプト医薬品庁(EDA)、アルゼンチン医薬品食品医療技術管理局(ANMAT)、ヨルダン食品医薬品局(JFDA)、ナイジェリア食品医薬品管理局(NAFDAC)、南アフリカ医療製品規制当局(SAHPRA)
○産業界メンバー(3):バイオテクノロジーイノベーション協会(BIO)(※)、国際ジェネリック・バイオシミラー医薬品協会(IGBA)(※)、世界セルフケア連盟(GSCF)

【オブザーバー(43団体)】
○常任オブザーバー(2):世界保健機関(WHO)、国際製薬団体連合会(IFPMA)
○規制当局オブザーバー(28):インド中央医薬品基準管理機構(CDSCO)、キューバ国家医薬品医療機器管理機関(CECMED)、イスラエル保健省医薬品・監督センター(CPED)、コロンビア医薬品食品監督庁(INVIMA)、モルドバ医薬品医療機器庁(MMDA)、イラン国家規制当局(NRA)、マレーシア国家医薬品規制庁(NPRA)、カザフスタン国家医薬品医療機器専門機関、ロシア連邦保健・社会発展監督局(Roszdravnadzor)、アルメニア医薬品医療技術専門科学センター(SCDMTE)、オーストラリア医療製品管理局(TGA)、レバノン公衆保健省(MOPH)、アゼルバイジャン保健省分析センター(AEC)、インドネシア共和国食品医薬品庁(BPOM)、ウクライナ保健省専門家センター(SEC MOH)、アルジェリア医薬品庁(ANPP)、チュニジア医薬品局(DPM)、香港薬剤業及び毒薬管理局(PPBHK)、タイ保健省食品医薬品庁(FDA)、ウズベキスタン薬事安全センター(CPPS)、ペルー医薬品医療資材局(DIGEMID)、パラグアイ公衆衛生・社会福祉省国家衛生監視局(DINAVISA)、クウェート保健省(MOH)、エルサルバドル衛生規制監督庁(SRS)、ドミニカ共和国医薬品食品衛生製品規制局(DIGEMAPS)、フィリピン共和国保健省食品医薬品局(FDA)、パキスタン医薬品規制局(DRAP)、ニュージーランド医薬品・医療機器安全承認局(Medsafe)
○地域調和イニシアティブ(6):東南アジア諸国連合(ASEAN)、アジア太平洋経済協力(APEC)、東アフリカ共同体
(EAC)、湾岸協力理事会(GCC)、汎アメリカ医薬品規制調和ネットワーク(PANDRH)、南部アフリカ開発共同体(SADC)
〇業界団体オブザーバー(1):医薬品原薬委員会(APIC)
○医薬品関連国際団体(6):ゲイツ財団(Gates Foundation)、国際医学団体協議
会(CIOMS)、欧州医薬品医療品質部門(EDQM)、国際医薬品添加物機関(IPEC)、医薬品査察協同スキーム(PIC/S)、
米国薬局方(USP)

(参考2)ICHのガイドライン作成ステップ

ステップ1
新しい調和ガイドラインを作成する提案が、新しいトピックとして総会の承認を受けると、専門家作業部会が設置されます。専門家作業部会では、協議を重ねて技術ドキュメント(ガイドライン案のベース)を作成します。

ステップ2
ステップ2a: 技術ドキュメントの確認
ステップ1の技術ドキュメントが総会で承認されるとステップ2aとなります。
ステップ2b: ガイドライン案の採択
ステップ2aの技術ドキュメントをベースにしたガイドライン案が総会の規制当局代表者により承認されるとステップ2bとなります。

ステップ3
ICHの各地域・国の規制当局(日本では厚生労働省)からガイドライン案が公表され、公に意見が求められます。寄せられた意見に基づいて専門家作業部会で協議が行なわれ、ガイドライン案が修正されます。

ステップ4
ガイドライン案が総会の規制当局代表者によって最終的に合意、採択されるとステップ4となります。

ステップ5
ICHの各地域・国の規制当局において、それぞれの手続きにしたがってガイドラインが実施されます。
日本では、厚生労働省医薬局から各都道府県衛生主管部(局)に通知されます。

(参考3)IPRP
IPRP(International Pharmaceutical Regulators Programme、国際薬事規制当局プログラム)は、規制当局間の協力や、規制情報に関する交換等を行う国際会議です(日本、米国、EU、カナダ、スイス等、計47か国・地域の規制当局が参加)。ICH総会に併せて年2回対面会合が開催されます。

PDFファイルを見るためには、A

出典: 厚生労働省 新着情報
URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_73837.html

時系列

主な数値

整備されたガイドライン数 1件
ICHメンバー団体数 25団体
ICHオブザーバー団体数 43団体
新規承認された規制当局オブザーバー数 2団体
ステップ4到達ガイドライン E6(R3):「医薬品の臨床試験の実施に関する基準」ガイドライン付属文書2名称

この事例から確認すべきポイント

今回のICH会合の発表は、医薬品開発に関わる企業にとって、国際的な規制動向を把握する上で重要です。特に、臨床試験の実施に関する基準(GCP)ガイドラインE6(R3)がステップ4に到達したことは、多様な試験デザインやデータソースを用いる現代の臨床開発において、その適用範囲と考慮事項が国際的に調和される方向性を示唆します。企業は、今後の国内規制への反映を見据え、臨床試験プロトコルやデータ管理体制の準備を進める必要があります。また、ICHの戦略ビジョンやデジタル・コラボレーション・プラットフォームの進展は、将来的な規制当局との連携や情報共有のあり方に影響を与える可能性があり、継続的な情報収集が求められます。新規オブザーバーの承認は、ICHの国際的な影響力の拡大を示すものであり、各国の規制動向への注視も重要です。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-06-12

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