エブラル経済相、7月のUSMCA見直し合意は確約できないと発言
この発表の要点
- メキシコ政府はUSMCA見直し交渉において協定維持を最優先とし、232条に基づく関税引き下げを求めている。
- 米国は原産地規則の強化と国内製造の促進を望んでおり、これが交渉の主要な論点となっている。
- マルセロ・エブラル経済相は、交渉は順調としつつも困難を伴う可能性を指摘し、7月の合意形成は現時点では確約できないと表明した。
企業・自治体への影響
北米にサプライチェーンを持つ製造業、特に自動車、鉄鋼、アルミニウム関連企業は、USMCA見直し交渉の進捗を注視する必要がある。原産地規則や追加関税の変更は、生産拠点戦略やコスト構造に直接的な影響を及ぼす可能性があるため、関係部門は情報収集とリスク評価が求められる。
対応すべきこと
- USMCA見直し交渉の進捗に関する公式発表を継続的に確認する。
- 自社のサプライチェーンが米国、メキシコ、カナダにまたがる場合、原産地規則や関税変更の影響を評価する。
- 特に自動車、鉄鋼、アルミニウム関連の事業部門は、交渉結果が事業計画に与える影響を検討する。
- 関係部門(経営者、経理、法務、広報など)と情報を共有し、潜在的なリスクと対応策について議論する。
対応優先度: 中 国際的な貿易協定の見直しは、特定の産業に大きな影響を与える可能性があるが、現時点では具体的な行政処分や緊急の対応期限は示されていないため。
対象部門: 経営者 法務 経理 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | メキシコ政府 |
|---|---|
| 発表日 | 2026-06-16 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年06月16日
クラウディア・シェインバウム大統領は6月15日の早朝記者会見で、同日から始まる米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)見直しの米国との第2回事前協議に関するメキシコ政府の方針を語った。USMCAの見直しにおいて、どのような合意が成功と言えるのかという記者からの問いに対して、「第1に協定の維持だ」と答えた。また、「米国は原産地規則の強化を望んでいる」とし、「米国内での製造を強く求めている」と述べた。メキシコ政府としては、米国だけでなく、3カ国全体での製造強化を望むとし、「それが自由貿易協定の意義だ」と強調した。さらに、現在メキシコにも課されている1962年通商拡大法232条(以下「232条」)に基づく鉄鋼・アルミニウム・自動車などに対する追加関税について、「少なくともこれらの関税が大幅に引き下げられ、USMCAが継続されるよう(交渉に)取り組んでいる」と述べた。なお、ドナルド・トランプ米国大統領との電話会談については、「必要であれば行う」との言及にとどめた。
マルセロ・エブラル経済相は6月15日の経済省記者会見に、同事前協議に参加のためワシントンから電話で参加した。6月15日から4日間、米国とのUSMCAの見直しに関する交渉を行い、6月18日にジェミソン・グリア米国通商代表部(USTR)代表と会談することを発表した。
エブラル経済相は、共同見直しについて定めたUSMCA第34条7項(注1)に関して「メキシコは期限と手続きを順守している」とし、米国に対して「あらゆる見解を提示している」と主張した。その中で「232条に基づく関税の賦課は協定に反し、米国にもメキシコにも利益をもたらさない」と強調した。今回の協議において、共通のビジョンとして「北米で生産を拡大しなければならない」という点では合意しているとし、この目標をどのように達成するかを議論すると述べた。具体的には、13の項目(注2)と鉄鋼・アルミニウム、農業、労働、環境、原産地規則、自動車産業のテーマについて議論すると説明した。さらに、次の会合は7月1日に定められており、7月20日も会合を行う予定だとした。
エブラル経済相は、USMCA見直しの交渉に関して、「現時点では順調に進んでおり、協定が成立するよう取り組んでいる」と述べたが、「(交渉は)容易ではなく、簡単なものではない」とし、「協定の見直しには困難が伴う可能性がある」とも指摘した。また、7月1日の協議にカナダが参加するか問われると、USMCA第34条7項を引き合いに出し、「参加国は3カ国である必要がある」とし、「それが私の予想だ」と述べたが、断言を避けた。さらに、USMCA見直し合意に関して、「7月であれば理想的だが、まだ多くの課題が残っているため、(7月20日までに)確実に終了できるとは現時点では確約できない」と7月の合意形成に消極的な姿勢を見せた。
(注1)USMCAは協定発効16年目(2036年7月)に失効する。ただし、協定発効6年目に協定の見直しを実施し、3カ国が延長に合意した場合、16年後(2042年7月)まで延長される。各締約国は見直しに際し「提案」を出すことができ、その場合3カ国会合が開始される日の1カ月前までに提出しなければならない。3カ国のいずれかが延長に同意しない場合には、以降、見直しを毎年実施することが規定され、延長を検討することになっている。
(注2)エブラル経済相が4月23日の早朝記者会見で、「米国の外国貿易障壁報告書2026(NTE)を公表したが、54項目には含まれていなかった13の新しい項目がある」とコメントしたが、13の項目が具体的に何を示しているかは不明である。NTEのメキシコに関する主要な論点については、2026年5月29日付地域・分析レポート、2026年5月29日付地域・分析レポート、2026年5月29日付地域・分析レポートを参照。
(阿部眞弘)
(メキシコ、米国、カナダ)
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エブラル経済相、7月のUSMCA見直し合意は確約できないと発言
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出典: JETRO ビジネス短信
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/eb4e9c1933d5d331.html
時系列
- 2026-06-15 クラウディア・シェインバウム大統領が米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)見直しの米国との第2回事前協議に関するメキシコ政府の方針を語った。
- 2026-06-15 マルセロ・エブラル経済相が経済省記者会見にワシントンから電話で参加し、同日から4日間、米国とのUSMCAの見直しに関する交渉を行うことを発表した。
- 2026-06-18 ジェミソン・グリア米国通商代表部(USTR)代表と会談する予定。
- 2026-07-01 次の会合が定められている。
- 2026-07-20 会合を行う予定。
- 2036-07 USMCAが協定発効16年目として失効する予定。
- 2042-07 協定発効6年目に延長に合意した場合、USMCAが16年後まで延長される予定。
主な数値
| USMCA失効予定年 | 2036年 |
|---|---|
| USMCA延長後の失効予定年 | 2042年 |
| USMCA見直し実施時期 | 協定発効6年目 |
| 議論される項目数 | 13項目 |
この事例から確認すべきポイント
本発表は、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の見直し交渉が進行中であり、その進捗と課題をメキシコ政府が積極的に情報開示している状況を示す。特に、原産地規則の強化、域内製造の促進、そして鉄鋼・アルミニウム・自動車に対する追加関税(232条)の扱いが主要な論点となっている。マルセロ・エブラル経済相が7月の合意形成を確約できないと発言したことは、交渉の複雑さと不確実性を企業が認識すべき点である。北米にサプライチェーンを持つ企業、特に自動車、鉄鋼、アルミニウム関連企業は、今後の交渉結果が事業戦略やコスト構造に直接的な影響を与える可能性があるため、継続的な情報収集とリスク評価が不可欠となる。政府発表における透明性と、困難な状況でも進捗を伝える姿勢は、企業広報においても参考となる。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-06-16
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